《解 説》
一 本判決は、いわゆるトリカブト事件につき、被告人を有罪と認めて無期懲役に処した第一審判決に事実誤認はないとして控訴を棄却したものである。
この事件が発生してから被告人が起訴されるまでの特殊な経過については、第一審判決の解説(本誌八七八号八七頁)に詳しく紹介してあるので、ここ...
《解 説》
一 本件は、香港高等法院がした訴訟費用負担命令について、Xらが、旧民訴法二〇〇条各号の要件を具備するとして、民事執行法二四条に基づき、執行判決を請求した事案である。一、二審とも、Xらの請求を認容した。本判決は、改正後の民事執行法二四条及び民訴法一一八条に基づき承認・執行要件の存...
《解 説》
一 税理士である原告は、農業相続人として相続税の猶予を受けていた顧客から一定の要件のもと農地の転用後も引き続き相続税の納税猶予を受けられる手続きである農地特定転用承認申請手続きを委嘱された。租税特別措置法によれば、農地を相続した相続人が農業経営をする等の要件があれば相続税が猶予...
《解 説》
一 X会社は、訴外会社Aの子会社であり、パナマ共和国海運局において貨物船(本件船舶)の所有者として登録されていた。Y会社は、平成元年ころから、Aに対し、船舶用の塗料を売り渡し、売掛代金債権を有していたが、Aは、平成五年一一月一〇日ころ、債務超過を理由として支払を停止する旨の通知...
《解 説》
一 Yは、主にIBM製オフィスコンピューターに接続可能なコンピューター・ネットワーク機器をIBM製品の販売店に販売する業務を行っているが、その本店の所在地は東京都であり、商業登記簿上支店の登記はない。Xは、Yから「西日本営業部長」の肩書を与えられ、神戸市東灘区の自宅内の一室を拠...
《解 説》
一 本件は、通信社の記者である原告が、平成四年夏に約一か月間の年休を申請したところ、被告が右期間の後半に属する勤務日(一二日間)について時季変更権を行使し、右勤務日に業務命令に違反して就業しなかったことなどを理由として原告を懲戒解雇したのは無効であるとして、被告との間に労働契約...
《解 説》
一 本件の事実関係の概要は次のとおりである。(1) Xは、貴金属の販売、加工等を目的とする会社であるところ、Xからダイヤモンド等の枠加工を請け負ったAは、加工を終えたダイヤモンド等(本件宝石)をYの宅配便を利用してXのもとに送付するために、本件宝石を入れて荷造りした箱(本件荷物...
《解 説》
一 原告は、被告に対し、一審判決添付計算書1に記載されたとおり金員を貸し付けたが、その態様は、貸付けの際に利息が天引きされ、弁済期に貸金を一括返済し、それに近接して次の金員を借り受けるということを繰り返したものである。被告は、計算書1の最後の貸金である貸金債権(一)の返済を怠り...
《解 説》
一 一審原告らはいずれも一審被告の社員である。一審被告が昭和六二年度の夏季期末手当の支給に際し一審原告らの成績率を五パーセント減額査定して、一審原告らに対してそれに相当する金員を支給しなかった。一審原告らはこれを不当労働行為であり、又は考課査定権の濫用であるとして、一審被告に対...
《解 説》
埼玉県警察は、オウム真理教のいわゆる越谷アジトで使用されている普通貨物自動車につき、その使用の本拠地について虚偽の申請をし、自動車登録ファイルに不実の記録をさせ、これを備え付けさせたという電磁的公正証書原本不実記録、同供用の嫌疑を抱き、捜索場所を同アジトの建物等とし、差し押さえ...
《解 説》
一 X1、X2及びX3は(X3は二丈町議会議員)、二丈町議会の歴代議長は議長交際費を不当に流用したとしてその返還を求める監査請求をしたところ、二丈町監査委員はこれを受理し、右支出の不当性は認められるが、直ちに違法とは認められないとする監査結果を出した。その後、X1及びX2とX3...
《解 説》
一 第一事件の主張は要旨に関係しないので、事案の概要の摘示を省略する。第二事件の事案の概要は次のとおりである。
土地の賃貸人であるXは、借地権者であるYらに対し、賃貸借期間満了時である平成二年一二月三一日をもって契約の更新を拒絶する旨の意思表示をし、併せて、立退料として一億円...
《解 説》
Xは被相続人Aと先妻との間の息子であり、YはAの配偶者(後妻)である。Aがその遺産全てをYに相続させる旨の遺言を残して死亡したため、Xは遺留分減殺請求をし、別件訴訟を提起した。他方、Aの生前から、XとA及びYとの間に感情のもつれがあり、XからAを絶縁したと述べる状況になっていた...
《解 説》
一 訴外A(四二歳)は、平成六年一二月当時、高知市内の銀行に勤務していた者であるが、同月二九日、市内の繁華街で開かれた取引先忘年会に出席した後、二次会、三次会に出席して飲酒し、その後自家用車で迎えにくる妻と落ち合うため、はりまや町付近をあるいていたところ、誤って国道から近くを流...
《解 説》
一 Xの夫である亡Aは、Y1を仲介者として、不動産業者のY2から本件土地を買い受け、木造平屋建の自宅を新築した。ところが、その南側隣接地に県道バイパス工事として高さ約八メートルのコンクリート擁壁造の高架道路が建設され、日照、通風等の被害を被ることになった。
亡Aの訴訟承継人で...
《解 説》
本件は、市立中学校の剣道部員が竹刀をスティック代わりに、鍔をパック代わりにホッケー遊びをしていたところ、竹刀がすっぽ抜けて一五メートル離れていた場所にいたXの左眼を直撃し、失明させた事故について、市の国家賠償法一条に基づく損害賠償責任が問われた事案の控訴審である。原判決の判断は...