《解 説》
1 事案の概要
原告は,音楽制作,音楽家の養成,音楽著作権管理,コンサートや各種イベントの企画・制作等を業務とする有限会社であり,主催者ないしその元請からイベント現場の運営や管理について下請を受注し,現場へ派遣する実働員のアルバイト員を登録し,その中から現実のイベント日に実働...
《解 説》
1 本件は,医師法21条が定める医師の異状死体に関する警察への届出義務違反が問題となったものである。同条は,医師が,死体や妊娠4か月以上の死産児を検案して異状を認めた場合には24時間以内に警察署へ届け出なければならない旨を罰則付きで定めている。
事案の経緯は,都立病院で,看護...
《解 説》
所得税法64条2項は,保証債務を履行するため資産の譲渡があった場合において,その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使できないこととなったときは,その部分の金額を,その資産の譲渡による収入金額のうち「回収することができないこととなった部分の金額」とみなして譲渡収入金額を計算するこ...
《解 説》
本件は,被告人が,営利目的で,Aらに対し,覚せい剤結晶約10グラムを代金7万円で譲り渡し(原判示第1),B及びCと共謀の上,営利目的で,覚せい剤結晶約61.794グラム及び大麻草約80.162グラムを所持し(同第2),D,E,F,G及びHと共謀の上,営利目的で,覚せい剤原料と覚...
《解 説》
本件は,外国法人との間で外国為替証拠金取引を行い損失を被った原告が,この取引の仲介業者である被告に対し,同取引は詐欺又は賭博であり,商品取引所法その他の規制に違反しており,全体として不法行為を構成するなどと主張して,不法行為に基づき,取引差損相当額の賠償を求めた事案である。
...
《解 説》
1 はじめに
本判決は,独占禁止法24条の差止請求及び一般民事上の継続的商品供給契約の解約の有効性を主要争点とする地位確認等の請求に関するものである。まず,独占禁止法上の差止請求については,不公正な取引方法となる行為が出荷停止という不作為である場合であっても,給付という作為を...
《解 説》
1 Y市議会は,Y市内を流れる河川のダム建設基本計画について国土交通省から見直し案が提示されたことを受けて,流域の市町村を含めたダム対策協議会の受入れの決定と前後して,見直し案を受入れる旨の決議をした。これに対して,Y市在住の5人の代表世話人が,ダム等に関する計画の賛否を問う住...
《解 説》
1 富山県新湊市の市民であるXが,老人福祉施設内で負傷し(本判文中の「本件事故」がこれに当たる。),その治療のために入院した市民病院で死亡した実母の死因(死亡の経緯を含む広義の死因)を知りたいとして,同病院の実母のカルテ等診療記録(本件診療記録)について,新湊市情報公開条例(本...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,平成6年1月,特別養護老人ホーム等を経営するYとの間で雇用契約を締結し,当初は,特別養護老人ホームサンシャインビラ(以下「本件施設」という。)の事務長として,平成8年3月以降は本件施設の副施設長として,主として,従業員及び本件施設の監...
《解 説》
1 本件は,某町内会の自治会会長であった被告人が,当時の日本電信電話株式会社(現東日本電信電話株式会社)の加入電話による他人間の通話内容が盗聴録音されたカセットテープを入手し,その一部を別のカセットテープに複製,編集し,2回にわたり,自治会館等で開かれた自治会定例会前の役員会や...
《解 説》
1 本件は,父の遺産をめぐる兄姉弟間の争いの事案であり,姉Xが,父死亡後,その遺言に基づき,遺産である本件各不動産につき相続を原因とする単独所有の登記を了し,また,父名義の本件貯金を解約してその払戻しを受けている弟Yに対し,(1)Xに全財産を相続させる旨のより後に作成された父の...
《解 説》
1 上告人岡山大学学友会(Y)は,岡山大学の全学生を正会員とし,同大学の学長を会長とし,同大学の教官その他の有志職員を特別会員等として組織された団体であり,学生による課外活動(サークル活動)を推進する事業を行う権利能力のない社団であった。
被上告人Xは,昭和50年4月,Yとの...
《解 説》
本件は,業務上過失致死傷罪で裁判中の被告人が,死亡した被害者の両親の言動に立腹し,平成13年7月5日,両親の名誉を毀損する記事を,ホームページの掲示板に掲載し,両親の名誉を毀損したという事例である。
父親は,同年10月4日ころ,本件記事の掲載を知り,被告人が犯人ではないかとの...
《解 説》
本件は,地方自治法(平成14年3月30日法律第4号による改正前のもの。以下「法」という。)242条の2第1項4号による住民訴訟を提起して一部勝訴した原告らが,普通地方公共団体である被告に対し,同条7項に基づき,上記住民訴訟にかかる弁護士報酬及び訴訟実費の各相当額の支払を求めた事...
《解 説》
1 本件で問題となっているXが訴訟代理人となって提起した別件訴訟というのは,ゴルフ会員権業者のAが預託金会員制ゴルフクラブの会員から会員権を取得してゴルフ場会社に対してその返還を求める事業が弁護士法72条,73条に違反するか否かをめぐって争われた事案につき,最高裁が平成14年1...
《解 説》
1 本件は,Yの製造販売するクリップが,Xの「プリント基板用治具に用いるクリップ」の発明に係る特許権(本件特許権1)の技術的範囲に属し,その製造販売が同特許権を侵害するとして,Xが,Yの製造販売するクリップの製造販売等の差止め等及び損害賠償を求めるとともに,Yによる同製品の製造...