《解 説》
1 事案の概要
保険契約者Xと18歳の長男は,保険対象の建物に同居していたが,長男は病理的な精神状態にあり,室内でマッチを使用して燃やすなどの危険な行動に出たりしていた。Xは,妻とともに長男の動向に注意し,消火器を備え,医師の治療を受けさせるなどしていたが,放火前日にXが長男...
《解 説》
1 事案の概要と争点
本件は,第2次世界大戦中,国民徴用令によって朝鮮半島から広島市に強制的に連行され,当時の三菱重工業(旧三菱)の工場で労働に従事し,原爆に被爆したXらが,国に対して,強制連行等の国際法違反,不法行為,安全配慮義務違反,在韓被爆者援護のための立法の不作為の違...
《解 説》
1 被告人は,自動車ナンバー自動読取りシステム(いわゆる「Nシステム」)は国民のプライバシーの権利を侵害するものであると主張し,抗議行動として,東京都内及び千葉県内において,自動車登録番号標に赤外線を吸収するための物を取り付けて普通乗用自動車を運転したところを,道路交通法71条...
《解 説》
1 本件は,原告らが,被告Y1から,土地建物(以下,このうち建物を「本件建物」という。)を購入したところ(以下「本件売買契約」という。),本件建物に白ありの侵食による欠陥があり損害を被ったと主張して,①売主である被告Y1に対して主位的に不法行為(宅地建物取引業法〔以下「宅建業法...
《解 説》
1 訴外A(昭和30年生)は,昭和49年4月から,埼玉県信用金庫,シャルム書房等に勤務していたものであるところ,胸膜腫瘍等に罹患し,平成8年8月ころから,大宮赤十字病院,癌研附属病院等に入通院して治療を受けていたが,平成9年9月27日に死亡した。
そこで,Aの遺族であるXらは...
《解 説》
1 Xは,「XがYに対して利益配分金1億1418万5000円を支払う約束をしたとの虚偽の主張をYがして不当な利益配分金の支払請求訴訟を提起し,X名義の支払念書(甲2)を偽造して証拠として提出したから,Xはこれに応訴するために弁護士費用650万円の支出を余儀なくされた。」旨主張し...
《解 説》
1 本件は,自転車競技法に基づいて日本自転車振興会に登録された競輪選手である原告らが,門司競輪場及び小倉競輪場において競輪事業を行ってきた被告に対し,被告が,正当な理由なく,また,事業継続のための努力をすることなく門司競輪場での競輪事業を廃止したため,各原告らは,廃止から2年間...
《解 説》
1 事案の概要等
本件は,JR西日本東海道本線塚本駅近くにおいて発生した,線路脇に入り込んでいた少年と新快速電車の接触人身事故(以下「第1次事故」という。)が本件に先立って発生し,事故現場において救急隊員らにより少年の救助活動が行われている状況にあったにもかかわらず,後続の特...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,Yが開設するAクリニックにおいて豊胸術を受けることにし,いずれもB医師の執刀によって,合計5回にわたって手術を受けた。
Xは,1回目は経腋窩大胸筋下食塩水バッグ挿入術を受け,その後,大胸筋下再剥離の上でバッグ入替術を受けてバッグの大きさを変更したものの...
《解 説》
1 本件は,原告らが,自動二輪車で走行していた原告らの息子が,転倒して,ガードレール(以下「本件ガードレール」という。)の支柱のベースプレート上のボルト(判決別紙図面参照)に,ヘルメットの上から同人の後頭部が突き刺さって死亡した原因は,ガードレールの設置の瑕疵にあるとして,その...
《解 説》
1 本件は,定期金の給付を命ずる仮処分の執行について,民事保全法43条2項の期間の起算点が問題となった事案である。
2 X(抗告人)は,Y(相手方)に対し,「平成16年4月から平成17年2月まで毎月2日限り20万円を仮に支払え。」との内容の定期金の給付を命ずる仮処分についての...
《解 説》
1 本件事案の概要
X会社(フランチャイザー)は,平成14年4月,Y1(フランチャイジー)との間で,契約終了後3年間の競業避止義務の定めがある弁当宅配事業のフランチャイズ契約(本件契約)を締結した。Y1が自ら事業を営んでいたのは2か月ほどだけで,その後は,Y1の店舗の店長Y2...
《解 説》
1 本件は,被控訴人が,国立療養所南愛媛病院の社会福祉法人への経営委譲に係る厚生労働省と地元関係者との再編成協議会の議事録について,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)3条に基づく開示請求に係る控訴人の不開示決定の取消しを求めた事案である。
...
《解 説》
1 本件は,いわゆるストックオプションの権利行使益の所得税法上の所得区分が争われた事件である。ストックオプションの権利行使益の所得区分をめぐっては多数の訴訟が提起されているが,本件はこれらのうち最高裁に係属した最初の事件である。本判決は,ストックオプションの権利行使益が給与所得...
《解 説》
Y県においては,財政的危機を理由に平成11年3月,同11年度の知事等及び職員の給与及び調整手当を3.5%,期末,勤勉手当を8%,1年間減額するとの内容の給与抑制条例を制定公布した。Y県は,12年3月にも同12年度の給与等を11年度と同様に減額するとの内容の条例を制定公布し,さら...