《解 説》
1 本件は,父の遺産をめぐる兄姉弟間の争いの事案であり,姉Xが,父死亡後,その遺言に基づき,遺産である本件各不動産につき相続を原因とする単独所有の登記を了し,また,父名義の本件貯金を解約してその払戻しを受けている弟Yに対し,(1)Xに全財産を相続させる旨のより後に作成された父の...
《解 説》
1 上告人岡山大学学友会(Y)は,岡山大学の全学生を正会員とし,同大学の学長を会長とし,同大学の教官その他の有志職員を特別会員等として組織された団体であり,学生による課外活動(サークル活動)を推進する事業を行う権利能力のない社団であった。
被上告人Xは,昭和50年4月,Yとの...
《解 説》
本件は,業務上過失致死傷罪で裁判中の被告人が,死亡した被害者の両親の言動に立腹し,平成13年7月5日,両親の名誉を毀損する記事を,ホームページの掲示板に掲載し,両親の名誉を毀損したという事例である。
父親は,同年10月4日ころ,本件記事の掲載を知り,被告人が犯人ではないかとの...
《解 説》
本件は,地方自治法(平成14年3月30日法律第4号による改正前のもの。以下「法」という。)242条の2第1項4号による住民訴訟を提起して一部勝訴した原告らが,普通地方公共団体である被告に対し,同条7項に基づき,上記住民訴訟にかかる弁護士報酬及び訴訟実費の各相当額の支払を求めた事...
《解 説》
1 本件で問題となっているXが訴訟代理人となって提起した別件訴訟というのは,ゴルフ会員権業者のAが預託金会員制ゴルフクラブの会員から会員権を取得してゴルフ場会社に対してその返還を求める事業が弁護士法72条,73条に違反するか否かをめぐって争われた事案につき,最高裁が平成14年1...
《解 説》
1 本件は,Yの製造販売するクリップが,Xの「プリント基板用治具に用いるクリップ」の発明に係る特許権(本件特許権1)の技術的範囲に属し,その製造販売が同特許権を侵害するとして,Xが,Yの製造販売するクリップの製造販売等の差止め等及び損害賠償を求めるとともに,Yによる同製品の製造...
《解 説》
1 本件は,Yの製造販売する製品が,Xの有するネックレスの止め具及び紐止め装置に係る特許権を侵害するとして,XがY製品の製造販売等の差止め及び損害賠償を求めた事案である。
本件特許権は,分割出願によって特許されたものであったが(その基になった発明を「原出願特許発明」という。)...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 原告東芝及び原告日本電気は,平成7年ないし9年当時,我が国において,郵便番号自動読取区分機類のほとんどすべてを製造販売していたところ,被告は,原告らは公共の利益に反して,郵政省(当時)が一般競争入札の方法により発注する郵便物自動選別取りそろえ押印機等(...
《解 説》
1 本件は,建物区分所有法3条所定のマンション管理組合であるXが,その組合員である区分所有者のYに対し,滞納管理費及び特別修繕費の支払を求めた事案である。
Yは,区分所有建物である本件マンションの1室を前区分所有者から購入した者であるが,この前区分所有者は,6年余りにわたって...
《解 説》
1 上告人Xらは東京都の住民であり,被上告人Yらは,自動販売機で販売されるたばこ又は清涼飲料水等の商品の製造業者である。本件は,Yらが自動販売機を都道に権原なくはみ出して設置したことによって東京都は都道の占用料相当額の損害を被ったとして,Xらが,東京都に代位して,Yらに対してそ...
《解 説》
1 本訴事件は,甲土地(土地の呼称は本判決中の記載に従う。)の所有者たる本訴被告・反訴原告(以下「被告」)が,隣接する乙土地との境界を跨ぐようにコンクリートを敷設したり排水管等を設置したりして,乙土地の一部を通行及び下水道の設置利用等のために使用していることにつき,競売による売...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,荷送人の運送人に対する海上物品運送契約の債務不履行を理由とする損害賠償請求について,1年の除斥期間が経過して許されないかが問題となった事案である。
本件の原告(なお,原告は,X1,X2の2名であり,そのいずれかが運送契約の当事者であるとして,併合請求...
《解 説》
1 本件は,Xが,冷凍スモークマグロ切り身を輸入するため,Yに対し,食品衛生法(平成15年法律第55号による改正前のもの。以下「法」という。)16条に基づく輸入届出書を提出したところ,Yから同切り身が一酸化炭素を含有しているとして添加物を含有する食品等の輸入等を禁ずる法6条に違...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
X1(事故当時79歳)は,平成10年9月24日,全身麻酔下で開頭術による脳下垂体腫瘍摘出術を受けた。X1は,翌25日から,手術の影響により,せん妄(意識,注意,認知,知覚が障害される病態)の症状を示すようになったため,I医師らは,対話...
《解 説》
1 本件は,弁護過誤訴訟の事案である。
原告は,元妻Aが原告を保証人としたり,原告名義を借用したりして金銭の借入れを繰り返していたほか,原告所有の不動産や車両等も無断で売却処分するに及んで危機感を募らせ,弁護士である被告に解決方法を相談し,解決のための法律事務を委任した。その...