《解 説》
第一 事案の概要
一 印刷用書体とは
本件で問題となった印刷用書体(タイプフェイス)とは、漢字、仮名、アルファベット等の字体を具体的に印刷等に使用できるように、統一的なコンセプトに基づいて創作された文字や記号の一組のデザインをいう。
二 前提事実
X(本訴原告・反訴被告...
《解 説》
一 本件は、暴力団抗争に絡む殺人事件により懲役刑が確定し徳島刑務所において受刑中のX1及びX1が提起した民事訴訟事件の訴訟代理人である弁護士X2、X3、X4が、同刑務所長によって違法に接見を妨害され精神的苦痛を被ったとして、Y(国)に対して損害賠償を求めた事件である。原審がX1...
《解 説》
一 本件は、不法行為によって扶養者が死亡した場合における被扶養者の将来の扶養利益喪失について、その損害額の算定方法が問題となった事案である。
二 X1はAの妻、X2(昭和五八年一月二四日生)及びX3(昭和五九年一一月二一日生)はAの子であり、Xらは、その生活をAに依存していた...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。X寺院は、昭和五八年、宗教法人であるA宗の宗教上の職制等に関する内部規定(「宗規」と呼ばれていた。)における教会に当たるものとして建立され、昭和六二年に法人格を取得して、A宗の被包括宗教法人となった。X寺院及びA宗の各規則(宗教法人法一...
《解 説》
一 X(昭和二年生)は、平成八年八月、レントゲン検査の結果、左中大脳動脈動脈瘤が見つかったため、同年一一月二六日、Y1の経営する「相馬病院」で動脈瘤の治療を受けることになり、同病院に入院した。
そして、同月二七日、Xは、Y2の執刀により、左前頭側頭骨形成開頭及び中大脳動脈ネッ...
4 変額保険契約への加入の勧誘について、保険会社の担当者に信義則上必要とされる説明義務の違反があったとして、保険会社の顧客に対する損害賠償責任が認められた事例
(東京高裁平12・9・11判決)
《解 説》
一 Xは、昭和五二年五月から生活保護を受けている身体障害者であるが、昭和六三年一月から石川県から月額二万円の心身障害者扶養共済年金(以下「本件年金」という。)の支給を受けることになったことから、生活保護の認定権者であるYが、平成六年三月二八日付をもって、生活保護費支給額を月額一...
《解 説》
一 保険金額や解約返戻金の額が特別勘定の資産の運用実績に基づいて増減する生命保険である変額保険については、一時、不動産等の資産を有する高齢者の相続税対策として、金融機関から多額の資金を借り入れて高額の変額保険契約を締結するという方策が盛んに行われたことがあったが、その後のいわゆ...
《解 説》
一 被控訴人は、控訴人所有の五階建てビルの屋上に広告物を三年間にわたり設置させて貰う契約をして、その広告物を設置した。このビルは大阪市内の中心部で高速道路のすぐそばに位置していた。広告は主として、高速道路を自動車で進行する人に見て貰おうという目的であった。ところが契約後一年二ヶ...
《解 説》
一 Aは、本件建物をX(原告・控訴人)に遺贈した。Xは、本件建物を占有するY(被告・被控訴人。Xの共同相続人である。)に対し所有権に基づいて明渡を求めたところ、Yは、遺留分減殺請求権を行使した上、その結果本件建物の共有持分を取得したから、占有権原があると主張した。これに対し、X...
《解 説》
一 中華民国法人の海上運送業者であるYは、マレーシア国の輸出業者の依頼により、中華民国法人のAが輸出業者から購入した丸太をマレーシアから台湾まで海上運送した。本船は、マレーシアのクアラ・バラム港から台湾のスアオ港に向けて発航したが、出航五日後の事故前日から前線の通過に伴い風力が...
《解 説》
一 Xは、平成五年三月当時、小学二年生であったが、同月一七日朝、下腹部痛、睾丸部痛等を訴えたため、Yの経営する診療所を訪れ、Yの診察を受けた。そして、Xは、Yから鎮痛剤等の服用の指示を受けて帰宅し、同薬剤を服用したが、痛みが止まらないため、Yに対し電話で指示を仰いだが、薬の服用...
《解 説》
一 Xは、平成元年六月当時、福井県立科学技術高等学校の教諭であったところ、同月二八日、三重県鳥羽市で行われる講習会に出席するために、JR越前花堂駅に赴き、同駅の階段を昇ろうとしたところ、脳内出血を発症して倒れた。
そして、Xは、救急車で近くの福井赤十字病院に搬送され、血腫除去...
《解 説》
一 訴外A(大正三年七月生)は、東武観光主催の「宮城作並の湯」の国内旅行に参加し、平成八年八月二八日、作並温泉に所在する「ホテルグリーン・グリーン」に宿泊した。
しかし、Aは、同日午後、飲酒した後、本件ホテルの浴場で入浴していたところ、急に意識を喪失し、溺水したため、救急車に...
《解 説》
一 本件は、大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件に関して、同行の株主二名が、取締役及び監査役合計五〇名(うち一名については、訴状却下)を相手取って提起した株主代表訴訟事件について、三八名の被告については原告らの請求を退けたものの、一一名の被告については、取締役としての善管注意...
《解 説》
一 本件は、創価学会と日蓮正宗との対立の中で、日蓮正宗の僧侶であるY1が、創価学会の幹部であるXらから、日蓮正宗による創価学会の分離切り捨て方針の公表と宗派からの離脱を五〇〇〇万円の支払等を条件に説得されたとして、その事実を記載した文書を双方の関係者に配布し、かつ、日蓮正宗の全...