《解 説》
一 本件は、堺市内に住む老夫婦(A男、B女)が自宅で殺害されて金品等が奪われ、その翌日死体が休耕地に遺棄されようとしていたという強盗殺人、死体遺棄等事件について、第一審が死刑を言い渡した被告人に対する控訴審判決である。
本件の概要は、被告人が、①ほか二名と共謀の上、被害者夫婦...
《解 説》
一 XとYはいずれも税理士業を営む者である。Xは、資金別貸借対照表に係る実用新案権を有しており、Yは、自らの業務において資金別貸借対照表を使用している。本件は、XがYに対し、Yの使用する資金別貸借対照表はXの登録実用新案(本件考案)の技術的範囲に属するからYの行為はXの実用新案...
《解 説》
一 本件は、被告(中労委)が、原告(東海旅客鉄道株式会社)に対し、同社の新幹線鉄道事業本部東京運転所科長Aが補助参加人(ジェイアール東海労働組合)に加入する組合員甲、乙、丙三名に対し、組合脱退勧奨等の不当労働行為を行ったとして、救済命令(脱退勧奨を行うことにより、補助参加人組合...
《解 説》
一 混合的包括一罪として主に議論されるのは、一連の行為が必ずしも罪質を同じくしない数個の構成要件に該当する場合にも包括一罪が認められるかということに関してであり(小林充「包括的一罪について」判時一七二四号三頁)、下級審においては、傷害結果が強盗の犯意発生の前後いずれの暴行によっ...
《解 説》
一 本件は、ガイアックスという名称のガソリン代替燃料が軽油引取税の課税対象になるかどうかが争われた事案である。
地方税法七〇〇条の三第三項は、特約業者又は元売業者が「炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、一気圧において温度十五度で液状であるものを含む...
《解 説》
一 事案の概要
本判決は、交通事故に係る業務上過失致死傷被告事件について、最高裁が一、二審の有罪判決を破棄した上、無罪を言い渡したケースである。上告審における無罪の自判は、最一小判平13・1・25刑集二八〇号五頁、本誌一〇五三号一〇二頁以来となる。
事案は、交差点で車と車が...
《解 説》
1 Aは,本件当時,15歳の男子であり,地方公共団体である被告の経営する病院(被告病院)において,3度にわたり,脳腫瘍摘出手術を受けたが,3度目の脳腫瘍摘出手術(本件手術)後,後頭蓋窩に髄液が貯留し,敗血症及び髄膜炎を併発して死亡した。Aの両親である原告らは,Aの容態が急変した...
《解 説》
一 本件は、ビルの一階部分を賃借して「婦人服販売店」を経営していた原告が、後に別の賃借人が同ビルの地下一階を賃借して「飲食店」の経営を始め、悪臭を発生させたとして、被告である同ビルの賃貸人に対して、債務不履行による損害賠償請求をし、被告はこれを争うとともに、予備的に未払賃料債権...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、いわゆる「もんじゅ」行政訴訟の差戻後の第二審(控訴審)判決である。
本件は、動力炉・核燃料開発事業団(平成一〇年一〇月一日の組織改正により新法人として設立された核燃料サイクル開発機構に移行した。以下「動燃」という。)が福井県敦賀市白木に建設中(昭和六...
《解 説》
一 本件は、平成七年一月一七日午前五時四六分ころ発生した兵庫県南部地震(淡路島北端を震源地とするマグニチュード七・三の内陸都市直下型地震)によって、阪神高速道路三号神戸線の兵庫県西宮市甲子園高潮町地区に所在する高架橋脚一基が倒壊した際に、同所を走行していた車両の運転者が、橋脚の...
《解 説》
一 本件は、被告(経済産業大臣)が自転車競技法(以下「法」という。)四条一項に基づき、M社に対してした場外車券売場設置許可処分(以下「本件許可処分」という。)について、場外車券売場が設置される地元地方公共団体(以下「地元自治体」という。)である原告が、右許可処分が違法であるとし...
《解 説》
一 本件は、ゴルフ用品製造販売等を営む被告会社の代表取締役である被告人が、同会社のいわゆる免税店において、事業用に購入する意図をもつ韓国人バイヤーに対し消費税分を上乗せしない値段でゴルフ用品等を販売して得た課税売上について、あたかも外国人旅行者に対する免税売上であるかのように装...
《解 説》
本件は、常習累犯窃盗罪により三回にわたって服役した前科を有する被告人が、更に常習として、早朝、車庫内に駐車中の自動車内に置かれていたウエストバッグ内から現金約八万円を窃取したという常習累犯窃盗の事案である。
被告人は、本件犯行により得た現金を使って生活していたが、約一週間後の...
音楽ファイル交換事件(ファイルローグ事件)(中間判決〉 (1)ピア・ツー・ピア方式による電子ファイル交換サービスの提供者が,利用者により同サービスが市販のレコードを複製した音楽電子ファイルの交換に利用されることを予想しながら,音楽電子ファイルをパソコンの共有フォルダに蔵置している利用者のパソコンを,サーバに接続させる行為は,自己の営業上の利益を図り,自己の管理の下に,送信者に音楽電子ファイルの自動公衆送信及び送信可能化を行わせるものであり,当該サービス提供者は,自動公衆送信権及び送信可能化権の侵害の主体に該当すると解することが相当である (2)前記サービスの提供者である会社及び同会社の取締役は,前記の著作権侵害が行われることを防止するための適切,有効な措置を講じる義務を怠った過失により,不法行為による損害賠償責任を負う (3)前記サービス提供者はプロバイダ責任法2条4号所定の「発信者」に該当し,同法3条1項によりその責任を制限することはできない
《解 説》
本件は,保険金の取得を目的とした被害者1名の殺人及び保険会社8社に対する保険金詐欺未遂,居住者を立ち退かせる目的での現住建造物等放火,さらに暴力行為等処罰に関する法律違反,脅迫からなる事案である。
保険金殺人事件は,被告人が,一攫千金を夢見て肉牛の取り込み詐欺を画策し,暴力団...
《解 説》
本件は、原告がパチンコ店を経営していた建物(以下「本件建物」という。)が火災にり災した(以下「本件火災」という。)ことから、原告が、同建物の設備及び什器等を目的として保険会社である被告との間で締結していた店舗総合保険契約(以下「本件契約」という。)に基づき、被告に対して保険金三...
《解 説》
一 被告有限会社日本エム・エム・オー(Y1)は、利用者のパソコン間でデータを送受信させるピア・ツー・ピア技術を用いて、中央サーバ(Yサーバ)を設置し、インターネットを経由してYサーバに接続されている不特定多数の利用者のパソコンに蔵置されている電子ファイルの中から、同時にYサーバ...
《解 説》
1 本件は,株式会社のYと,同社の株主で,取締役であるというX(なお,Xの株主ないし取締役としての地位の存否については,いずれも係争中)との間でYがした新株発行の存否をめぐって争われている事案であるが,その事実関係は,概略,以下のとおりである。すなわち,Yは,亡Aが設立した倉庫...