《解 説》
一 患者が風邪で昭和五一年三月一七日から四月一四日まで約四週間毎日のように開業医にかかり、顆粒球減少症の副作用を有する多種類の風邪薬を投与された結果、副作用で顆粒球減少症にかかって四月二三日に死亡した。本件は、患者の遺族が、右開業医及び入院先として紹介された外科医院の医師に対す...
《解 説》
本判決は、不動産につき物上保証を受けている債務者が、当該担保権の実行としての競売事件の配当表に関して配当異議の訴えを提起し得るかどうか、提起し得るとしていかなる場合に訴えの利益が認められるかについて、最高裁として初めての判断を示したものである。
一 事案の概要 Xは、Aに対す...
《解 説》
一 本件は、遺留分減殺請求に対して受遺者が民法一〇四一条一項に基づいて行う価額弁償について、一つの新たな方法(受遺者からの抗弁)を認めたものである。本件においては、受遺者である被告が、遺留分権利者である原告からの不動産持分移転登記手続請求に対して、裁判所が定めた価額により価額弁...
《解 説》
X1はゴルフ場を経営する会社であり、関連会社のX2及びX3と共にゴルフ場の敷地を所有していたものであるところ、平成六年五月二七日から同年六月三日にかけてXら所有の土地建物につきYのため売買を登記原因とする所有権移転登記(一部仮登記)が経由され、その後Yがゴルフ場の経営に乗り出し...
《解 説》
一 Xは、平成四年当時、主婦として家事に従事する傍ら、薬剤師としてパート勤務に従事していたが、同年五月、投資顧問会社Y2の従業員の勧誘により総合プロジェクト会員に入会するとともに、右従業員の紹介により証券会社Y1との間で株式の信用取引を行っていたところ、同年八月、建玉に含み損が...
《解 説》
人身損害算定に関するいわゆる西原理論について正面から対決した下級審判決である。
一 事案は、午前八時二〇分頃千葉県船橋市内の交差点で起きた大型トラックと自転車との衝突事故で、自転車に乗っていた一八歳の高校三年の女子学生は、三日後死亡した。被害者にも優先道路横断に関する判断の誤...
《解 説》
一 Xは、貸金返還請求事件について一審において、三億八一五〇万円の支払を命じられたので、これを不服として控訴したが、法定の手数料を収入印紙をもって納付しなかったところ、裁判長から、控訴の手数料として、収入印紙一八九万五四〇〇円の納付を命ずる補正命令を受けたため、これを不服として...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、A弁護士会に対し、入会を申し込み、A弁護士会を経てY(日弁連)に対する弁護士名簿への登録の請求の進達を求めたところ、A弁護士会は、Xが弁護士法一二条一項前段所定の「弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞がある者」に当たるとして、進達を拒絶する旨の処分(本件...
《解 説》
Xら二名はそれぞれY1県のY2知事に対し、情報公開条例に基づき女川原子力発電所使用済核燃料の輸送計画に関する公文書の開示を申し立てたところ、Y2は本件各公文書の一部につき、同条例九条四号(犯罪の防止に支障がある)、五号(電力会社との信頼関係を損なう)、七号(県の事務事業の円滑な...
《解 説》
一 本件は、死亡した乳児の両親X1、X2が、被告市Y1及び市立病院の産婦人科医Y2に対し、出産後、乳児が死亡したのは、Y2の過失が原因であるとして賠償を求めた事案である。
X1は、第三八週目の定期検診を受けた際、Y2から直ぐに入院するよう指示され、午後三時ころ入院した。Y2は...
《解 説》
一 Xは、昭和三一年に交通事故で左下肢大腿部切断の重傷を負ったが、昭和五五年まで断続的に国民年金及び厚生年金保険に加入し、保険料を納付してきた。Xは、昭和四九年に旧国民年金障害福祉年金の、昭和六〇年に旧厚生年金通算老齢年金(厚年通老)の受給権を各取得し、昭和六一年に障害福祉年金...
《解 説》
一 本件は、満期が変造されたため変造前の満期が振出日より前の日付となった確定日払の約束手形の効力が争われた事案である。
二 本件の事実関係及び訴訟の経過の概要は、次のとおりである。
1 Yは、平成三年一〇月二四日、Aに対し、いずれも満期を平成三年一一月二二日、振出日及び受取...
《解 説》
一 Xは、建築資材の販売を目的とする会社であるところ、平成六年二月から同年八月までの間に、訴外A会社とY会社の二社から成るA・Y共同企業体(以下「本件共同企業体」という。)に対し、代金合計一四一万九一七五円相当の建築資材を売り渡したが、A会社が平成六年八月に破産宣告を受けたため...
《解 説》
一 いわゆる官官接待などに使われた地方自治体の食糧費の使途を明らかにするため、住民が情報公開制度によって食糧費に関する公文書の開示を求める動きが強まっている。本件は、東京都の住民である市民団体代表が、東京都公文書開示条例に基づいて、都知事を相手に、東京都の臨海副都心開発の関係部...
《解 説》
一 甲(原告)は、市議会議員選挙に立候補し、当選した者であるが、その後、選挙法違反の容疑により逮捕勾留されたため、議員辞職願を市議会議長乙(被告)に提出した。折から議会が閉会中であったため、乙は、地方自治法一二六条ただし書に基づき議員辞職許可処分をし、市選挙管理委員会に対し、公...
《解 説》
一 本件は、Y1会社の女性従業員であるXが、社長であるY2からいわゆるセクシャルハラスメントを受け、さらに理由なく解雇されたとして、Yらに対して不法行為に基づく損害賠償を、Y1に対して解雇予告手当の支払を求めていたもので、本判決は、X主張のセクハラの事実の一部と不当解雇について...