《解 説》
第一 事案の概要
一 事実関係
1 Y(被告、被控訴人、被上告人)は、「船橋カントリークラブ」といういわゆる預託金会員制のゴルフ場(以下「本件ゴルフ場」という。)を経営している株式会社であり、X(原告、控訴人、上告人)は、本件ゴルフ場の特別会員、正会員及び平日会員によって組織...
《解 説》
本件は、いわゆる「相続させる」遺言によって特定の不動産を全部取得した相続人が、共同相続人の法定相続分について差押えをした債権者に対して、登記なくしてその権利を対抗することができるか否かが問題となった事案である。
事実関係の概要は次のとおりである。Xは、夫である被相続人Aがした...
《解 説》
一 本件は、起業者Yの変電所新設事業に関して土地収用法(以下「法」という。)に基づく土地等の収用裁決を受けたXらが、起業者Yに対し、法一三三条に基づき、損失補償額の変更及びその支払を求めた事件である。 一審及び原審では、被収用地の範囲、被収用地及びその地上物件の価格、残地補償の...
《解 説》
本件二事例は、一年以上の懲役刑が求刑されたが、いずれも罰金刑が言い渡されたものである。包丁等の凶器が使用された傷害罪に関して罰金刑で処断するか懲役刑で処断するかに関しては必ずしも明確な一線があるわけではなく、いわばケースバイケースで処理されている。地裁に起訴され、懲役刑が求刑さ...
抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告において被差押債権の不存在又は消滅を理由とすることの可否(消極)
《解 説》
1 本件は,A社との間でゴルフクラブの会員契約を締結して預託金を預託したXらが,据置期間の経過後,退会の意思表示をして,A社を吸収合併したY1社に対し預託金の返還を求めるとともに,Y1社との間でゴルフクラブの経営(管理)委託契約を締結した上当該ゴルフクラブの名称を続用して営業し...
《解 説》
一 本件は、抵当権に基づく物上代位権の行使としてされた債権差押命令に対する執行抗告において、被差押債権の不存在又は消滅という実体上の事由を執行抗告の理由とすることができるかどうかが問題とされた事件である。
二 X(債権者。なお、Xは、債権管理回収業に関する特別措置法一一条に基...
3 腸閉塞の手術のために行われた麻酔により患者が大脳皮質障害をきたし植物状態に陥った事故について、担当医師に過失があったとして病院側の損害賠償責任が認められた事例
(札幌地裁平14・6・14判決)
《解 説》
一 本件は、原告が平成一三年一月一日時点で保有している各土地(以下「本件各土地」という。)について、本件各土地は平成一二月一月一日から同年一二月三一までの間に原告が取得したものであるとして、被告が原告に対し、特別土地保有税の賦課決定処分(以下「本件処分」という。)をしたところ、...
《解 説》
1 X1(昭和17年生)は,平成3年3月14日,Yの開設するA病院において,胆のう摘出等の手術(以下「第1手術」という。)を受け,その後A病院において引続き治療を受けていたが,腸閉塞の障害が発症したため,同年4月4日,A病院において,イレウスの手術(以下「第2手術」という。)を...
《解 説》
一 本件事案の概要は、銀行業を営む法人であるXが、スイスのH社がオーストラリア国法人であるQ社を買収するため、オランダ国法人であるR社を通じて、オーストラリア国法人であるC社に対し、資金を融資するに当たり、R社がC社から受け取る貸付金利息に対して、オーストラリア国の源泉税一〇パ...
《解 説》
一 本件は、衆議院議員でありM党の幹事長であったX1と同党所属の参議院議員であったタレントOことX2が、Yの発行する週刊誌Sの二〇〇一号八月一六・二三日号に掲載された平成一三年七月に行われた参議院議員選挙を巡る記事(以下「本件記事」という)によって、社会的信用を低下させられたと...
《解 説》
一 本件は、別件訴訟の当事者の一方であるY1(国)の訴訟代理人となった弁護士Y2の他方の当事者であるXに対する言動が裁判の場面における言動であったとしても不当、不法な言動であって、Xに対する名誉毀損の不法行為を構成するとして、Yらに対して慰謝料の連帯支払を求めた事案である。
...
《解 説》
一 本件は、Xから健康保険被保険者証(以下「本件保険証」という。)の貸与を受けたAが、Xを詐称して、消費者金融業者Yから、五〇万円の貸付を受けたこと(以下「本件貸付」という。)に関し、Xが、Yに対し、損害賠償債務等一切の債務のないことの確認を求める本訴を提起したところ、Yが、X...
(1)旅客自動車運送事業も経営する鉄道会社が,自動車事業部に属する労働組合員に対し,鉄道部門への転勤を命じたことが不当労働行為に当たるとされた事例 (2)転勤命令後に設立された自動車運送事業会社は,転勤命令を受けた者との関係では,労働組合法7条にいう「使用者」に当たらないとして,同社に対して出向受入れ等を命じた救済命令及び鉄道会社に対して自動車運送事業会社への出向を命じた救済命令が違法であるとされた事例 (3)鉄道会社の自動車事業部の営業所長が,労働組合員に対し,労働組合からの脱退を慫慂したことが不当労働行為に当たるとされ,同部の社員全員が自動車運送事業会社に出向した後も,鉄道会社は労働組合法7条にいう「使用者」に当たるとされた事例
《解 説》
一 本件は、ユダヤ人孤児院の院長であったポーランド人の生涯を描いた「コルチャック先生」と題する著書の著作権者である控訴人Xが、右ポーランド人を主人公とした舞台劇(九七年公演)がXの右著作物に関する翻案権を侵害するものであると主張して、右舞台劇を主催した新聞社Y1、劇団Y2、脚本...
《解 説》
一 本件は、阿児町の住民であるXが、阿児町情報公開条例に基づいて、水道課発注の工事の予定価格調書につき公文書公開請求をしたところ、実施機関である町長が、同条例八条七項所定の非開示情報が記載されていることを理由に非開示処分をしたことから、Xが、右処分は違法であり、これにより精神的...
《解 説》
一 貸金業者であるYの債務者であるXは、Yに対する債務額を確定した上、支払方法を協定することを求める特定調停を申し立てた。本件では、XとYとの間で平成八年六月一〇日付けで締結された消費貸借基本契約書が提出されていたが、Yは、平成一〇年一月三一日取引以降の計算書を提出した。
担...