《解 説》
一 相手方A、B、C及びDの被相続人は、山形県立の病院で検査を受けた後に死亡したが、相手方らは、被相続人が死亡したのは、右病院の担当医師らの検査の過誤等によるとして、山形県を被告として、不法行為ないし債務不履行による損害賠償を求めて、Bの住居地(義務履行地の一つ)を管轄する横浜...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、協議離婚したYとの間で、XとYとの間の長男Aの養育費としてAが成人に達するまで、毎月五万円ずつ支払うなどの合意があったとして、Yに対し、将来分を含めて、養育費の支払を請求した。
二 判決要旨
第一審判決は、養育費の請求につき、養育費の合意(協議)が調...
《解 説》
一 Xは、訴外A会社に勤務し、平成四年一二月、東京都目黒区内の建築工事現場において作業中、Y1会社の従業員であるY2と些細なことから揉み合いとなり、Y2に地面に投げつけられたため、脳挫傷等の重傷を負った。
そこで、Xは、加害者Y2に対しては民法七〇九条により、Y1会社に対して...
《解 説》
一 本件は、島田市の下水道施設の電気設備工事について独占禁止法違反の談合を行ったとする日本下水道事業団と各社に対し、島田市に代位して、談合がなければ形成されたであろう価格と実際の落札価格又は請負価格との差額相当額等の損害賠償を求めた住民訴訟である。
本件において、原告らは、財...
《解 説》
一 本件は、被告銀行との間で、デリバティブ取引の一つである通貨スワップ取引を行った原告会社が、ベルリンの壁の崩壊に伴いドイツマルクが急騰したことにより損害を被る見込みとなったために、リスクヘッジをする目的で、さらに、複数の通貨スワップ取引を行い、その結果として被った損害について...
《解 説》
一 本件は、商法二八〇条ノ三ノ二所定の公示(公告又は通知)を欠く新株発行の無効の訴え(同二八〇条ノ一五)において、新株発行差止めの事由の有無が問題となったもので、著しく不公正な方法によるもの(同二八〇条の一〇)ではないとはいえないとして、公示を欠く右新株発行を無効とした最高裁の...
《解 説》
一 Xは、その著書の中で、ベトナム人僧侶の焼死事件である「ファム・ヴァン・コー事件」について、これが堕落した僧侶の心中行為であるとする政府系仏教協会副会長ハオ師の談話を紹介した。Y1は、この事件がベトナム政府の宗教政策に抗議する集団自殺であるとした上、この事件に関するXの執筆姿...
《解 説》
本件は、本人に無断で不動産に抵当権設定登記等が設定されたとして、本人がこの抵当権設定登記等の抹消登記手続を求めるなどの訴訟であり、本人と無権代理人の死亡によって両者を相続した場合の法律関係が問題になった。
事実関係は、次のとおりである。Aは、本件不動産を所有していたが、当時、...
《解 説》
一 事実の概要
本件は、国税調査官OBの税理士であった被告人が、四課税年度にわたり、一三名の納税義務者の不動産譲渡所得にかかる所得税の確定申告に際し、右納税義務者らと共謀の上、合計二億二一〇九万円余の所得税をほ脱するとともに、これに関連する確定申告について、統括国税調査官Aに...
《解 説》
競馬法一二条一項は、勝馬投票券を発売した後に競争が成立しなかった場合、当該競争についての投票は無効となること、同条四項は、その場合、当該勝馬投票券を有する者は、日本中央競馬会Yにその勝馬投票券と引換えにその券面金額の返還を請求することができることを定めている。
Xは、平成九年...
《解 説》
本件の事実関係の概要は、仲介業を営む会社である控訴人(被告)は、被控訴人(原告)から不動産買受けの媒介を依頼され、不動産の所有者である甲会社と媒介交渉をしていたが、価格交渉が難航したため、被控訴人との媒介契約が合意解約された。ところが、その後に至り、被控訴人(買主)と甲会社(売...
《解 説》
一 建物建築請負契約での請負人が材料の全部または大部分を提供したときは、原則的には、建築建物の所有権は請負人にまず帰属し、そののち引き渡しにより注文主に移転すると言われている。しかし、現在では注文主が材料を提供することは殆どなく、総合請負をさせた上、材料提供の代わりに前払い金を...
《解 説》
一 本件は、酒造業労働者の過労に対する安全配慮義務が問題となった事例である。Xは、毎年冬、酒造業者であるY方に住み込んで、酒造りの職人(蔵人)として稼働してきたが、六五歳であった平成六年一二月、脳梗塞を発症して約五〇日間入院し、その後も通院している。軽度の麻痺を残し、軽作業にし...
《解 説》
一 原告は、指定商品をコーヒーその他の商品とし、登録商標を「オールウエイ」(本件登録商標)とする商標権(本件商標権)を有する者である。
被告は、清涼飲料コカ・コーラについて、米国法人であるザ・コカ・コーラ・カンパニーから商標権等の使用許諾を得て製造販売を行っている日本コカ・コ...
《解 説》
商標の類否の判断に関し、従来は、地名を含む標章において、地名部分は産地販売地表示であるから自他識別機能がなく、地名以外の部分が要部であると、一種のドグマのように言われてきた。裁判例も、そのような見解によると考えられるものが多く、東京高判昭27・5・30行集三巻四号七八四頁(「牛...