《解 説》
本件は区立中学校の校長Aの教員Xに対する有形力の行使についてY1区及びY2都の国家賠償責任が問われた事案である。
本判決によると、事実経過はおよそ次のとおりである。すなわち、Xは英語の担当教諭であったが、生徒Kの父母がXのKに対する成績評定について苦情を述べたため、XはA及び...
《解 説》
本件は、市街地再開発事業の施行区域内に宅地等を有していた者ら(Yら)が、権利変換計画に定められた従前資産の価額が不当に低額であるとして、都市再開発法八五条一項に基づき収用委員会に対して価額の裁決を申請したところ、収用委員会は申請に係る従前資産の一部について、Yらの主張を一部認め...
《解 説》
一 本件は、暴力団関係者を装って債権回収を容易にするという動機、目的のもとに、医師に対して自らの小指の切断を依頼した者が、右依頼に応じて指の切断(指詰め)を行った医師に対し、不法行為に基づく損害賠償(手術費用、逸失利益、慰謝料、弁護士費用)を請求したという事案であり、原判決は五...
《解 説》
一 本件は、東大阪市役所市長公室参事等の職にあった被告人が、現職の市長を推薦し支持する政治団体の事務等に関わる中で、多額の寄付金が集まった事実を秘匿することなどを意図して、同団体の幹部らと共謀の上、大阪府選挙管理委員会に提出する同団体の収支報告書に寄付収入の額を実際よりも過少に...
《解 説》
本件は、被告人両名が、異常な行動や言動を繰り返すアルコール依存症の被害者の頚部に電気コードを二回巻き付け、左右にそれぞれ引っ張ってその頚部を強く絞めつけ、被害者を絞頚による窒息のため死亡させて殺害したという事案である。
本件では、犯行直前に被害者が自傷行為に及んでいたことから...
《解 説》
Xら三名は、農業振興地域の整備に関する法律(農振法)八条に基づいてY市が定めた農業振興地域整備計画中の農用地区域内において農業及び養鰻経営を行っていたところ、Y市は同法一三条一項に基づき当該地域を農用地区域から除外する変更決定を行った(Xらによれば、当該地域を市街化区域に編入し...
《解 説》
一 第二審で当事者となった者らとの関係に限って述べると、本件は、京都市の住民であるXらが、京都市民生局及び住宅局の職員で専決権者であったYらにより、他府県等の同和担当者等との懇談会等の会合に要したとの名目で支出された本件公金につき、右懇談会等の会合が実際に行われていないので違法...
《解 説》
一 本件は、行政書士である被告人が、平成二年から平成五年にかけて前後一七回にわたり、多数の依頼者から嘱託を受けて、福島県内の法務局支局ないし法務局出張所において、有限会社の設立や取締役の変更、所有権の移転などの登記申請代理行為を行ったことにつき、司法書士以外の者が他人の嘱託を受...
《解 説》
Xは、Yの従業員であるが、昭和五二年九月二八日頚肩腕障害、右手腱鞘炎等の診断を受け、同月三〇日から病気休業し、同五三年三月には労基署長から業務に起因する疾病と認められ、労災保険法による保険給付が支給された。Yと労働組合との間においては、従業員である組合員が業務に関連し、または業...
《解 説》
N県内にゴルフ場を開発するため、昭和六三年四月、A社(資本金五〇〇〇万円)が設立され、Xはその株式の過半数(六六〇株、額面三三〇〇万円相当)を引き受けた。Aは、Y1信用金庫から平成二年六月以降、ゴルフ場の建設資金を継続的に融資を受け、Xは同四年八月、Aの債務につき根保証を約し、...
《解 説》
一 本件は、銀行であるXが、Y1に対する融資を打ち切って融資金の返還を請求し、貸付け当時Y1の代表取締役であったY2に対しては保証債務の履行を請求したのに対し、Yらが、Xには貸し手責任があり、本件請求は権利濫用であると主張した事案である。Yらはこのほか、Xは自らの債権回収のみを...
《解 説》
一 本件は、原告が、第二次世界大戦中、出生地の朝鮮から当時川崎市内にあった被告会社の工場に労務動員として強制連行され、奴隷的待遇の下で強制労働に従事させられ、さらに、被告会社の当時の従業員らから暴行を加えられたため傷害を負い、重い後遺障害が残ったと主張して、被告に対し、主位的に...
《解 説》
Xは、平成三年一一月、Y3、Y4ほか一名から三DKの本件マンション(五三・四七平方メートル)を代金二七五〇万円で買い受けた。その際、仲介業者として買主側にY1、売主側にY2が立ち会った。本件マンションのうち洋室五・五畳は、ルーフバルコニーを利用して木造により増築されたものであり...
《解 説》
一 本件訴訟に至る経緯は、次のとおりである。
日本政府は、昭和天皇の御在位六〇年を記念して、記念貨幣を製造・発行したが、発行された記念貨幣には、一〇万円記念貨幣(天皇金貨)・一万円銀記念貨幣・五〇〇円白銅記念貨幣・五〇〇円白銅貨幣の四種類があり、このうち昭和六〇年銘の天皇金貨...
《解 説》
一 事案の概要
1 Y3は、Y1の主宰するパソコン通信に設置されていた本件フォーラムの電子会議室に、Xを攻撃する内容の発言(発言一覧表(一)ないし(四)。以下「本件各発言」という。)を書き込んだ。
2 Xは、(一) Y3の本件各発言により名誉を毀損された(不法行為)、(二)...
《解 説》
一 本件は、ボランティア活動を量刑上評価した判決として、当時、マスコミにより大きく報道された判決(判時一五八九号一六一頁)の控訴審判決である。被告人は、自動車の無免許運転をして起訴されたものであるところ、原審において、裁判所から阪神大震災の被災者の仮設住宅の訪問等のボランティア...