《解 説》
本件は、約束手形の所持人であるXから第二裏書人とされるY(第二裏書人欄に「日本電信電話株式会社NTT東京通信システム営業本部長」Aとの記名印及び本部長印が押捺された)に対し、主位的には手形金請求(Aの代理権、表見支配人、表見代理の各主張を伴う)として、第二次的には融資契約の債務...
《解 説》
A会社は、食材販売等を本業とする株式会社であるが、A会社の代表取締役であったYは、金融ブローカーであるCを採用して財務部長にさせていたところ、Yの大学時代の友人が代表取締役であったB会社が資金難であることを知り、貸金の趣旨で融通手形をB会社に振り出し、それ以後B会社の財務部長も...
《解 説》
本件は、Xが、NTT(Y)に対し、既払いのダイヤル通話料金にはXの未成年の子Aが無断で利用したダイヤルQ2サービスにかかる情報料及び通話料が含まれているが、Xにはこれらの支払義務はなくYは悪意の不当利得者であるとして、右ダイヤル通話料金の返還を求めた事案である。
本件の主な争...
《解 説》
本件は、更新された場合には新家賃の二か月分の更新料を支払う旨の約定のある賃貸借契約に基づき、賃貸人たるX(原告・被控訴人)が、賃借人たるY(被告・控訴人)に対し、更新料の支払いを求めた事案であり、右賃貸借契約が法定更新された場合にも更新料支払いに関する約定の適用があるかが争点と...
《解 説》
一 Y(日本道路公団)は、その施行する自動車道新設工事等の事業のためにX所有の本件土地につき収用裁決の申請をし、収用委員会は、本件土地を収用し、損失補償額を三三九五万円余とする権利取得明渡裁決をした。本件土地については、Y補助参加人Mの賃借小作権が存するかどうかが争われており、...
《解 説》
一 本件は、有限会社の持分の共同相続人が提起した社員総会決議不存在確認の訴えであり、原告適格の有無が争われた事案である。事案の概要等は、次のとおりである。
1 亡Aは、生前、Y社(Y1有限会社及びY2有限会社)の持分をすべて所有しており、その代表取締役を務めていた。
2 Y...
《解 説》
一 本件は、短期滞在(観光目的)の在留資格で入国しながら製本会社Y1で就労し、在留期間経過後も残留して同社で就労中に、右手人さし指を製本機に挾まれその末節部分を切断するという事故に遭ったパキスタン人Xが、Y1に対し安全配慮義務違反を理由に、また、現場で作業命令をする立場にあった...
《解 説》
一 遺産の全部を被告Aが相続する旨の遺産分割協議がされた後、共同相続人二名が原告となり、他のすべての共同相続人及び被告B(同被告は共同相続人でない)を被告として、被告Aは相続欠格者であると主張し、同被告が相続権を有しないこと等の確認及び被告A・Bへの移転登記等の抹消登記を求める...
《解 説》
一 本件は、Y(川崎市長)がした都市計画法(平成四年法律第八二号に基づく改正前のもの。以下「法」という。)二九条の開発行為の許可(開発許可)について、開発区域の近接地に居住するXらが取消しを求めた行政訴訟である。本件開発許可は、マンション建設のための開発行為についてされたもので...
《解 説》
一 本決定は、昭和三六年三月三重県名張市の山あいの生活改善グループが公民館で開催した懇親会に出された女子会員用のぶどう酒に有機燐系の農薬が混入していたため、女子会員五名が死亡し、一二名が有機燐中毒症を発症したという、いわゆる名張毒ぶどう酒殺人事件に関する再審請求事件の特別抗告審...
《解 説》
本件は、茅ヶ崎市の住民であるXらが、市に代位して、市長個人Yに対して損害賠償の請求をした住民訴訟事件である。Xらの主張によれば、市は、国鉄から転売禁止特約付きで買い受けた土地を特約に違反して転売したため、国鉄を承継した国鉄清算事業団から、右土地の売買契約を解除された上、解除によ...
《解 説》
一 商法は、新株発行無効の訴えを創設している(二八〇条ノ一五以下)が、新株発行不存在確認の訴えについては何ら規定するところがない。ところが、多くの学説はこの訴えを認めており、実務上も無効の訴えによらずに不存在確認の訴えを提起する例が散見される(その実際上の理由は、無効の訴えにつ...
《解 説》
一 本判決は、別掲の五年(オ)第三一六号事件(本誌本号一七九頁)と同一の原判決のうち昭和六三年の新株発行に関するものである(別掲コメントの二項を参照)。A社の昭和六三年の二四〇〇株の新株発行のうち九〇〇株をXが引き受け、Yの引受けはなかった。その結果、Xが一二七〇株、Yが八〇〇...
《解 説》
一 Xは、平成三年三月二九日、Yの経営する病院において胃ガンと診断され、同年五月九日、同病院のA医師の執刀により、胃の四分の三を切除する胃亜全摘手術(以下「本件手術」という。)を受けたが、同月三一日になって突然大量の吐血・下血をして倒れ、同年六月二二日には再度大量吐血したため、...
《解 説》
Xら三名はそれぞれYから建物を賃借し、保証金一二〇万円ないし二〇〇万円を差し入れていたところ、平成七年一月一七日発生した阪神淡路大震災により賃借建物が破損した。Xらは、主位的にはYの修繕義務違反による賃貸借契約の解除を、予備的には建物の滅失による賃貸借契約の終了を理由に保証金全...
《解 説》
一 被告人は、ブラジル空港から日航機に搭乗するに際し、コカインを隠匿したスーツケースを機内預託手荷物として運送委託し、新東京国際空港に到着後偽造旅券で入国しようとしたところを入管職員に発見された。税関検査に際して、被告人は、税関職員の質問に対し携帯品はなく、税関に申告すべきもの...