《解 説》
一 本件は、借地上の建物を競売によって買い受けた者が、民法九四条二項、一一〇条の法意により同建物の所有権を取得した場合に、建物所有権とともにその敷地の賃借権を取得するかが問題となった事案である。
二 Xの夫甲は、本件土地を賃借していたが、甲と前妻との間の子である乙の名義で建築...
《解 説》
一 Y銀行は、A社を母体会社とするB社に対する貸付けの担保として、B社が賃借していた不動産(以下「本件不動産」という。)の保証金返還請求権に対し質権の設定を受けていた(以下「本件質権」という。)が、本件質権を解除する際、その代わりとして、B社から本件不動産に対し根抵当権の設定を...
《解 説》
一 本決定は、被告人が砒素を使用したカレー毒物混入事件、保険取得目的の殺人未遂事件等合計五件の殺人・同未遂事件及び四件の保険金詐欺事件を実行したとして起訴された係属中の事件において、検察官が保険金取得目的の殺人未遂事件の証拠調べとして証人尋問請求したことに関し、弁護人が、類似事...
《解 説》
一 本件は、X(妻)がY(夫、国家公務員)を相手として提起した離婚等請求事件の控訴事件であって、控訴審での主たる争点は、財産分与の額及び方法にあり、①Yが将来受給する退職手当の清算対象財産性、②Yが給料から支払っていた共済掛金の清算対象財産性が争われた点に特徴がある。
①につ...
《解 説》
一 本件は、金融再生法が通用されて破綻処理中の銀行であるYが元従業員らに対する退職年金の支給を打ち切ったため、元従業員のXらがその支払を請求した事案である。Yでは、その退職金規程に、二〇年以上勤務した従業員には、六〇歳に達したときに、その申出により、退職年金を支給すると規定して...
《解 説》
一 Aは、Xとの間で根抵当権設定契約を締結し、A所有の本件土地に根抵当権設定登記をした。YはAに対し、本件土地の所有権移転登記の抹消登記手続請求訴訟を提起し、Aは第一回口頭弁論期日において請求を認諾した。この訴訟は「登記原因の無効又は取消による登記の抹消又は回復の訴えが提起され...
《解 説》
一 Yは、Aに対し所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提起して請求の認諾を得たが、これに基づく登記手続をしないまま放置し、そのため別件訴訟の提起に伴って嘱託された予告登記も抹消されないままとなっていた。その後競売手続により不動産の所有権を取得したXは...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤取締法上の覚せい剤輸入罪の成立時期等が問題となった事件である。
二 本判決(一審判決も同旨)によると、本件の事実関係の概要は、おおむね以下のとおりである。
すなわち、本件被告人は、暴力団組長であるが、配下組員やその他の暴力団関係者らと共謀の上、公海上で外...
《解 説》
一 本件は、昭和六二年九月に近鉄東大阪線の生駒トンネル内で火災が発生し、乗客一名が死亡し四二名の乗客及び乗務員が傷害を負った事故に関して、トンネル内の電力ケーブルの接続工事を施工した下請け業者の代表者である被告人が、右事故について業務上失火、業務上過失致死傷の責任を問われた事案...
《解 説》
一 原告らは、発明の名称を「超微粒ソルビトールアセタール及びキシリトールアセタールを含有するポリオレフィン組成物」とする特許権(請求項により方法の発明と物の発明とがある。)及びその専用実施権を有する者であるが、被告製品は本件発明の方法の実施にのみ使用する物又は本件発明に係る物の...
《解 説》
一 Xは、訴外Zと共謀の上、貸金請求訴訟を提起し、偽造した借用証書を証拠として提出したほか、Zに偽証を教唆して虚偽の証言をさせたものの、X敗訴の判決が言い渡され、金員騙取の目的を遂げなかったとする有印私文書偽造、同行使、詐欺未遂罪等の被疑事実(以下「本件被疑事実」又は「本件公訴...
《解 説》
一 A社の代表取締役で、オーナー株主でもあったX1とX1の妻で自らも同社の大株主であったX2は、Y1銀行の提案で保有する株式を譲渡する方法でのA社売却を決意し、Y1銀行にその仲介を委任した。しかし、当時はいわゆるバブル期であり、A社が広大な不動産を保有していたため、総資産約一〇...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、フレッドペリーの商標権者である原告が、並行輸入したフレッドペリーのポロシャツを販売した被告に対し、損害賠償等を請求した事案である。
被告は、並行輸入したポロシャツに付されたフレッドペリーの商標は、フレッドペリーのライセンシーであるオシア社(シンガポー...
《解 説》
本件は、競売不動産の所有者であるX(抗告人、原執行抗告抗告人)が、最低売却価額の基となった評価人の評価が著しく低額で客観的価額に比して著しく不当であり、社会通念に照らして容認することができないから、これに基づく最低売却価額の決定に重大な誤りがある(民事執行法七一条六号)などと主...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、自宅の一部でたこ焼き屋等を経営していたが、客として来店するようになったYが、客の前で結婚を迫ったり、客がいない場面では「自分の気持ちが抑えられないから襲うかもしれんわ。」などと言ったり、いったん来店すると店に居座るようになったことから、Yに対し、来店を拒...