《解 説》
1 シンガポール共和国に本店を置く会社である原告は,その役員であった被告に対し,信任義務違反又は背任行為を理由とする損害賠償を求める訴えを,シンガポール高等法院に提起した(以下この訴訟を「別件訴訟」という。)。被告は,同裁判所から召喚状謄本等及びその訳文の送達を受けたが,同裁判...
《解 説》
1 A(昭和15年生)は,平成7年12月1日以降,Y開設の甲病院で内科医であるB医師の診察,治療を受け,肺線維症と診断された。以後,Aは入通院を繰り返したが症状が悪化し,平成10年7月14日,別の開業医の紹介で大学病院を受診したところ,特発性間質性肺炎と診断されて同病院に入院し...
《解 説》
1 国税徴収法は,32条以下において第二次納税義務につき定めているが,その39条は,滞納者である本来の納税義務者が,その国税の法定納期限の1年前の日以後にその財産について無償又は著しく低い額の対価による譲渡等の第三者に利益を与える処分を行ったために,本来の納税義務者に対して滞納...
《解 説》
1 本件は,公文書部分公開処分の非公開部分の取消請求事件係属中,当該公文書がほぼ全面開示されたため,原告が訴えを取り下げた上,行訴法7条・民訴法73条1項に基づく訴訟費用負担の裁判の申立てをした事案である。
2 基本事件の事実関係は,要旨,次のとおりである。
(1)申立人(...
《解 説》
1 本件は,静岡県(以下「県」という。)の住民であるXら(原告,控訴人,上告人)が,県議会議員として在職したことがある者のうち会則の趣旨に賛同する者により組織された権利能力のない社団であるY4(被告,被控訴人,被上告人)に対して県がした補助金の支出は公益上の必要性を欠き違法であ...
《解 説》
1 本件は,所在地番及び床面積の表示において実際と異なる登記がされている建物が,借地借家法10条1項にいう「登記されている建物」に当たるかどうかが争われた事案である。
Xは,本件土地を競売により取得し,同土地上の建物(本件建物)に居住しているYに対し,所有権に基づく妨害排除請...
《解 説》
1 本件は,宅配便事業を営むX(ヤマト運輸株式会社)が,郵便事業の一つとして一般小包郵便物(ゆうパック)の事業を営むY(日本郵政公社)に対し,次の行為が次の不公正な取引方法に該当し,これにより利益を侵害されていると主張して,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止...
《解 説》
1(1)本件は,差押えがされている動産引渡請求権を更に差し押さえたXが,執行裁判所又は担当の裁判所書記官による民事執行手続上の義務違反行為により,先行の差押事件で実施された配当手続において,配当期日への呼出しがなく,配当を受けることができなかったなどと主張して,Yに対し,国家賠...
《解 説》
1 本件は,Xらが,いずれも20歳以上の大学生又は看護専門学校生であった当時疾病にかかり又は負傷したとして,大阪府知事らに対し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給裁定を請求したところ,同知事らが,Xらはいずれも平成元年法律第86号による改正(平成元年改正)前の国民年金法が定め...
《解 説》
1 事案の概要本件は,X(原告・控訴人)が,Y(被告・被控訴人)に対して,前訴で確定給付判決を得た貸金債権について,その消滅時効が完成した後に,再度,確認の訴えを提起したという事案であり,Yに対する呼出しは一審・控訴審を通じて公示送達によって行われたが,Yは期日に出頭せず,答弁...
《解 説》
1 本件は,「天理教」との名称の宗教法人Xが,「天理教豊文教会」との名称の宗教法人Yに対し,その名称の使用は,不正競争防止法2条1項1号又は2号所定の不正競争に該当し,又はXの名称権を侵害するものであるとして,当該名称の使用の差止め等を求めた事案である。
Yの前身は,大正14...
《解 説》
1 本件事案は,概要,次のとおりである。原告は,地元の工業高校を卒業して精密小型モーターの製造・販売を目的とする会社である被告に入社した。原告は,組合活動歴が長く当時は組合の執行委員の地位にあり,長年にわたり被告の製造工程で勤務してきたところ,目を患い,当時担当していたモーター...
武蔵野市長交際費事件 1 資金前渡を受けた職員のする地方公共団体に債務を負担させる行為及び債権者に対する支払いと住民訴訟の対象となる「公金の支出」 2 資金前渡を受けた職員と地方自治法(平成14年法律第4号による改正前の)242条の2第1項4号にいう「当該職員」 3 資金前渡に関する住民訴訟における当該地方公共団体の長と地方自治法(平成14年法律第4号による改正前の)242条の2第1項4号にいう「当該職員」 4 資金前渡に関する住民訴訟における地方公共団体の長の損害賠償責任 5 地方公共団体の長その他の執行機関が一般的な友好,信頼関係の維持増進自体を目的として各種団体等の主催する会合に出席し,祝金を交付するなどの交際をすることの適否
《解 説》
1 本件は,地方公務員Xが,共済組合Yに対して貸付金債務を負担した状態で破産宣告を受け,その後退職したところ,給与支給機関が,地方公務員等共済組合法(地共法)115条2項に基づき,Xの自由財産である退職手当の中から貸付金残金をYに払い込んだという事実関係の下において,Xが,Yに...
《解 説》
1 本件は,医療法人の理事長として,私立病院(以下「本件病院」という。)を経営していた被告人が,教育公務員である奈良県立医科大学(以下「奈良医大」という。)の教授兼同大学附属病院診療科部長に対し,その教育指導する助教授以下の医師を本件病院へ派遣するなどの便宜ある取り計らいを受け...