外資系金融企業の従業員が懲戒解雇され,解雇無効を主張して地位確認訴訟(前訴)を提起して敗訴した後,追加退職金の支払を求める訴訟(後訴)を提起し,追加退職金規定上の不支給事由に該当する事由があるか否かが争点となった事案において,追加退職金は労基法上の「賃金」にあたらず,追加退職金を不支給とするためには勤続の功労を抹消するほどの背信性がある場合に限られないが,後訴を提起することが信義則上許されないとはいえないとされた事例
《解 説》
1 事案の概要
本件は,資産の運用等を行う生命保険会社又は信託契約若しくは再信託契約に基づき受益者らの資金の運用等を行う信託銀行が,いわゆる機関投資家として,被告の株式に投資していたところ,被告が提出した平成16年9月期有価証券報告書等に,売上計上が許されない被告株式の売却益...
《解 説》
本件は,被告の従業員であった原告が,被告に通知することなく公認会計士協会に対して訴訟を提起し,これを取り下げるよう指示されたにもかかわらずこれを取り下げなかったこと,同訴訟について被告の顧客に喧伝したことを理由として被告から懲戒解雇された後,被告に対し,被告の設けている追加退職...
《解 説》
1 本件は,F税務署長が破産法人である株式会社(本件破産会社)に対して行った,同社の破産宣告後の課税期間(本件課税期間)中に破産管財人がした課税資産の譲渡等に係る,消費税額及び地方消費税額の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分につき,本件破産会社の破産管財人である被控訴人Xが,...
[解 説]
1 本件は,妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴,妄想等に基づいて行われた行為について,これが「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「医療観察法」という。)による医療等を行う要件である対象行為に該当するかどうかの判断方法が問題とな...
《解 説》
X2の夫は,株式会社であるX1の代表取締役を務めていたが,平成12年12月に緊急入院した。X2は,昭和55年ころから夫とはほとんど口も利かず,夫から生活費も受け取らず,X1の経営にも全く関知していなかったが,夫の入院中にX1の経理状況を調査してX1が多額の債務を負っていることを知...
《解 説》
1 本件は,夫の死亡によりその財産を長女及び長男と共同相続した被告人が,自己の相続財産に係る相続税については納税義務者として,長女及び長男の各相続財産に係る相続税については両名の各代理人として,それぞれ相続税の申告をするに当たり,相続財産の一部を除外するなどして課税価格を減少さ...
Yが投資資金名下にXから金員を騙取した場合に,Xからの不法行為に基 づく損害賠償請求においてYが詐欺の手段として配当金名下にXに交付し た金員の額を損益相殺等の対象としてXの損害額から控除することは,民 法 708 条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例
《解 説》
1 本件は,申立人が,自己の脅迫等被告事件の確定記録の閲覧を保管検察官に申請したところ,関係者のプライバシー保護を理由として,その一部につき不許可とされたため,準抗告,更には特別抗告に及んだ事案である。
本件に至る経過を簡単に記載すると,申立人は,不倫相手であった女性(被害者...
《解 説》
1 本件は,超高層マンションの高層階の専有部分を購入した原告らが,分譲業者である被告らに対し,被告らが近隣に別の超高層建築物を建設した結果,眺望が悪くなった等と主張して,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
2 眺望の法的利益性に関するリーディングケース...
《解 説》
1 Aは,被疑者として警察署に留置されていたXの姉であるところ,平成17年12月6日と13日の2回にわたり,Xに本件封書を発信したところ,本件封書が警察署に配達されたが,速やかにXに交付しなかったため,接見交通権を侵害するものであるとし,Xは,Y(熊本県)に対し,国賠法1条1項...
1 犯罪捜査に当たった警察官が犯罪捜査規範 13 条に基づき当該捜査状
況等を記録した備忘録は,刑訴法 316 条の 26 第 1 項の証拠開示命令の対象 となり得るか
2 警察官が捜査の過程で作成し保管するメモが証拠開示命令の対象とな るものか否かの判断を行うために,裁判所が検察官に対し同メモの提示を命ずることの可否
《解 説》
1 本件は,被害者(当時76歳の男性)から急迫不正の侵害を受けた被告人(当時64歳の男性)が,正当防衛として,その顔面を殴打するなどの暴行を加えたところ,被害者は転倒して後頭部を地面に打ち付け,動かなくなったが,更に同人を足蹴にしたり,足で踏み付けたり,腹部に膝をぶつけるなどの...
コンマー/ CONMER 商標事件 剽窃的出願による商標の商標法4条1項7号「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標」該当性
《解 説》
アメリカ合衆国及び日本の需要者の間に広く知られた「CONMAR」との文字からなるスライドファスナー等に係るアメリカ合衆国商標を有するアメリカ合衆国法人(被告)が,日本において登録された類似の商標(「コンマー」,「CONMAR」の文字を2段書きしてなる。以下「本件商標」という。原...