《解 説》
一 本件は、Y1信用金庫から、同金庫のZに対する貸付けにつき、Zの連帯保証人となったとして、Zと共に、貸金の返還を求める訴訟(前訴)を提起されたXが、その訴訟に欠席して敗訴判決を受け、同判決が確定した後、Y1主張の連帯保証契約の締結当時、Xに意思能力はなかったから、当該連帯保証...
《解 説》
一 プロダクト・バイ・プロセス・クレーム解釈において、原審東京地裁判決がプロセスの構成を重視したのに対し、控訴審の本判決が、物の発明のクレーム中のプロダクト構成部分には意味がないと判断した事例である。
原告は、止め具及び紐止め装置の特許権に基づく侵害差止及び損害賠償を請求し、...
《解 説》
一 本判決は、乳がんの手術に当たり、当時医療水準として未確立であった乳房温存療法について医師の知る範囲で説明すべき診療契約上の義務があるとした最三小判平13・11・27民集五五巻六号一一五四頁、本誌一〇七九号一九八頁の差戻後の控訴審判決である。
二 事案の概要とこれまでの訴訟...
《解 説》
一 国鉄労働組合、国鉄労働組合東日本本部及び国鉄労働組合仙台地方本部は、日本国有鉄道の分割・民営化に伴って設立された東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の職員採用に際し、所属組合員であるXが採用されなかったのは不当労働行為に当たると主張して、宮城県地方労働委員会に対して救済を申...
《解 説》
第一 事案の概要
1 Xは、アメリカ合衆国において、発明の名称を「FM信号復調装置」とする米国特許権(本件米国特許権。その発明を「本件発明」という。)を有している。なお、Xは、我が国において、本件発明と同一の発明についての特許権を有していない。
Yは、我が国において、本件発明...
《解 説》
一 原告は、平成二年一月五日、年俸制の給与で被告に雇用され、平成一二年五月九日、定年により退職した。被告の就業規則は、従業員の退職に関する事項は退職金規定によると定めており、原告が雇用された当時の退職金規定(旧退職金規定)及びこれを受けた退職金算定に関する内規(旧内規)には、①...
《解 説》
一 Xらは、韓国籍を有しているが、日本で出生し、平成九年当時岐阜県可児郡御嵩町に居住し、外国人登録をしている者である。御嵩町は、御嵩町小和沢地区に計画されている産業廃棄物処理施設の設置に対する賛否につき住民投票を実施することになり、同年一月一四日、「御嵩町における産業廃棄物処理...
《解 説》
1 大阪府警は,平成12年11月8日,日本赤軍幹部の甲(昭和49年9月13日のいわゆるハーグ事件等で国際手配中であった。)を,大阪府内において逮捕したが,甲の所持品や潜伏アジトからの押収資料から,日本赤軍構成員及び日本赤軍支援者と目される乙らが,日本国内において,甲を蔵匿又は隠...
《解 説》
一 本件は、医療過誤事件である。亡A(当時七六歳)は、平成九年三月一二日、Yが経営するS県M市にある本件病院で、癌の疑いがあるとのことで、本件病院の医師らの執刀で腎臓摘出手術を受けたが、術後間もなく容態が急変し、翌一三日早朝死亡した。亡Aの妻及び子であるXらは、亡Aの死因は、①...
《解 説》
被告ら地方公共団体及び一部事務組合(複数の地方公共団体により組織されたもの。)は、排出するゴミの焼却灰の資材化につき、訴外A社に業務委託した。A社の提携会社訴外B社は、焼却灰中の有害物質を不溶性物質に変え、焼却灰を土地改良材やセメントの原料とする工法を開発し、A社が受託した焼却...
《解 説》
一 本件は、いわゆる新宿ホームレス退去妨害事件として著名な事件である。すなわち、東京都が新宿駅西口の地下道に「動く歩道」を設置しようとした際、その設置に反対する被告人両名が、設置工事の前段階となる環境整備工事を実力で阻止しようと企て、他の者と共謀の上、バリケードを構築するなどし...
《解 説》
一 事案の概要
本件の事実関係の概要は、次のとおりである。Xは、高額の担保価値(価格は九三〇〇万円で担保掛け目を乗じると担保価値は六〇〇〇万円前後ある。)のある不動産を所有し、それには住宅金融会社による住宅ローンの抵当権(残存債務額約二四〇〇万円)がついていた。そして、その返...
《解 説》
一 愛知県は、工事請負業者九社から成る共同企業体との間で、愛知芸術文化センター建設工事の完成を内容とする請負契約を締結したが、その後、同工事に関し変更契約(以下「本件変更契約」という。)を締結し、右共同企業体に対し、増額した請負代金を全額支払った。本件は、愛知県の住民であるXら...
《解 説》
第一 事案の概要
一 事実関係の概要等
1 XとY(生命保険相互会社)は、被保険者をA(Xの代表取締役)、保険金受取人をXとする集団扱定期保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。本件保険契約には、被保険者が、保険契約者又は保険金受取人の故意により死亡した場合には、...
《解 説》
一 本件は、捜索差押許可状の執行方法の適否が問題となった事案である。警察官らは、かねてより覚せい剤取締法違反の件で被疑者の所在を捜査していたが、被疑者の立ち回り先と目されていたホテルから、被疑者が投宿した旨の通報があった。そこで、そのホテル客室に対する捜索差押許可状の発付を得て...
《解 説》
1 本件は,原告らが,被告国に対し,税務署長によってなされた原告らに対する相続税法34条1項所定の連帯納付義務に基づく督促処分につき,国税徴収権の濫用ないし信義則違反の違法があり,また,同税務署長による異議申立棄却の決定及び国税不服審判所長による審査請求棄却の裁決にも前記違法を...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、日米地位協定により国に雇用され、米海軍横須賀基地で働いてじん肺に罹患した原告らが、国に対し、安全配慮義務違反ないし不法行為を理由として慰謝料の支払を求めた事案である。争点は、①国が負うべき安全配慮義務の内容及び国の債務不履行責任ないし不法行為責任の成否...