《解 説》
1 夫Xと妻Yの間には未成年の子A,Bがいるが,離婚届書の提出により,戸籍上,XとYが協議離婚し,A,Bの親権者をYと定めた旨の記載がされていた。本件は,Xが離婚の意思及び届出の意思がないとして届書による離婚が無効であることの確認を求めた事案である。
1審判決は,Xに離婚意思...
《解 説》
1 本件は,情報システムの企画,設計等を目的とする株式会社であり,民事再生手続を行っていたXが,Xの会計監査人であった監査法人であるYに対し,Xと訴外会社との間の架空取引(以下「本件架空取引」という。)を看過して適法意見を表明したことがXとYとの間における監査契約(以下「本件監...
《解 説》
本件は,心臓弁膜置換手術を受けた患者が,術後,出血性貧血による心筋虚血及び心タンポナーデ(大量の心嚢液貯留により心膜腔内圧が上昇し,心室拡張障害を来し,それに伴って著しい静脈灌流障害が出現し,心拍出量が低下した状態)を原因とする心不全を発症した結果,低酸素脳症から遷延性意識障害...
生活保護下のバンコク渡航事件 生活保護を受け始めて間もない時期に外国への渡航費用を支出した者に対する,同渡航費用の金額を超えない金額を生活扶助の金額から減じて差し引く旨の保護変更決定が,適法であるとされた事例
《解 説》
第1 事案の概要
1 事案の要旨
本件は,生活保護の受給中求職活動のためとしてタイに短期間渡航していたXが,同地滞在中であったとする期間の生活扶助(3万円余)を与えないとし,その金額を後の月の分の生活扶助から差し引く旨の保護変更決定(以下「本件変更決定」という。)をされたため,そ...
《解 説》
Xは,昭和57年2月,亡Aから本件農地3筆を買い受け,条件付所有権移転仮登記を得たが,亡Aないしその相続人亡Bから所有権移転許可申請手続への協力を得られないままであった。
他方,Yは,昭和59年2月,亡Aから根抵当権設定契約を受け,根抵当権設定登記を得た。亡Bには相続人がなか...
《解 説》
1 本件は,平成12年12月4日に日本国内のマンションからシンガポールに転出したとするXが,平成13年1月6日に,香港において,同月12日を譲渡実行日として本件株式の売買(譲渡)契約を締結し,同株券を買主に交付したが,同株式の譲渡当時既に国内に住所を有していなかったとして,所得...
《解 説》
1 Yに対する仮執行宣言付勝訴判決を債務名義とする債権差押転付命令を得たXが,Yの控訴に伴う申立てによる強制執行停止により損害を被ったとして,Yが同停止決定の発令に当たって立てた担保の還付を受けるために,Yに対して損害賠償債権を有することの確認を求めた事案である。
Xは,Yが...
《解 説》
1 本件は,平成13年3月31日,Xの子である当時16歳のAが,当時15歳のB及び当時17歳のC(以下,この両名を併せて「加害少年ら」という。)から暴行を受けて死亡したことについて,①Xが,本件事件の現場に居たY1,Y4及びY7(いずれも当時15歳。以下,この3名を併せて「被告...
《解 説》
1 本件は,根抵当権が設定された建物(以下「本体建物」という。)の屋上に,その後建築されたプレハブ式建物(以下「本件プレハブ式建物」という。)に経由された第三者名義の所有権保存登記(以下「本件保存登記」という。)につき,本体建物の根抵当権者が,根抵当権の実行を妨害する目的でされ...
《解 説》
1 本件は,Xが,自家用自動車総合保険契約の契約車両が盗難に遭ったと主張して,保険会社であるYに対し,保険契約に基づき,車両保険金490万円及び遅延損害金の支払を求める事案である。本件では,消滅時効の成否,特に,消滅時効の起算日がいつかが問題となった。
2 上記問題に関連する...
[解 説]
1 本件は,原告らがいわゆる破産免責を受けていたにもかかわらず,貸金業者である被告が,原告らに対して支払督促の申立てをし,同申立てに係る支払督促が原告らに送達されたことが被告の不法行為に当たるとして,原告らが,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求をした事案である。
原告らは...
《解 説》
1 本件は,堺市の住民である原告が,登記簿上の地目がため池とされ,その現況も池である2か所の土地(本件各土地)は,これを所有する地元の町会ないし自治会において第三者に賃貸され,その水面上にデッキプレートが構築されて建物が建築され宅地として利用されているにもかかわらず,被告堺市長...