《解 説》
本件は、口論の相手方から襟首付近を掴まれるなどの暴行を受けた被告人が、所携の包丁で相手方の左腕を切りつけ、傷害を負わせたという事案につき、被告人には防衛行為の過剰性を基礎付ける事実の認識があったとして、誤想防衛の成立を否定し、過剰防衛の成立を認めたものである。
弁護人は、被告...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
A(昭和一〇年生まれの男性)は、他社勤務を経て、昭和六〇年にB会社に雇用され、昭和六三年以降、同社工場の包装作業場において、夜勤を含む二交替の変形労働時間制(A組・B組ごとに二週間単位で昼勤六日、夜勤四日、休日四日の定めがされている。...
《解 説》
一 Yは、本件商標「財団法人日本美容医学研究会」の商標権者である。名称を「日本美容医学研究会」とする人格なき社団であるXは、本件商標登録を無効とすべき旨の審判を特許庁に請求した。Xは、本件商標登録出願である昭和五二年よりもはるか以前に設立され、現在もその活動を行っていること、本...
《解 説》
一 本件は、都市計画法五九条一項に基づく都市計画事業の認可処分につき建設大臣に審査請求をした原告が、同審査請求を不適法として却下する旨の裁決を受けたので、その取消しを求めた事件である。
本件の争点は、本件審査請求について、行政不服審査法(以下「行服法」という。)一四条一項が規...
《解 説》
1 X(昭和24年生)は,平成3年6月1日,左乳房腫瘤を訴えて,Yの経営するA病院で受診したところ,乳頭腺管癌であると診断されたため,同月7日,A病院に入院し,乳癌の摘出手術(以下「本件手術」という。)を受けた。
その後の平成3年10月2日,身体の異常を訴えて他の病院で受診し...
《解 説》
本件は,Y(宗教法人,浄土真宗本願寺派の寺)の「法中」という地位にあって,葬儀や法事等の法務活動を行ってきたXらが,Yによってその地位を解任されたことにつき,解任が無効であるとして,「法中」たる地位にあることの確認を求めた事案である。
Xらは,本山で得度して僧籍を取得したもの...
《解 説》
一 本件は、Xら一五名が、詐欺的・脅迫的言辞を用いたY(世界基督教統一神霊協会)の信者による違法な勧誘行為によって、Yに対する献金・Yの関連会社が販売する商品の購入をさせられたとして、Yに対し、民法七〇九条又は民法七一五条に基づき、損害賠償として、献金・商品代金相当額、慰謝料及...
《解 説》
一 本件は、物上保証人所有の不動産を目的とする競売において、物上保証人が、被担保債権が時効消滅したと主張して、競売手続の取消しを求めて執行異議を申し立てた事案である。競売開始決定正本の債務者に対する送達が公示送達によってされた場合に、民法一五五条の通知がされたものとして被担保債...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,滋賀県内の愛知川流域内の一定地域を施行地域として,農業用用排水施設として永源寺第二ダムを新設することを主たる内容として平成6年になされた国営愛知川土地改良事業の事業計画決定に対し,施行地域ないし流域住民らから異議申立がなされたが,これを却下ないし棄却し...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,青果仲卸業者を組合員として中小企業等協同組合法(中企法)に基づいて設立された事業協同組合から脱退した原告らが,同協同組合を被告として,脱退による持分の払戻金の支払を求めた事案である。
原告らが,その脱退により,被告に対し,脱退の効力が生じた平成12年...
《解 説》
1 X1ないしX5の5名は,Y1の詐欺行為により,消費者金融会社に対し債務を負担させられることになり,合計約690万円の損害を被った。Xらは,この損害を賠償させる意図で,Y1に,1000万円を一括支払いさせることを内容とする証書(本件証書)に署名押印させた上,さらにY1の妻であ...
《解 説》
一 本件は、竹原市の住民である原告が、竹原市長であった被告が竹原市立たけはら美術館の所蔵する美術品に対する盗難防止のための管理体制の整備について必要な措置を怠ったために、美術品が盗まれ、これによって竹原市が損害を被ったとして、地方自治法二四二条の二第一項四号前段に基づき損害賠償...
《解 説》
一 本件は、いわゆる草加事件として著名な事件である。事件の経過、本件訴訟の経過は、本判決の「第2 事案の概要」の「1 前提となる事実」の(2)、(3)に記載されたとおりである。
少年らは容疑者として逮捕され、最終的には全員が強姦等の非行事実を認める供述をしていたが、浦和家庭裁...
《解 説》
一 本件は、飲酒酩酊して正常な運転が困難な状態で、普通貨物自動車を運転して時速約二〇キロメートルで走行中、前方で信号に従い停止中の普通自動二輪車に追突させてその運転者(当時一七歳)を負傷させたのに、運転を継続し、時速約八〇キロメートルに加速して逃走中、左前方を同方向に進行中の原...
《解 説》
一 本件は、自動車の所有権取得の準拠法が問題となった事件である。
本件の事案については、概要図を参照されたい。本件自動車は、ドイツで登録され、ドイツ在住の個人BがA社(リース会社)とのリース契約によって使用していたメルセデスベンツ五〇〇SLという高級車である。X社は、ドイツの...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、東京都渋谷区の商業地(二筆合計四〇五・三三平方メートル)の平成九年度の固定資産評価について、固定資産評価審査決定の取消が請求された事件である。土地課税台帳に登録された価格は、合計で八億八七〇〇万八七六〇円であったが、これについて所有者Xがした審査申出は...