《解 説》
1 本決定で職権判示の対象となった事件は,被告人が,伊藤萬株式会社(平成3年1月1日にイトマン株式会社に商号変更。以下「イトマン」という。)及びその子会社の取締役らと共謀の上,両社をして,被告人が実質的に経営する会社から高額な利益を上乗せした価格で多数の絵画を購入させて,イトマ...
《解 説》
1 本件は,大阪の中堅総合商社イトマンを舞台とした特別背任等の多数の経済犯罪から成るイトマン事件のうち,イトマンから巨額の融資を受けていた不動産会社のオーナー経営者であり,イトマンの元常務取締役でもあった被告人に係る事件であるが,本決定において採り上げられた論点は,被告人がイト...
《解 説》
1 本件は,大阪の中堅総合商社イトマンを舞台とした特別背任等の多数の経済犯罪から成るイトマン事件のうち,元社長を被告人とする事件であり,本決定が採り上げて職権判示を加えているのは,特別背任罪の構成要件であるいわゆる図利加害目的,とりわけ加害目的の点である。
2 背任罪や特別背...
《解 説》
1 事案の概要
本訴事件は,Xが,Yに対し,YにおいてXが商標権侵害を行っている旨の告知をした行為が不正競争防止法2条1項14号に該当すると主張して,同法3条に基づく原告標章使用行為が本件各商標権を侵害する旨の告知又は流布の差止め及び同法4条に基づく損害賠償を請求する事案であ...
《解 説》
1 本件は,AB夫婦の子であるXが,父Aが死亡し,さらに,Aの相続に係る民法915条1項の熟慮期間が経過した後でAの遺産の分割が未了の間に,Aの相続人でもあるBが死亡したことから,A及びBの各遺産の分割審判を申し立て,これが併合された事件であり,講学上の広義の再転相続といわれて...
《解 説》
1 本件は,奈良県(以下「県」という。)の住民であるXが,旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,Y(県知事)に対し,奈良県土地開発公社(以下「公社」という。)が県の依頼により土地...
《解 説》
1 本件は,被告人が,内水面である河川において,さく河魚類であるさけ2匹をあみですくいあげて採捕したという水産資源保護法違反の事案である。被告人は,罰金10万円に処するなどとする略式命令を受けたが,この命令には不服があるとして正式裁判を申し立て,公判では,本件犯行場所は内水面で...
《解 説》
1 本件は,被告人が,覚せい剤等の密売を業としたという麻薬特例法5条違反の罪(以下「本罪」という。)の事案であり,問題とされた論点は,本件における公訴事実が,4回の覚せい剤譲渡行為が特定されているほかは,「多数回にわたり,氏名不詳の多数人に対し,有償で譲り渡した」などの概括的な...
《解 説》
1 本件(反訴請求)は,弁護士であるXが,Yとの間でした訴訟委任契約を合意解約し,弁護士報酬等(未払実費及び未払着手金を含むみなし成功報酬)を請求した事案である。なお,Yは,当初,弁護士報酬等の債務不存在確認の本訴を提起したところ,Xが弁護士報酬等の支払を求める反訴を提起したた...
《解 説》
1 X1(昭和23年生)は,平成12年1月20日,激しい頭痛に見舞われたため,救急車でYの開設するA病院に搬送され,CT検査を受けたところ,くも膜下出血を発症していると診断され,直ちにA病院に入院した。
そして,X1は,同月21日,B医師の執刀により,脳動脈瘤頚部クリッピング...
《解 説》
1 本件は,女性であるXが,11歳(小学6年生)から19歳までの約8年間にわたり,祖父であるYから,継続的にわいせつ行為及び強姦(性的虐待行為)を受け,そのために外傷後ストレス障害(PTSD)等の精神症状を発症し,就労不能になったとして,Yに対し,不法行為責任に基づき,後遺障害...
《解 説》
1 事案の概要原告は,「RENAPUR」なる商標の専用使用権者であったが,後に商標権者となった。被告は,被告容器本体及び包装箱に,判決末尾の態様の「ラナパー」及び「Renapur」なる標章(被告標章)を付したレザートリートメントを輸入販売している。
本件は,原告が,被告に対し...
《解 説》
1 本件は,いわゆる「災害調査復命書」が,民訴法220条4号ロ所定の公務秘密文書に該当するか否かが争われた事件である。
2 本件の本案事件は,Xらが,Xらの子が本件事業場において就業中に本件労災事故に遭って死亡したとして,安全配慮義務違反等に基づいて損害賠償を求める事件であり...
《解 説》
1 本件は,生命保険会社である被告との間において,代表取締役Aを被保険者とする災害割増特約及び傷害特約付きの生命保険契約を締結していた原告が,被告に対し,Aが自宅屋上から転落して死亡した事故(以下「本件事故」という。)が不慮の事故に当たるとして,同各特約に基づき,災害死亡保険金...
《解 説》
1 本件は,被控訴人らが,福岡県教育委員会(県教委)が民間団体である福岡県人権・同和教育研究協議会(県同教)に研修名目で教諭を派遣し,この派遣教諭への県からの給与支出が違法であると主張して,その損害賠償を求めた住民訴訟である。改正前の地方自治法242条の2第1項4号(旧規定)に...