《解 説》
1 事案の概要
本件は,破産者であるY(相手方)がした免責申立てを許可した原決定に対し,その債権者であるX(抗告人)が不服を申し立てた事案である。
具体的な事案は,電設会社の営業次長という立場にあったYが,その知人であるAとの個人的な関係から,Aの営む事業のため,資金を調達...
《解 説》
1 本件起訴状記載の詐欺の訴因の要旨は,「被告人は,不正に入手した他人名義Aのクレジットカードを使用し,加盟店であるガソリンスタンドの従業員に対し,A本人に成り済まし,同カードの正当な利用権限がなく,かつ,同カード会員規約に従いカードの利用代金を支払う意思及び能力がないのにこれ...
《解 説》
1 原告は,ゴルフ会員権の預託金返還訴訟等,ゴルフ関係の訴訟を多く手がけ,この分野では著名な弁護士であり,被告は,ゴルフ場経営者向けの月刊誌「ゴルフ場セミナー」(以下「本件雑誌」という。)等,ゴルフ関係の書籍の出版を行っている株式会社である。なお,原告は,従前,本件雑誌にゴルフ...
《解 説》
1 本件患者は,被告が開設する病院において顔面神経減圧術を受けたが,その後,硬膜外血腫を生じ,手術15日後に死亡した。本件患者の遺族である原告らは,被告に対し,①本件患者は,硬膜外血腫を生じ小脳梗塞に至って死亡したが,②被告の医師の顔面神経減圧術(以下「本件手術(1)」という。...
《解 説》
Yは,横浜市立の小中学校に対して歯科巡回指導を中心とする学校歯科保健事業を行う団体である。Xは,この歯科巡回指導を行う歯科衛生士として被告に雇用されたが,頸椎症性脊髄症に罹患し,昭和63年12月23日から平成7年1月19日まで,休職等の制度を利用し,あるいは欠勤して休業した。Y...
《解 説》
1 本件の事案の概要は次のとおりである。ノンフィクション作家である原告は,数回にわたり,防衛庁長官に対して情報公開法に基づく行政文書開示請求を行い,その際,氏名,住所,電話番号等を記載した行政文書開示請求書を提出したほか,原告の手続を担当した防衛庁職員に対して,「私もジャーナリ...
《解 説》
1 本件は,競走馬を所有し,又はかつて所有していたXらが,当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売等した業者であるYに対し,競走馬の名称等が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利を有すると主張し,名称等の無断使用がただちにこの権利を侵害する...
《解 説》
①,②事件は,いずれも判決宣告手続の途中で,その手続を当該期日において完結させることなく,次回期日以降に改めて判決宣告手続を開始し,判決を宣告した事案である。
①事件は,単独裁判官が判決の宣告手続を開始して,主文を朗読した上,理由として,罪となるべき事実と法令の適用を告げ,続...
《解 説》
1 本件各事件は,京都市(以下「市」という。)の住民が,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号。平成12年京都市条例第41号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,本件条例所定の実施機関である市公営企業管理者交通局長(①事件)又は市長(②事件...
《解 説》
1 被告人は,普通乗用自動車の無免許運転及び速度超過の違反事実により検挙されたが,検察官は被告人には前科がないものと誤認し,罰金9万8000円の科刑意見を付して略式命令を請求し,簡易裁判所は科刑意見どおりの略式命令を発した。
ところが,略式命令発付直後,被告人に累犯前科を含め...
《解 説》
1 本件は,1審判決の理由中で無罪とされた事実につき,控訴審裁判所が職権調査を加えて1審に差し戻すことの是非が問題になった事案である。
被告人は,公園で野宿していたものであるが,パチンコ店でトイレを借用した際に,携帯していた折りたたみ式ナイフでパチンコ店従業員Aを脅迫したとさ...
《解 説》
1 本件の判旨に関係する傷害致死の事案は,大要次のようなものである。
被告人は,外数名と共謀の上,被害者に対し,その頭部をビール瓶で殴打したり,足蹴にしたりするなどの暴行を加えた上,共犯者の1名が底の割れたビール瓶で被害者の後頚部等を突き刺すなどし,同人に左後頚部刺創による左...
《解 説》
1 Xは,女性問題や家庭内暴力等の問題等に係る活動を行ってきた者であり,Yは,作家である。Xは,Yに対して,Yを著者と表示して出版された書籍について,Xが単独又はYと共同で創作したものである旨主張して,著作権ないし著作者人格権に基づき,損害賠償の支払,謝罪広告の掲載及び本件書籍...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,いわゆるストックオプションの権利行使益が給与所得か一時所得かが争われた事案である。Xは,半導体の製造等を業とする米国法人Aの100%子会社である日本法人Bに取締役として勤務し,A社からストックオプションを付与され平成8年から10年にかけてこれを行使して...
《解 説》
本件は,コンビニエンスストアで万引きをして私人に現行犯人逮捕され,警察官に引き渡された被告人が,なおも逃走しようとして抵抗した際,警察官からけん銃を奪い取ろうとしたという事案であり,一審判決は強盗致傷罪の成立を認めたが,控訴審判決である本判決では,被告人の暴行は相手方警察官の反...