《解 説》
一 本件の被告人は、本犯者が営利の目的で覚せい剤を代金二一〇万円、大麻草を代金一一〇万円でそれぞれ譲渡する際に、譲受人を紹介するなどしてこれを幇助した従犯者であり、幇助行為について本犯者から報酬を得ておらず、本犯者は逃走中である。検察官は、原判決が被告人から本犯者の得た右代金の...
《解 説》
一 Xは、平成元年七月当時、熊本県宇土市の市会議員であったが、同月二七日の深夜、その所有の店舗、居宅等が火災により焼損したため、Y1ないしY3(保険会社、共済組合等)に対し、総額三〇〇〇万円の火災保険金等を請求した。
これに対し、Yらは、(一)出火原因が不審であること、(二)...
《解 説》
一 Xは、昭和四七年一月に建築された神戸市内の七階建マンション(以下「本件マンション」という。)の区分所有者であり、区分所有者で構成する管理組合から訴訟提起の権限を授与された者であるが、本件マンションを建築、販売し、現在も本件マンションの二室を所有する建設会社であるYが、本件マ...
《解 説》
一 本件は、新聞に掲載された被告の寄稿(本件手記)及び公開シンポジウム参加者に配付された被告作成の文書(本件文書)に、大学教授であった原告が自分の研究室の私設秘書等にセクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)をした事実があったと受け取れる記載があったことについて、原告が、私設秘...
《解 説》
一 A(地方公務員)は、昭和六一年三月一九日Y2の運転する軽四貨物自動車(B所有)に衝突・転倒して、傷害を負った。X(地方公務員災害補償基金)は、Aに補償し、AがY2及びY1(BはY1保険会社との間で対人賠償保険契約を締結)に対して有する損害賠償請求権を取得した。そこで、Xは、...
《解 説》
一 本件は、昭和六〇年一二月一七日、岡山県倉敷市の水島製油所において、ケミカルタンカー「第六明和丸」(本船)にベンゼンを積込作業中、本船のタンクが爆発炎上し、本船が損壊して乗組員二名も死亡した事故(本件事故)につき、本船の所有会社及び本船への乗組員派遣会社であった原告らが、本件...
《解 説》
X男とY女は、昭和四八年五月に婚姻した夫婦であり、平成二年一二月以降、Yが子を連れて家を出て以来、別居していたものである。
XはYに対し、悪意の遺棄を理由に離婚、慰謝料及び財産分与を求めて出訴したところ、YもXに対し、婚姻関係の破綻を理由に離婚、慰謝料及び財産分与を求めて反訴...
《解 説》
本件は、いずれも全国酪農業協同組合連合会の業務に関し、全酪連宮城工場において、①全酪連本所の乳業生産部長及び宮城工場長が、多数の全酪連本所の職員や宮城工場の従業員と共謀の上、脱脂乳と凍結クリームを混ぜて造った還元乳を生乳に混入して製造した加工乳について、その容器に「成分無調整」...
《解 説》
一 本件マンションの専有部分である一〇一号室の用途制限の内容に係る同室の区分所有者(本訴原告反訴被告、上告人)と管理組合(本訴被告反訴原告、被上告人)らとの間の紛争である。事案の内容は、本判決及び原判決(本誌七八〇号一九四頁)を参照していただきたい。
争点は、現在の一〇一号室...
《解 説》
一 Y社では、昭和四〇年、K社の鉄道保険部(主として国鉄の退職者を雇用していた特殊な組織であったようである。)で取り扱ってきた保険業務を引き継いだのに伴い、同部で勤務していた労働者をそれまでどおりの労働条件で雇用し、それ以来長年にわたり、組合との間で、鉄道保険部出身の労働者とそれ...
《解 説》
一 有限会社法一九条二項は、社員がその持分を社員でない者に譲渡しようとする場合においては社員総会の承認を要するものと規定している。本件では、社員総会の承認はないが、譲渡人以外の社員全員が譲渡を承認していた場合に、当該譲渡が譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効といえるかが...
《解 説》
一 まず、本件事案の概要について説明を加えておく。
建設大臣は、昭和六一年一二月一六日、本件事業認定を行い、北海道収用委員会は、平成元年二月三日、国を起業者とする沙流川水系二風谷ダム建設工事に伴い土地の権利取得裁決及び明渡裁決(本件裁決)をした。これに対し、アイヌ民族である原...
《解 説》
一 ゴルフ会員権を貸金等の譲渡担保に供する場合に、譲渡担保権者である金融会社の選択するところに従い、当該会員権を処分又は帰属清算の方法で処分でき、譲渡担保設定者は譲渡担保権者の請求があり次第、当該会員権の名義を譲渡担保権者あるいは譲渡担保権者の指定する第三者に対して名義変更承認...