《解 説》
京都市内に住所を有するX(債権者)は、薬品メーカーであるY(債務者)に、事務職員として採用され、大阪市北区に所在したYの本店で勤務した。Yは経営の効率化を目指して、関連会社と合併して、本店を東京に移すこととなり、旧本店の業務は大阪市中央区に新設する大阪支店に移管することとなった...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。Xは、本件土地(約六三坪)及びその土地上に存する建物の競売に参加し、平成九年四月二八日、売却許可決定を受けた。Xは、代金納付期限が迫った同年七月九日に、本件土地内に第三者所有の件外建物が侵入しており、その結果、間口が約二メートルも狭くなり...
《解 説》
一 本件は、県立高校の英語教員であるAが、授業中に脳動静脈奇形の破綻出血により倒れ、入院後まもなく死亡した事案について、Aの妻からの請求に対し、地方公務員災害補償基金静岡県支部長が、右死亡は公務外の災害であるとする公務外認定の処分をしたため、Aの妻がその取消しを求めた訴訟である...
《解 説》
一 本件は、ゴルフ場が計画中ないし建設工事中であって未だ完成していない時点において締結されたゴルフクラブ入会契約について、入会契約解除の成否(①オープン遅延という履行遅滞による解除、②コースレイアウト変更という不完全履行による解除)が問題となった事案である。本判決は、履行遅滞及...
《解 説》
Xは昭和六一年一〇月、東京都区内にあるマンションの二〇五号室六九・九三平方メートルをYに代金三億円で売却した。右売買においては、①YはXに本件マンションの購入単価の最高値を保証する、②YはXに全ての購入価格を開示する、③Xは開示された購入価格中の最高値を選択して売買価格を変更す...
《解 説》
一 Xらは、本件マンション(一階は、事務所・店舗、二階以上が住居)の七階に居住していたが、八階の部屋に入居することとなったAが部屋の改装工事をした際に、受忍限度を超える騒音・振動が発生したため、ホテルに一時避難しなければならない等の損害を被った。そこで、Xらは、この工事を設計監...
《解 説》
一 本件は、①覚せい剤約四七グラムの単純所持、②覚せい剤の自己使用、③覚せい剤約二・五グラムの単純所持の事案であるところ、被告人から量刑不当を理由に控訴があったが、控訴審は、職権で、原判決が全部被告人の所有にかかるものとして没収した右③の覚せい剤のうち一袋については、被告人が捜...
《解 説》
一 本件は、原告の息子でオウム真理教の信者であった太郎が、オウム真理教の幹部信者である乙川の関与のもと、原告の農協の貯金を無断で引き出して(本件引出行為)オウム真理教に布施として交付したことについて、原告が、オウム真理教に対し、使用者責任若しくは共同不法行為に基づく損害賠償又は...
《解 説》
一 原告は、保養センターの運営・管理、被爆者の援護等を目的とする財団で、昭和四七年八月二三日付けで被告の設立許可を得て公益法人として設立されたが、設立後、保養センターの建設工事に関する検査済証偽造事件、請負工事代金の支払をめぐる建設業者とのトラブルなどその運営に支障を来す様々な...
《解 説》
一 本件は、被告人が警察に対する不満を晴らすため、仮交番(現住建造物)から約一メートル程度の至近距離でガソリン入りのポリタンクを倒し、同交番に向けてガソリンを路上に流出させた上、これにライターで点火し、その火を同交番の床板裏面等に燃え移らせて右床板等約三平方メートルを焼損したと...
《解 説》
Xは国会議員であり、建設政務次官の地位にあったが、破産宣告の申立てを受け、議員歳費の差押えを受けるに至った。出版社Yは、週刊誌上に「『破産・代議士』甲野太郎氏のそれでも政務次官」との見出しのもとに評論家の談としてXについては利権がらみの話でよく名前が取り沙汰される等と引用し、そ...
《解 説》
本件は、被告人両名が、新幹線回数券や商品券を偽造、行使して、新幹線の特別補充券や商品等をだまし取り、偽造新幹線回数券を使って新幹線の特別補充券をだまし取ろうとしたが未遂に終わり、また、千円札を偽造、行使し、商品をだまし取ったという各事案である。以上の各行為が、有価証券偽造、同行...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和四八年に有限会社伊那レンタカーを設立し、その代表者としてその経営に当たっていたが、平成三年一〇月、自動車を運転中、福井県三方郡三方町常神の漁港において、自動車ごと海中に転落し、溺死した。
そこで、Y保険会社との間で被保険者をAとして傷害保険契約を締結していた...
《解 説》
一 本件は、A市の住民であるXが、A市市役所本庁舎改修工事の一環として行われた市長・議長車専用車庫(以下「本件車庫」という。)の設置及びその後に行われた本件車庫の撤去に関し違法な財務会計上の行為が行われ、A市が損害を被ったとして、地方自治法(以下「法」という。)二四二条の二第一...
《解 説》
本件は、国立大学教授である控訴人が、大学の承認をうけることなく海外旅行に出たため、被控訴人である国において、右旅行期間中は欠勤にあたるとして、右期間中に支払われた給与のうち、既に後の給与から相殺徴収した給与等を除く残額を不当利得として返還請求(本訴)したのに対し、控訴人はこれを...
《解 説》
一 Xらは、平成七年五月から六月にかけて、手形貸付等を業務とする株式会社であるNファイナンスから借入をするに際し、支払期日まで取立てに回さないとの説明を信じて借入額の三倍から五倍の手形を同社に交付した者であるが、その後、交付した手形が金融機関に割引譲渡されたため、手形金請求を受...
《解 説》
一 自動車保険約款における保険料分割払特約第五条は「当会社は、保険契約者が第二回目以降の分割保険料について、当該分割保険料を払込むべき払込期日後一か月を経過した後もその払込みを怠ったときは、その払込期日後に生じた事故については、保険金を支払いません。」と定める(自動車保険約款の...
《解 説》
一 事案の概要
警察官であった被告人が、かねてから情報提供をするなどして被告人の犯人検挙に協力していた民間人Aから、覚せい剤を第三者に持たせて覚せい剤所持事犯を捏造することを持ちかけられ、捏造に用いるための覚せい剤をAから無償で譲り受け(本件第一の事実)、その一部を使って覚せ...