《解 説》
一 本件は、Xに対して包括遺贈する旨の公正証書遺言をした後、その遺言を取り消す旨の公正証書遺言(本件遺言)をした被相続人Aの養子であったXが、A(当時九四歳)は本件遺言の当時、老人性痴呆により意思無能力であったとして、Aの法定相続人であるYらに対し、本件遺言の無効の確認を求めた...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年二月ころ、T銀行のNから、Y証券会社を紹介され、同年一一月ころ、Nの勧めで、買値、売値及び期間の定まった株式等の売買取引を開始し(その後、X1の関連会社X2も同様の取引を開始した。)、Xらの取引はあわせて五〇数回に及んだ(以下「本件一連の取引」という。)。...
《解 説》
一 本判決は、いわゆる日本商事株インサイダー取引事件についての控訴審判決である。
本件は、皮膚科医である被告人が、出入りの薬品卸販売会社の担当者から、日本商事株式会社(以下、「日本商事」という。)が実質上初めて開発した新薬について、その発売直後、これを投与された患者に他の薬剤...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年ころから胆石症に罹患し通院加療を受けていたが、平成五年一二月、Yの開設する「恵愛堂病院」において、胆石症と慢性胆嚢炎の合併症と診断され、同月六日、全身麻酔による胆嚢摘出手術を受けた。
そして、Aは、同月二二日、同病院を退院したが、同月二五日ころ、黄疸が現...
《解 説》
一 事案の概要
被告人は、二個のスーツケースに隠匿された大麻を日本に密輸入しようと企て、シンガポールから東京国際空港に到着し、小型の紺色スーツケースを携帯して上陸審査場で審査を受けた。被告人は、そこで審査官から入国許可の条件に適合していない旨の通知を受け、法務大臣に対する不服...
《解 説》
一 本件は、平成九年改正条例(本件改正条例)による改正前の職員の給与に関する条例(旧給与条例)一三条の規定に基づき職員に支給した特殊勤務手当(本件手当)が、給与条例主義に反する違法な公金の支出に当たり、都に対して本件手当相当額の損害を被らせたとする、地方自治法二四二条の二第一項...
《解 説》
Xら三名は、Yの経営するホストクラブに勤務するホストであるが、同クラブにおいては、①飲食代金を掛売りとした場合、指名を受けたホストの責任において締切日の月末までにYに入金する、②売掛金が月末までに入金されない場合、Yがホストに支払うべき給料と相殺する、③売掛金が未回収のために給...
《解 説》
Xは、アニメーションやイラスト等を制作する作家であるが、平成三年七月ころ、アニメキャラクター制作、商品化許諾等を業とするY1(代表者Y2)との間で期間を一年(更新可能)として「著作物制作顧問および著作物管理契約書」を交わした。右契約(「著作物管理契約」という)は二回更新されたが...
《解 説》
Aは平成四年七月一七日、公正証書遺言をし、同六年一〇月一三日死亡したが、相続人は姉のBしかおらず、Bは同七年三月二九日死亡し、Xら三名がBを相続した。Aには総額九億二五〇〇万円の遺産があり、Aは前記公正証書遺言においてYら三名を受遺者に指定して特定の不動産及び金銭を遺贈し、Xら...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告が、被告との間で、いわゆるホールインワン特約付きゴルファー保険契約(被保険者がゴルフ競技中にホールインワンを行った場合に、慣習として贈呈用記念品購入、祝賀会等の費用を負担することによって被る損害を保険金額を限度に填補する特約付きの契約。)を締結して...
《解 説》
一 A、Bは、昭和三七年五月一日帰化し、日本国籍を取得した在日韓国人夫婦であったが、二人の間に実子はいない。Aは、昭和三八年七月一九日Yを認知し、A、Bは、同年九月一七日Yと養子縁組をした。Xは、韓国において、一九八七年五月一四日Cと婚姻し、同月一五日、A、Bと養子縁組の届出で...
《解 説》
一 本件は、我が国の代表的な百貨店の代表取締役であるOと、その愛人であり、株式会社アクセサリーたけひさ、オリエント交易株式会社(以下「二社」という。)を実質的に経営していた被告人が行ったとされるいわゆる「三越事件」に関する上告審決定である(Oは、上告審係属中に死亡し、平成七年八...
《解 説》
一 Xら(一審原告、控訴人)は各々所有する各土地の平成三年度における固定資産課税台帳の登録価格が高すぎるとして審査の申出を行ったところ、Y(一審被告、被控訴人)はいずれも審査の申出を棄却する決定をした。
本件は、Xらが、Yの各審査手続が違法である、また、審理が尽くされていない...
《解 説》
本件は東京都中央区築地場外市場にある木造建物の一階のうち三・一二平方メートルの部分の賃貸借契約の更新拒絶について正当事由の存否が争われた事案であるところ、本判決は立退補償料として六五四万円の支払を条件に正当事由の具備を認め、明渡しを命じたものである。なお、本件店舗部分は、Xの先...
《解 説》
一 本件は、ワラント取引により損害を被った顧客Xが、証券会社Y1及び担当者Y2に対し無断売買、説明義務違反等を理由に損害賠償を請求した事案である。
Xは海産物の小売・加工販売商店を経営しており、過去約一〇年にわたり、Y2や他の証券会社との間で国債、株式の取引をし、株式の信用取...
《解 説》
Xは医師であり、昭和五八年八月ころ証券会社Yとの間で有価証券の売買取引の受託契約を締結し、取引が開始された。Xは、Yの社員がXに無断でXの資金により仮名口座二口を開設し、払戻金を着服したと主張し、受任者に対する受取物引渡請求権若しくは寄託物返還請求権又は使用者責任による損害賠償...
《解 説》
本件はダイヤルQ2サービスに関する情報料及びこれに伴う通話料(回線使用料)の債務不存在確認請求及び不当利得返還請求訴訟の控訴審である。第一審神戸地判平7・3・28本誌八八七号二三二頁は、Xらのうち一名につき、ダイヤルQ2サービスの利用事実を認め、Y(NTT)が情報料の請求権の主...