《解 説》
1 本件(①,②事件)は,自動継続特約付きの定期預金(以下「自動継続定期預金」という。)の預金契約における預金払戻請求権の消滅時効の起算点がいつかが問題となった事案である。
①事件の事案は,原告X1が,昭和62年2月23日にA信用組合に対し200万円を,期間1年,利息の利率...
《解 説》
1 本件は,弁護士である原告が,訴訟代理をした民事訴訟事件の相手方当事者であった会社から弁護士懲戒請求を受けたことについて,その懲戒請求の申立て等が不法行為に当たると主張して,その会社代表者と代理人弁護士に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。以下では,上告が受理さ...
《解 説》
1 本件は,内縁の夫Aの運転する車両に同乗中の交通事故により傷害を負ったXが,その相手方車両の運転者兼運行供用者であるYに対し,自動車損害賠償保障法3条に基づく損害賠償請求をしたという事案である。Yは,Xの内縁の夫であるAの過失を被害者側の過失として考慮して過失相殺を行うべきで...
《解 説》
1 平成6年当時,香川県香川町の町長であったAは,B設計会社に設計を行わせた町道の改良工事をC建設会社に請け負わせた。C社は,工事を完成し,町に引き渡したが,翌年には,工事に瑕疵があることが明らかになり,町は,修補費用の支出を余儀なくされた。そこで,Aは,町長として,B社に対し...
《解 説》
1 本件は,肺結核症等の治療のためYが開設する病院に入院中の患者A(当時64歳)が,病室の窓から飛び降りて自殺したことについて,Aが飛び降りる直前に,Y病院の看護師が,Aが自殺を図ろうとしたことに気づきながら,自殺を防止する義務等を怠った過失があるなどと主張して,Xら(遺族の一...
《解 説》
1 本件は,法廷等の秩序維持に関する法律(以下「法秩法」という。)による制裁裁判(監置決定)に対する抗告事件である。
2 本件に至る経緯は次のとおりである。すなわち,本人は,東京地方裁判所に係属する傷害致死被告事件の審理を傍聴していた者であるが,同裁判所の法廷において閉廷後も...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Y1(教育委員会)は,各小中学校が入学式における国旗掲揚及び国歌斉唱を適正に実施するように,入学式において,起立して国歌を斉唱するように指導すること,国歌斉唱はピアノ伴奏等により行うことなどの7点の指示(7点指示)を行った上,平成14年度入学式の国歌斉...
《解 説》
本件は,東京拘置所に収監されていた際に結核性頸部リンパ節炎を発症した刑事被告人が,同拘置所における結核治療について,①生体組織検査(生検)等の必要な検査を行わずに直ちに抗結核剤を投与したため確定診断が遅れ,療養期間が長期化するとともに耐性菌による再発の不安を抱えることになり,②...
《解 説》
1 本件は,原告が,ヘルペス脳炎により高次脳機能障害の後遺障害が残ったのは,被告病院医師が適切に問診・鑑別診断をしなかったこと(過失①)及び被告病院入院後の抗ウイルス剤の投与期間及び量が不適切であったこと(過失②)が原因であるとして,被告に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損...
《解 説》
1 本件は,Xがその所有建物をZの要望に従って増改築した上でZに賃貸する契約(建て貸し)の仲介を不動産仲介業を営むYに依頼し,X・Z間に期間を9年間とする建物賃貸借契約が成立したが,中途解約を制限する条項が盛り込まれていなかったため,Zから中途解約されて損害を被ったとして,Xが...
《解 説》
1 X(昭和33年生)は,平成2年4月に三重県立高校の教諭として採用され,平成15年4月からは県立A高校の教諭として勤務していたものであるが,平成15年9月5日午前2時ころ,飲酒の上で自動車を運転し,信号待ちのために停車していた自動車に追突して運転者に傷害を負わせる事故を起こし...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,商標法(以下「法」という。)8条2項に規定する協議や,同5項に規定するくじの実施がなされずに登録に至った場合に関する無効不成立審決の取消訴訟である。すなわち,被告が有する「ガンバレ!受験生」との商標(以下「Y商標」という。)は,訴外Z 社が有する「がん...
《解 説》
1 本件事案の概要
Xはクリーニング業者であり,通常のもののほかに追加料金で「オゾン&アクアドライ」という方法のドライクリーニングをしていた。Y1が発行する甲週刊誌(本件雑誌)の担当記者は,Xの元従業員Y2からの情報提供をきっかけに,取材を行い,①「オゾン&アクアドライ」の注...
《解 説》
1 本件①,②事件は,いずれも中国人を原告とする戦後補償事件である。①事件は,全国各地に訴訟が係属した中国人強制連行事件の1つ(広島訴訟)であり,第二次世界大戦中に中国から日本国内に強制連行され被告(西松建設)の下で強制労働に従事させられたと主張する原告らが,被告に対し,安全配...
《解 説》
Xの夫A(昭和26年10月生)は,B社において食品関連設備の設計に従事していたが,平成11年8月2日,関連企業であるC社への出向を命じられ,単身赴任した。AのC社における職務は,設備係として機械のメンテナンス及び修理が中心であったところ,Aは同年12月15日,自殺した。Xは,労...
《解 説》
1 本件は,村田町(Y)が実施する指名競争入札の参加資格を有する建設業者ら(Xら)が,平成15年4月から平成17年1月までの間,恣意的に,Yが発注する建設工事の指名を回避されたとして,Yに対し,国家賠償法1条1項に基づき,指名を受けていたならば得べかりし利益相当額の損害賠償等を...
《解 説》
1 本件事案の概要等
被告人は,知人女性から,交際している男性とトラブルになっているという相談をたびたび受けていた。本件当日も,被告人は,同女から相談を受け,普通乗用自動車を運転して同女宅の様子を見に出かけた。その際,被告人は,同女の交際相手が乗車している普通乗用自動車を発見...
《解 説》
本件は,7歳(小学1年)の女児Aが,歩道上を子供用自転車(18インチ)に乗って走行中,Y1方の生け垣が歩道上に張り出して生い茂っている付近で車道上に転倒し,走行して来たY2運転の貨物自動車(2トントラック)に轢過されて死亡した事故につき,Aの両親であるXらが,Y1,Y2,貨物自...
《解 説》
1 本判決は,覚せい剤等の規制薬物の密売を業としたことに係る麻薬特例法違反幇助の事案において,「幇助犯が得ていない薬物犯罪収益を幇助犯から没収・追徴することはできない」と判示して,幇助犯から没収・追徴可能な薬物犯罪収益の範囲について,これまでの高裁判例とは異なる判断を示したもの...