《解 説》
一 Xは、平成一一年四月、外気を吸うため鎌倉市内の自宅前の公道に出たが、右手に杖、左手に公道上のミラーポールを掴んで佇立していたところ、Yが散歩に連れ出した飼い犬がXの背後からXに向って「ワァン」と一声吠えたため、犬の接近に驚愕し、左手をミラーポールから離して安定を失い、その場...
《解 説》
一 本件は、大阪地判平11・10・28本誌一〇二四号一九五頁の控訴審判決である。
事案の概要は、次のようなものである。控訴人らは、大阪府(以下、「府」という。)に居住する住民及び法人である。府は、被控訴人日本下水道事業団(以下、「被控訴人事業団」という。)に対し、下水道施設の...
最先順位の抵当権者に対抗することができる賃借権により競売不動産を占有する者が当該不動産に設定された抵当権の債務者である場合における引渡命令
《解 説》
一 本件は、控訴人(貸金業者)から貸付を受けていた被控訴人が、控訴人の取り立てた利息制限法所定の制限利率を超える約定利息部分は元本に充当されるべきであるから、合計四七万一〇三六円の過払金が生じているとして、控訴人に対し、その返還を求めたところ、控訴人が貸金業の規制等に関する法律...
《解 説》
一 Aはスリランカから来日して、在留資格のないまま土木作業員として就労していたが、原付自転車で走行中、Yの運転する自動車と接触する交通事故に遭って死亡した。本件は、Aの妻子でスリランカの国籍を有し同国に居住しているXらが、Yに対し自賠法三条に基づいて損害の賠償を求めた事案である...
《解 説》
一 事案の概要等
本件は、Yから受取人に対して振り出された後に盗取された約束手形を、Xが善意取得し、Yに対して当該手形金の支払を求めた事案であり、盗難の被害者である受取人が、Xが当該手形を善意取得した後に公示催告の申立てをして除権判決の言渡しを受けている点に特徴を有する。争点...
《解 説》
一 本件は、競売の基礎となった最先順位の抵当権者に対抗することができる賃借権によって競売不動産を占有する者が、この不動産に自己の債務を担保するために他の抵当権の設定を受けていた場合に、このような抵当債務者兼賃借人に引渡命令を発することができるか否かが争われた事案である。
二 ...
《解 説》
一 本件は、交通事故で負傷した被告人が、加害車両の所有者が締結していた農協との自動車共済を利用して、休業損害補償金の名目で共済金(保険金)を騙し取ったという、一種の保険金詐欺の事案である。すなわち、被告人は、いわゆるマルチ商法を営む甲社の特約販売店をして稼働していたものであるが...
《解 説》
一 Xは、企業内外の人材の教育訓練等を業とし、平成元年度から八年度までの間、Y1の関西支社の社員に対し、課長からタスク長への任用候補者を対象とした研修(A研修)、係長等から課長への任用候補者を対象とした(I研修)等の各種研修の実施を担当してきた者である。
Xは、Y1及びY1の...
《解 説》
一 Xは、平成九年一一月ころ、Aに対する貸金債権を被保全債権として、Y所有の本件不動産について、根抵当権実行としての競売申立てをしたところ、同月一一日、不動産競売開始決定がなされて競売手続が開始され、平成一一年六月二四日、期間入札(入札期間・同年八月一七日から同月二四日、開札期...
《解 説》
一 本件は、深夜、片側一車線の駐車禁止規制のある道路上に駐車放置されていたかなり大型の貨物自動車に原動機付自転車が衝突して運転者が死亡した事故について、遺族らから右駐車を行った被告に対して提起された損害賠償請求事件であり、主要な争点は原動機付自転車運転者の過失の有無及び過失相殺...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、平成八年九月五日、Y1が経営するA大学病院眼科に、眼内炎の治療のため入院したが、入院中の同月一五日、肝膿瘍を原発巣とする肺炎桿菌が右眼に転移したために発生した内因性細菌性眼内炎により右眼を失明した。Xは、A大学病院眼科の医師であるY2...
《解 説》
一 X(本件原告)は本件当時七四歳の女子であるが、平成八年一〇月、Y(本件被告)の開設するA病院(被告病院)眼科外来で受診したところ、老人性白内障と診断され、超音波水晶体乳化吸引術(PEA)、眼内レンズ挿入術による白内障手術(本件手術)を受けた。ところが、Xはその後眼内炎に罹患...
《解 説》
一 本件事案の詳細は判文のとおりであるが、要するに、旅行業者である原告が、やはり旅行業者である被告を代理して、被告主催の海外旅行の契約の締結のための申込みを顧客から受けたところ、出発日の二日前になって顧客が旅行参加者の一名の氏名につき英文スペル訂正の手続を申し出たため、原告が被...
《解 説》
1 X(大正15年生)は,平成元年2月,Y(静岡市)の設置する「静岡市立静岡病院」における腹部CT検査及び同造影CT検査の結果,肝臓に腫瘤陰影が認められ,肝癌等の悪性腫瘍の疑いがあったため,同年3月,同病院において腹部血管造影検査(以下「本件検査」という。)を受けた。
しかし...