《解 説》
一 本件は、借家契約の終了を理由として賃貸人であるXが賃借人であるYに対して建物の明渡しを求めた事案であるが、賃借人Yがオウム真理教(現宗教団体アレフ)の信者であるところに本件事案の特殊性がある。
二 Xは、借家契約の更新拒絶又は解約申入れの正当事由(借地借家法二八条)として...
《解 説》
一 Xらは、発明の名称を「置換プリン」とする特許の特許権者とその独占的通常実施権者である。Yらは、同特許の実施品であるアシクロビルをその有効成分として含む医薬品(ゾビラックス)七〇〇〇錠を購入し、この錠剤を崩壊させて、その有効成分であるアシクロビルを抽出・精製し、アシクロビルを...
《解 説》
一 事案の概要
(1) 原告は、被告が経営する預託金会員制のゴルフクラブの会員Aらから、会員権(以下「会員権1」という。)を譲渡担保によって譲り受け、その際譲渡通知書、退会届、委任状に署名と実印の押捺をしたものと印鑑登録証明書の交付を受け、譲渡通知書及び退会届を被告に発送する...
《解 説》
本件は、従前からY証券会社(被告、被控訴人)と証券取引を行っていたX(原告、控訴人)が、平成八年九月二四日から始まり約一年に及んでした信用取引について、①適合性の原則(顧客の意向、財産状態、投資経験等に適合した投資勧誘を行う必要があるとの原則)違反、②説明義務違反・断定的判断の...
《解 説》
一 本件は、宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下「統一協会」という。)の信者から勧誘されて統一協会に入会し、献金等の金員出捐をなした原告ら一〇名が、統一協会に対して不法行為に基づき金員出捐額相当の損害賠償と慰謝料の支払を求めた事案である。
二 原告らは、①一連の金員出捐勧誘行...
《解 説》
本件は、被告らが原告ら(二世帯、各夫婦と子一人)の居住する木造家屋の北西側(最短距離約二〇メートル)に、高さ最高約五七メートルの二〇階建マンションを建築したために、屋根瓦の飛散等のいわゆるビル風による風害が発生し、原告らが、精神的苦痛を被ったほか、同家屋及び土地は無価値になった...
《解 説》
一 本件は、破産宣告を受けたZ会社の代表取締役であったX1、取締役であったX2が、その破産宣告を申し立てたY3において、その申立適格がなく、かつ、Z会社に破産原因もなかったのに、Y3の子で、宗教法人Y1の代表役員であるY2、Z会社の取締役であったY4と共謀して、破産裁判所を欺罔...
《解 説》
一 本件は、貸金業の規制等に関する法律(貸金業法)四三条のいわゆる「みなし弁済規定」の適否につき、第一に、利息の天引きないし前払いがされた場合にみなし弁済規定が適用されるのか否か、第二に、貸金業者のYとその顧客であるXとの間の継続的に行われてきた金銭の貸付けないしその返済に際し...
《解 説》
一 Xらは所有する建物内でガスファンヒーターを使用中、ガスファンヒーター付近から出火し、所有する建物が全焼した。Xらは、火災の原因は、ガスファンヒーターを通常の用法で使用中にガスファンヒーターが異常燃焼し、漏洩したガスに引火して爆発したことによるものであるとして、大阪瓦斯株式会...
《解 説》
一 事案の概要
日本機械保険連盟は、平成五年三月七日から平成八年三月六日までの間(以下「本件実行期間」という。)において、会員の損害保険会社に対して同連盟が決める一定保険料率による機械保険及び組立保険(以下「機械保険等」という。)の引受けを行わせ、もって機械保険等の引受けの取...
《解 説》
一 本件は、インターネット上の著作権侵害に関して、著作権者が発信者及びプロバイダー(接続業者)に対して、侵害行為の差止め及び損害賠償を求めた事案であり、その概要は以下のとおりである。
Xらは、各ビジネス書を著作した。Yは、プロバイダーAが提供するサーバーにおいて、ウェブサイト...
《解 説》
本件は、イトマン株式会社(当時の商号は伊藤萬株式会社)がゴルフ場の建設・運営会社に対して二〇〇億円の融資を行ったことについて、イトマンを吸収合併した原告が、当時の代表取締役社長である被告に対し、融資に当たっては、適切な事前調査等により融資先の信用状態を的確に把握するとともに、融...
《解 説》
一 本件は、自らも二児の母親であった被告人が、幼稚園の降園時に、園内にいた二歳の女児を連れ出してマフラーで絞殺した上、その死体を静岡県内にある実家の庭先に埋めて遺棄した事案である。
幼い女児の命が犠牲になったことに加え、被害者が同じ幼稚園に子供を通わせるなどして以前から被告人...
《解 説》
一 原告が開設する病院(以下「本件病院」という。)は、愛知県知事から健康保険法四三条の三に基づく保険医療機関の指定を受けてその業務を遂行していたが、同病院において二年余にわたって、不当な診療報酬請求を行っていたとして、愛知県知事(本件訴訟中に法改正があったことにより、その権限は...
《解 説》
一 事案の概要
控訴人は、A社の債権者であるが、A社等を債務者とする不動産競売事件の配当期日において、配当表上、A社の債権者の一人とされている金融業者の被控訴人に対し、同人の配当要求に係る貸付金債権(本件貸付金債権)は実体のない仮装のものであるとして、配当異議の申出をした上、...
《解 説》
本件は、地方公務員である奈良県立医科大学救急医学教室教授兼同大学附属病院救急科部長であった被告人が、同教室及び同救急科に対応する医局から関連病院に勤務する医師を派遣するなどの便宜ある取り計らいを受けることあるいはこれを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを得たい趣旨...
《解 説》
一 本件は、少年の保護事件に係る補償に関する法律(少年補償法)五条一項の決定(少年補償決定)を受けた少年が、補償金額が低すぎるとして高等裁判所に抗告を申し立てたものの、同決定に対する上訴は許されないとして、これを棄却されたことから、特別抗告に及んだという事案である。
少年補償...