《解 説》
一 いわゆる東電OL殺人事件に関する第一審の無罪判決は、既に本誌一〇二九号一二〇頁で掲載したところであるが、ここに紹介するのは、この無罪判決に対して検察官が控訴を申し立てるとともに控訴審に職権による勾留状の発付を求めた件に関する東京高裁の二つの部の決定である。第五特別部の決定(...
《解 説》
一 小学生であったA(昭和六二年五月三〇日生。事故当時九歳)は、交差点において、信号機の青色表示に従って横断歩道上を自転車に乗って横断していたところ、強引に左折してきた大型コンクリートミキサー車に轢過されて死亡した。そこで、Aの両親であるXらは、加害車両の運転者であるY1及び右...
《解 説》
一 X1は、X2との間の第一子を懐妊したため、平成元年五月一〇日、Yの経営する病院に入院し、翌一一日、吸引分娩によりX3を出産したが、X3は、出生時における重篤な胎児仮死による低酸素性虚血性脳症のため、重篤な脳性麻痺の後遺障害が残った。
そこで、Xらは、(一)分娩介助に当たっ...
《解 説》
一 本件は、いわゆる集合債権の譲渡予約の効力が争点となった事件である。事実関係は、次のとおりである。
A会社は、X会社から寝装品の材料を継続的に仕入れていたが、昭和六〇年代には、Xに対して常時買掛債務を負うようになり、平成三年ころには、資金繰りに困難が生じるようになった。その...
《解 説》
一 本件は、平成一一年四月一一日施行の千葉県議会議員選挙の八千代市選挙区における選挙人であるXが、千葉県議会議員の選挙区等に関する条例の一部が同一〇年一二月一五日に改正され、改正後の規定に基づいて右選挙が行われたが、右改正条例は公職選挙法(以下「法」という。)一五条八項に違反す...
《解 説》
一 本件は、刑法二六条の二第二号にいう「保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき」に当たるとして、執行猶予の言渡しの取消しが請求された事件である。この取消し事由は、刑法二六条の二が定める裁量的取消し事由の一つであるが、その取消し手続については、他の取...
《解 説》
一 本件は、Xが所有する貨物船チュンジン号(以下「C号」という)とYが所有する貨物船アフリカン・ライオン号(以下「A号」という)とが瀬戸内海播磨灘において衝突事故を起こしたことについて、Xは、右事故の原因は、A号がC号の動静を注視しないまま同船の追い越しを継続したことに原因があ...
《解 説》
一 明治四二年に出生したA(事件本人)は、昭和六二年三月、特別養護老人ホーム(本件施設)に入所したが、平成一〇年五月ころから財産管理能力の不足が目立つようになり、医師から脳血管性痴呆と診断された。事件本人の親族としては、弟の長女Bと二女C及びCの長女Xが健在であり、C及びXは、...
《解 説》
一 工業炉の煉瓦工事等の作業に従事していたA(死亡当時四二歳)は、作業中に脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(本件疾病)を発症して死亡した。そこで、Aの妻であるX(原告・控訴人)は、業務上の事由による死亡であるとして、Y(被告・被控訴人)に対し、遺族補償給付及び葬祭料の支給を求めた...
《解 説》
一 本件は、控訴人会社が宅地開発のため一団の土地の買収を企図し、三名の地権者との間で各買受価額を秘して買い受けの話を進めて事実上話をまとめ、県知事に対し国土利用計画法の規定に従って二三条の届出をしたところ、県知事が地権者らに不勧告通知(平成一〇年改正前の同法二四条三項)をする際...
《解 説》
一 Xは、昭和四三年六月一日ころ、Y1に本件建物(作業所・居宅)を賃料月額三万五〇〇〇円で賃貸したところ、Y1は個人で鉄工所を営み、昭和五二年ころ、Y2を設立したが、XとYらが改めて賃料一二万円で賃貸借契約を締結した昭和六三年六月一日までの間に、本件建物に隣接するX所有地(五九...
《解 説》
一 Yは、区立中学校の社会科教諭であり、二学年の授業を担当しており、アメリカ人と結婚して米国籍のXの娘Aは、当時、同校二年三組に在籍していた。Yは、平成九年七月一七日、二年三組の授業において、「ビデオ『沖縄の米軍基地 普天間第二小学校の場合』(NHK福岡)の感想文を読んで考える...
《解 説》
一 本件は、町立小学校の教諭である原告が、勤務する小学校で行われた入学式において掲揚された日章旗を入学式の開会直前に引き降ろしたことが地方公務員法三二条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)及び同法三三条(信用失墜行為の禁止)に違反する等を理由に戒告処分(以下「本件処分」と...
《解 説》
一 本件は、終身保険契約における契約者貸付制度の利用による貸付債務の存否に関して、①保険会社が貸付申込の意思確認のための注意義務を尽くしたか否かの点と、②右貸付債務が生じたとしても、期限の定めのない返還債務として、貸付日から一〇年を経過したことにより消滅時効が完成したか否かが争...