保険代理店の立場を利用して団体傷害保険の被保険者資格を有しないにもかかわらず同保険に加入して行った保険金請求が権利の濫用に当たり,クリーンハンドの原則に照らして許されないとされた事例
《解 説》
1(1) Xは,Y1から,飲食店の経営等を行うY1の子会社Aに関する業務提携やM&A方式による企業買収を持ちかけられて交渉した後,Yらとの間で,Aの株式譲渡に係る基本契約(本件基本契約)を締結した。本件基本契約には,Aの財務内容,資産状況等に関する重大な不利益,資産状況,情報等...
《解 説》
1 本件は,通勤途上に,ひき逃げ事故により負傷し,後遺障害等級別等級表別表第一第1級1号相当の後遺障害を負ったXが,Y(国)に対し,政府保障事業(自賠法72条1項)による損害のてん補(限度額4000万円)を求めたところ,2312万円余のてん補を受けたが,そのてん補の額に不服があ...
《解 説》
1 XはA農業協同組合(A農協)を吸収合併した農業協同組合であり,Y1はA農協の代表理事,組合長であった者,Y2はA農協の理事であった者である。A農協はYらが代表理事,理事であった当時,Y2の親族等の個人及び法人に対し合計11件,総額12億円を超える多額の貸付(本件貸付)を行っ...
《解 説》
1 本件は,公害等調整委員会(以下「公調委」という。)が不服裁定申請に対してなした裁定(以下「本件裁定」という。)に対する取消訴訟である(本件裁定は,判タ1243号342頁,判時1970号39頁,判自292号73頁に掲載されており,その紹介記事に,公調委が所管する不服裁定手続の...
《解 説》
1 本件は,亡A作成の遺言公正証書による受遺者である原告が,亡Aから財産管理を委ねられていた弁護士である被告に対し,被告が亡Aの遺産である預貯金から取得した2108万9360円から被告が取得すべき弁護士報酬額を控除した残金について,支払を求めた事案である。
2(1) 被告は,...
《解 説》
1 本件は,九州地区に存在した炭鉱で粉じん作業に従事したことによってじん肺にり患したと主張するXら(元従業員本人又は承継人)が,炭鉱を経営していたY1(会社)に対し,雇用者として,坑内作業場における適切な粉じん対策を講じるなどして従業員がじん肺にり患し又は増悪させることがないよ...
《解 説》
1 本件は,被告人が,被害者が同居女性を騙してその資産に損害を与え,その一部を着服したと思い込み,怒りと憎しみを募らせ,死んでも構わないとの気持ちから,被害者に対し,主観的には鞘が外れていると思っていた鞘付きのくり小刀で突き,さらに,鞘の外れた同くり小刀で被害者の顔面を刺すなど...
1 株主平等の原則の趣旨は株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合に及ぶか(積極) 2 株主に対する差別的取扱いが株主平等の原則の趣旨に反しない場合 3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについての審理判断の方法 4 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,株主平等の原則の趣旨に反せず,会社法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しないとされた事例 5 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しないとされた事例
《解 説》
本件は,朝鮮民族の舞踊,声楽,楽器演奏等の舞台公演を行っているA歌劇団の公演を主催するための活動をしている団体が,その公演を実施するため仙台市から市民会館の使用許可を受けたが,その後,右翼団体等の妨害行為等により市民会館の管理等に支障を及ぼすおそれがあるとの理由で仙台市から使用...
《解 説》
1 本件は,Y(東証二部上場)の株主であるXが,Yに対し,Yによる新株予約権の無償割当て(会社法277条)を仮に差し止めることを求める仮処分事件であり,問題となるのは,YがXによる株式公開買付けに対応するために新株予約権の無償割当てをすることが,株主平等の原則等に反し法令等に違...
《解 説》
1 本件は,メジャーリーグ所属の球団「シカゴ・カブス」のロゴと同一形状の本願商標と引用商標とは,外観及び観念の差異を考慮してもなお,称呼において類似するから,本願商標は,商標法4条1項11号に該当するとした拒絶審決の取消訴訟である。
本願商標は,肉太の円輪郭中に,これとほぼ同...
《解 説》
1 本件は,被告人が,IDとパスワードにより会員のみに利用が制限されたインターネットオークションを運営管理するヤフーのサーバーコンピューターに対し,3名の会員のID及びパスワードを盗用して合計100回にわたり不正アクセスをしたという不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反(3条...
《解 説》
1 本件は,①被告人が共犯者らとともに,パチンコ店でパチスロ遊技機(回胴式遊技機)のロムを取り外し,代わりに不正ロムを取り付けていた際,それを店長らに発見されて逮捕されそうになったため,店長や店員ら3名に暴行を加えて傷害を負わせたという強盗致傷(事後強盗)と,②別のパチンコ店に...
《解 説》
1 AはX所有の甲地とB所有の乙地及び丙地を各賃借人からそれぞれ転借し,甲地と乙地及び丙地の上に跨る一棟の丁建物を所有してショッピングセンターとして使用してきたが,経営に行き詰まり民事再生手続の開始決定を受けた。Aの管財人に選任されたYは再生手続の換価業務として丁建物を売却する...
市町村職員を組合員とする健康保険組合に対し市が組合規約に基づく保険 料の事業主の負担金として保険料額の 2 分の 1 を超える負担金を支出した ことが違法な公金の支出に当たらないとされた事例
《解 説》
1 道路交通法(法)及び同法施行令(令)は,免許の取消し又はその効力の停止の処分の基準の一部としていわゆる点数制度を採用している。同制度は,交通法規に違反した運転者,特に道路交通上最も危険度が高いと考えられる常習的な違反運転者を的確に把握し,これに対し適正かつ効果的な改善措置を...