株主代表訴訟の対象となる商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項にいう「取締役ノ責任」には,取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれるか
《解 説》
1 本件の事実関係は複雑であるが,概要は,以下のとおりである。
(1)日本興業銀行(興銀。ただし,合併等を経て,X銀行らに再編された。)をメインバンクとして不動産賃貸業等を営んでいた旭工業株式会社(旭工業。代表取締役Y2)を中核とする旭工業グループ(企業グループ)は,バブル経済期...
《解 説》
1 本件は,駐車場の所有者であるXが,駐車場賃貸借契約の解除後も自動車が駐車されていたため,自動車の購入代金を立替払して自動車の所有権を留保している信販会社であるYに対し,土地所有権に基づき,自動車の撤去,駐車場の明渡しを求めるとともに,駐車場の使用料相当損害金の支払を求めた事案で...
《解 説》
1 本件は,大阪観光株式会社の株主である原告が,大阪観光の買い受けた土地について,同社の取締役である被告に所有権移転登記がされているなどと主張して,被告に対し,平成17年法律第87号による改正前の商法(以下,単に「商法」という。)267条1項の規定に基づき,大阪観光への真正な登...
[解 説]
1(1)本件は,マンションの管理組合である原告が,管理費等を滞納した前所有者からマンションの一室(本件物件)を取得した被告及び被告引受承継人(被告ら)に対し,前所有者の滞納に係る管理費等の支払を求めた事案である。
(2)原告は,マンションの区分所有者全員で構成される管理組合であ...
《解 説》
1 本件は,被告人が,そのような意図がないにもかかわらず,インターネット掲示板に,JR土浦駅において無差別殺人を実行する旨の虚構の殺人事件の実行を予告し,これを不特定多数の者に閲覧させ,同掲示板を閲覧した者からの通報を介して,警察の担当者らをして,警察署職員らに対し,その旨伝達させ...
《解 説》
X1は,長崎の爆心地から約4.1㎞の地点で被爆し,その後,血小板減少症,食道静脈瘤,肝硬変に罹患している者,X2は,広島の爆心地から1.7㎞の地点で被爆し,その後,陳旧性心筋梗塞,脳梗塞後遺症などに罹患している者である。両名は,Y1(厚生労働大臣)に被爆者認定を申請したが,いずれ...
《解 説》
1 本件は,島根県公安委員会から風俗営業の許可を得て,パチンコ店(以下「本件パチンコ店」という。)を経営している被控訴人が,平成19年10月19日,「被控訴人は,島根県公安委員会から風俗営業の許可を受けて本件パチンコ店を経営するもの,Cは同店の元店長として稼働していたもの,A,Bは...
[解 説]
1 本件は,防衛庁(当時)調達実施本部副本部長等の職にあった被告人が,調達実施本部と私企業との間で締結した装備品の製造請負契約において,法令等に違反した水増し請求がなされていたことが発覚したことから,その過払い相当額を国に返還させるに当たり,被告人が,私企業の幹部らと共謀の上,そ...
[解 説]
1 本件は,小規模個人再生事件の決議において,1名の反対債権者の反対により再生計画案が否決されて廃止決定がされた後に,当該反対債権者から再生計画案への同意が得られたとしてされた抗告に基づき,廃止決定を取り消して事件を原審に差し戻した抗告審の決定である。
2 事案の概要は次のとお...
《解 説》
1 本件は,家族とともに生活保護を受給してきたXら(世帯主であり処分の名宛人となったX1及び当時のその妻X2の2名)が,指示違反を理由に保護を停止され(本件停止処分),一旦停止は解除されたものの,その後,別の指示違反を理由に保護を廃止された(本件廃止処分)ことから,両処分の取消...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,志賀原子力発電所(本件原発)に増設された2号原子炉(本件原子炉)が運転されれば,平常運転時又は地震等の異常事象時に環境中に放出される放射線及び放射性物質によって被ばくすることにより自己の生命・身体等に回復し難い重大な被害を受ける旨主張する被控訴人(原告)X...
《解 説》
1 本件は,S状結腸癌の治療のため同結腸切除術(以下「本件手術」という。)を受けた69歳の患者(以下「本件患者」という。)が,本件手術後の縫合不全から腹膜炎,敗血症を起こして死亡したことにつき,本件患者の相続人である原告らが,担当医師には,本件患者に対し,本件手術後早期に再開腹手術...
《解 説》
第1 事案の概要
1 原告らは,刀剣類の保存及び公開等を図るとともに,これらに関する調査研究と鑑賞指導を行うこと等を目的として設立された財団法人(本件協会)の事務局長,会計課長,管理課長を務めていたが,被告が本件協会の会長に就任した日に解職された。なお,原告らは,本件協会に対し...
船舶が最初に到達した地を管轄する裁判所に提起された外国船籍の船舶間の公海上での衝突事故に基づく外国法人間の損害賠償の訴えにつき,民訴法5 条10 号の裁判管轄が認められず,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があるとして,我が国の国際裁判管轄が否定された事例
《解 説》
1 本件事案の概要
パナマ法人であるX社は,X社が賃借したパナマ船籍の甲船舶とロシア法人であるY社が所有していた乙船舶が,平成16年7月に,千島列島沖の公海上で,衝突した事故(本件事故)が,乙船舶の船員の過失により起きたと主張して,Y社に対し,不法行為に基づいて,甲船舶が入港した...
《解 説》
1 被告は,株主総会決議により,その取締役であった補助参加人らに対し,ストック・オプションとして新株予約権を発行し,行使条件として行使時に被告の取締役の地位にあること(以下「取締役条項」という。)としたほか,その他の行使条件については取締役会に一任した。そして,補助参加人らは,取締...
相続人のうちの1 人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合において,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否
1 国立大学法人の職員による職務行為は,国家賠償法1 条1 項の「公務員」による「公権力の行使」に当たるとされた事例 2 国立大学法人が国家賠償法1 条1 項の責任を負う場合,職員個人は責任を負わないとされた事例
《解 説》
1 本件は,相続人の1人が,被相続人からその財産全部を相続させる趣旨の遺言に基づきこれを相続した他の相続人に対し,遺留分減殺請求権を行使したとして,相続財産である不動産について所有権の一部移転登記手続を求めた事案である。遺留分の侵害額の算定に当たり,被相続人が負っていた金銭債務...