《解 説》
一 本件は、銀行の作成した貸出稟議書が、民事訴訟法二二〇条三号後段の法律関係文書であるとして、その文書の提出を命じた高裁の決定である。
原審の決定(金法一五二六号六九頁、金判一〇五三号八頁)は、本件の貸出稟議書が同条三号の法律関係文書にも、四号の文書にも該当しないとして、文書...
《解 説》
一 Xは、平成七年七月当時六二歳の男性で、四〇年近くの町役場勤務を経て、嘱託で公民館長の職にあった者であり、年収八〇〇万円、自宅、山林の不動産のほか預金二〇〇〇万円程度の資産を有していた。Xは、商品取引員Yの従業員二名(いずれも二〇歳代の男性)から電話又は公民館での面談を通じて...
《解 説》
一 Xは、昭和五三年以降、Yから日本橋二丁目所在の鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階付五階建のビルの一階部分三五坪(一一五・七平米)を賃借し、居酒屋を経営している。本件賃貸借契約(保証金六〇〇〇万円、敷金三六〇万円)は、賃料を増減して更新されてきており、現在、賃料は月額八六万三六...
《解 説》
一 原告は、「負荷装置システム」等についての特許権を有する者である。本件は、原告が、被告による負荷装置システム(本件装置)の製造使用が右特許権を侵害すると主張して、本件装置の製造使用の差止め、廃棄及び損害賠償を求めた事案である。
二 本判決の中では、原告の均等論の主張に対する...
《解 説》
一 金融業者であるXは、平成四年五月、訴外Aに対し、A所有名義の本件土地と訴外B所有の本件建物に根抵当権を設定したうえ、五〇〇〇万円を貸し付けたが、その後、本件土地の前所有者であったBからAへの所有権移転登記とBを設定者とする本件建物への根抵当権設定登記が、いずれもBの意思に反...
《解 説》
一 本件は、公立中学校の生徒指導主事の地位にあった男性教諭Aが、帰宅後就寝中に急性心筋梗塞を発症し死亡したところ、その妻Xが、被告Y(地方公務員災害補償基金愛知県支部長)に対し、公務上災害認定の申請をしたが、公務外認定処分を受け、これを不服として取消訴訟を提起する際、誤って遺族...
《解 説》
一 Xら四六名はいずれもフィリピンの女性であり、第二次世界大戦中に日本の軍人らによりフィリピンで強制的に連行、監禁されたうえ性的暴行を受けたと主張し、日本国Yに対してそれぞれ二〇〇〇万円(合計九億二〇〇〇万円)の損害賠償を求める訴えを提起した。Xらの主張する請求の原因は、第一に...
《解 説》
一 Aは昭和五〇年八月六日以降、Y3市(所管は、Y1市福祉事務所長)から生活保護を受け、妻B、長男C、長女X1、二女X2と共に同一世帯において生活していたが、Cは平成二年四月に高校卒業と共に自活し、Bは同三年三月病死した。Aは、これに先立ち、昭和五一年六月に被保険者をX1とする...
《解 説》
一 Xは、平成六年三月、体重減少の原因を精査、加療する目的で、Yの経営する病院に入院し、大腸ファイバースコープ検査を受けたところ、同検査を担当した医師の不注意によりS状結腸を穿孔されたため、Yに対し、民法七一五条一項により治療費、休業損害等総額一三六五万余円の損害賠償を請求した...
《解 説》
一 本件は、公園で野宿をする生活を送っていた被告人が、草野球を観戦していた際、誰もいないバックネット裏に置かれていたビデオカメラ等を見つけて盗んだという置き引きの事案であり、被告人は、平成二年、同七年、同八年に窃盗罪ないしはこれを含む罪により三回六月以上の懲役刑に処せられ、いず...
《解 説》
一 本件は、医薬品の製造方法に係る特許権に基づく損害賠償請求事件である。
X1(原告)は、医薬品の開発及び製造販売を業とする英国の法人であり、医薬品に関する特許権(本件特許権)を有している。また、X2は、X1の関連会社(日本法人)であり、X1の日本における独占的通常実施権者...
《解 説》
一 本件公訴事実は、石油売買仲介業等を営む被告人による、①三億三〇〇〇万円余りの所得税の過少申告ほ脱の事実、②関西国際空港施設の管理等の業務全般を統括するなどの職務に従事していた関西国際空港株式会社(以下「関空会社」という)の代表取締役社長に対し、空港のビルの清掃業務について被...
《解 説》
一 本件は、①被告人が、被害者の言動に自分の面子をつぶされたと憤激して同人に対して暴行を加えて傷害を負わせ、②これにより被害者が畏怖しているのに乗じて金員を喝取しようと思い立ち、約五分後、同じ場所で、被害者に対して暴行脅迫を加え、現金を喝取するとともに傷害を負わせたという事案で...
《解 説》
一 本件は、商品がA↓X↓Y↓Bと流れるコンピューター用品の転々売買取引に参加した中間介入商社であるXが、同様に中間介入業者であるYから、目的物を受領した旨の連絡を受けたことから、Aに代金を支払ったうえで、Yに代金の支払を求めたところ、Yが目的物の引渡を受けていないとして同時履...
《解 説》
一 遺産分割の審判の対象となった物件の一部について、その後の判決により遺産でないことが確認された。そこで、改めて相続人の一部から、遺産の範囲に変動が生じたとして、遺産分割の申立てがなされたのが本件である。
二 本決定は、右遺産分割の申立てを、不適法であるとして却下したが、その...
《解 説》
一 事案の概要
原告外三社は、社会保険庁が競争入札の方法で発注していた葉書用シールの入札につき、談合してあらかじめ受注予定者を決め不当な取引制限をするという本件カルテル行為を行った。被告は、原告外二社に対し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「法」という。)七...
《解 説》
本件は、税務署長の免許を受けないで、酒類を販売したという事案であり、被告人は、有限会社とその実質的経営者及び営業所の責任者の三名である。本件の主要な争点は二つあった。まず、第一は、酒税法九条一項の免許制度は憲法二二条一項に適合するかどうかということであり、第二は、本件の販売シス...