《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
A(昭和一四年生まれの男性)は、平成三年一一月、他院から指摘された解離性脳動脈瘤の治療のためにバルーン塞栓術(血管内手術の一種であり、血管から挿入されたカテーテルに着けたバルーンを用いて脳動脈の解離の起点よりも近位〔心臓側〕の血管を閉...
1 はじめに
2 瑕疵担保責任をめぐる論点
3 売買の目的物【論点①】,完全履行請求の可否【論点④】ーその1 (不特定物)
4 売買の目的物【論点①】,完全履行請求の可否【論点④】ーその 2 (特定物)
5 損害の範囲(信頼利益か履行利益か)【論点③】
6 瑕疵の内容【論点②】
7 民法566条3項の1年の期間制限の法的性質【論点⑤】ー最三小判平4.10.20民集46巻7号1129頁,平4最判解説(民)383頁
8 瑕疵担保による損害賠償請求権と消滅時効【論点⑥】ー最三小判平13.11.27民集55巻6号1311頁,平13最判解説(民)(下)743頁
9 総括
《解 説》
一 本件は、栃木県内に住所を有する参加人が、栃木県公文書の開示に関する条例(昭和六一年栃木県条例第一号。以下「本件条例」という。)に基づき、本件条例の実施機関である被告(被控訴人、被上告人)に対し、原告(控訴人、上告人)が宇都宮市内に建設を予定していた帝京大学理工学部の施設整備...
《解 説》
一 本件は、原告が、賃借していた建物の賃貸人が死亡した後にその相続人であるなどと主張する複数の者から賃料の支払請求を受けたため、過失なくして債権者を確知することができないことを原因として賃料の供託をした後、その取戻しを請求したところ、供託金取戻請求権は各供託の時から一〇年の時効...
《解 説》
一 訴外会社は、預託金九五〇万円を支払って被告が経営するゴルフ場の預託金会員権を取得したが、その際、被告参加人・相互銀行との相互銀行取引から生ずる一切の債務を担保するため、右会員権を譲渡することを予約し、被告は確定日付ある証書によりこの譲渡予約を承諾した。平成三年一〇月、被告参...
《解 説》
一 本件土地の所有者であるAは、Xほか一名に、一坪当たりの単価に実測面積を乗じた額を代金額として本件土地を売却することになり、測量士Bに本件土地の測量を依頼した。Bはさらに右測量を測量会社Cに依頼し、Cが測量を行ったが、求積の際に計算を誤った結果、真実の面積より約一五パーセント...
《解 説》
一 本件は、Yから土地を購入したXが、この土地に隠れた瑕疵があったと主張して、Yに対し瑕疵担保による損害賠償を請求した事案である。Xがこの請求したのは、瑕疵を発見してから一年以内であり、民法五七〇条、五六六条三項所定の除斥期間内であったが、売買契約及び土地引渡しから二〇年以上経...
《解 説》
一 本件は、開業医であるものの、乳がんの専門医であるYに乳がんと診断されてその執刀により、乳房の膨らみをすべて取る胸筋温存乳房切除術を受けたXが、Yに対し、腫瘤とその周囲の乳房の一部のみを取る乳房温存療法についての説明義務違反を理由に診療契約上の債務不履行等に基づく損害賠償を請...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告らの父(被害者、七五歳)が交通事故により負傷し、さらに、その負傷により被告富山県の設置する病院(被告病院)に入院した際、同病院の医師及び看護婦らの過失により、食事中に食物をのどに詰まらせて窒息死したとして、原告らが、事故加害者に対しては自賠法三条に...
《解 説》
一 本件は、借家契約の終了を理由として賃貸人であるXが賃借人であるYに対して建物の明渡しを求めた事案であるが、賃借人Yがオウム真理教(現宗教団体アレフ)の信者であるところに本件事案の特殊性がある。
二 Xは、借家契約の更新拒絶又は解約申入れの正当事由(借地借家法二八条)として...
《解 説》
一 Xらは、発明の名称を「置換プリン」とする特許の特許権者とその独占的通常実施権者である。Yらは、同特許の実施品であるアシクロビルをその有効成分として含む医薬品(ゾビラックス)七〇〇〇錠を購入し、この錠剤を崩壊させて、その有効成分であるアシクロビルを抽出・精製し、アシクロビルを...
《解 説》
一 事案の概要
(1) 原告は、被告が経営する預託金会員制のゴルフクラブの会員Aらから、会員権(以下「会員権1」という。)を譲渡担保によって譲り受け、その際譲渡通知書、退会届、委任状に署名と実印の押捺をしたものと印鑑登録証明書の交付を受け、譲渡通知書及び退会届を被告に発送する...
《解 説》
本件は、従前からY証券会社(被告、被控訴人)と証券取引を行っていたX(原告、控訴人)が、平成八年九月二四日から始まり約一年に及んでした信用取引について、①適合性の原則(顧客の意向、財産状態、投資経験等に適合した投資勧誘を行う必要があるとの原則)違反、②説明義務違反・断定的判断の...
《解 説》
一 本件は、宗教法人世界基督教統一神霊協会(以下「統一協会」という。)の信者から勧誘されて統一協会に入会し、献金等の金員出捐をなした原告ら一〇名が、統一協会に対して不法行為に基づき金員出捐額相当の損害賠償と慰謝料の支払を求めた事案である。
二 原告らは、①一連の金員出捐勧誘行...