《解 説》
一 いわゆるゼネコンであるA社の株主Xは、A社営業所副所長が自治体発注の下水道工事に絡んで贈賄の有罪判決を受けたことに関して、右贈賄事件のような違法行為がなされないよう従業員を監視する善管注意義務がありながらこれを怠ったとして、代表取締役及び右副所長の上司に当たる取締役であるY...
《解 説》
一 本件は、マスコミ等でも大きく報道されたいわゆる沖縄県知事署名等代行職務執行命令訴訟の最高裁大法廷判決である。
国は、沖縄返還以来、日米両国間において駐留軍用地としてアメリカ合衆国に提供することが合意された沖縄県内の土地を同国に提供してきたが、平成八年三月三一日及び平成九年...
《解 説》
Yは、形成外科・美容外科医院を経営する医師であるが、出版等を業とするXに対し、同医院の宣伝を目的とする出版物の制作供給を依頼した。Xは、当初、四六版図書五〇〇〇冊の制作費を八〇三万円とする見積書をYに提出したが、その後、XとYは、図書を第一巻から第三巻まで各一〇〇〇冊の発行へと...
《解 説》
一 Xは、宝石、貴金属等の輸出入及び販売を業とする会社の代表取締役であるが、平成五年八月二三日午後六時三〇分頃から九時頃までの間に、東京都中野区中野二丁目一一番五号先路上に駐車中のベンツのコンソールボックスに保管してあったX所有に係る時価約二〇〇万円の時計を何者かに盗まれたと主...
《解 説》
一 本件は、郵便貯金の預金名義人の母親(親権者)と祖父との間で預金の真の権利者が誰であるかについて争いのあるケースにおいて、郵便局員が預金名義人の母親に対してした郵便貯金の払渡しが郵便貯金法二六条の「正当の払渡」にあたるか否かが問題となった事案である。
二 郵便貯金法二六条は...
《解 説》
一 本件は、地主Xから長年にわたって土地を賃借していたYが、かねてより更新料や供託地代との差額賃料の支払を求められていたことから、もはやその支払ができないものとして、いったん、Xとの間で、明渡期限までの地代相当損害金等の支払義務の免除を受けることにより、右期日限り土地を明け渡す...
《解 説》
一 本件は、大手消費者金融会社の顧客情報が漏えいされた事件について、金融業者である原告会社X1とその代表者X2が、この大手金融会社の従業員の引き抜きや顧客リストの横流し等に首謀者として関与していること及びこれは右大手金融会社の商権荒らしと消費者金融業界の秩序破壊を企図したもので...
《解 説》
一 本件は、著作物を創作したAの譲渡した著作権の現在の権利者であると主張するXが、右著作物について実名登録をしたYに対し、抹消登録手続を求めた事案である。
二 Yは、本件著作物は、Aが創作したものでなくYが創作したものであると主張したが、裁判所は、Yの主張を排斥し、本件著作物...
《解 説》
一 パリ条約により、意匠登録出願について優先権主張をしようとする者は、その旨並びに最初の出願をした条約の同盟国の国名及び出願の年月日(所定の事項)を記載した書面(主張書面)を出願と同時に提出しなければならず、所定の手続を遵守しなかった場合は優先権の主張は効力を失う(意匠法一五条...
《解 説》
Xは産業廃棄物処理業等を営む会社であるが、平成三年九月から一一月にかけて再三にわたり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成三年法律第九五号による改正前のもの。以下「旧法」という。)一五条一項に基づき、H町における産業廃棄物処理施設(最終処分場)設置のY(S県知事)宛届出書を所...
《解 説》
XはYに対して、繊維織物生地を売却する旨の売買契約を締結した。ところが、右売買契約は、Aを中心に、順次A↓X↓Y↓B↓Aと売却される環状取引の一部分であり、目的物の現実の移動がないばかりか、目的物の裏付けのないものであることが判明した。Yが目的物の引渡のないことなどを理由に売買...
《解 説》
一 自走式立体駐車場とは、運転者が車両を運転して上昇・下降路を走行することによって上下フロアに移動するタイプのものをいい、その中でも駐車区画の床が傾いているものを傾床型自走式立体駐車場という。傾床型にすると敷地面積当たりの駐車台数が増加し駐車場敷地を有効に利用することができると...
《解 説》
一 本件は、京都市民生局の職員により他都府県の同和行政担当者を地区施設視察や協議等の会合で接待したとの名目で本件公金の支出がなされたところ、京都市の住民であるXらが、右公金支出に係る会合は実際には行われていないから右公金支出は違法であり京都市は右支出金額に相当する損害を被ったと...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
1 警察車両に乗車していた警察官は、被告人車両とすれ違った際、プレートの状態等から被告人車両が無車検車ないし盗難車ではないかとの疑いを抱いて追尾したところ、午後一時三八分ころ、被告人車両は現場道路を後退進行して停止し、警察車両も被告人...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、県立B精神病院から抜け出した措置入院中の精神分裂病患者Aが金員強取の目的で通行人を殺害したため、被害者の遺族Xらが病院を設置、管理するY県に対して、国家賠償法一条に基づき損害賠償を請求した事件である。Aが通行人を殺害するまでの経緯等は以下のとおりである...
《解 説》
本件係争地の存在する墓地は、明治時代以前から七か村の部落民の使用する共同墓地であり、昭和四三年に至り、墓地の自主的な管理運営機構をより明確にする目的でX(代表者Z)が設立された。Yは、本件墓地に境界線を接している宗教法人であり、明治三四年に建立され、本件墓地内に初代住職の墓など...
《解 説》
Aは平成二年六月、Bからビル一階の店舗部分約一九五平方メートルを賃借し、Bに敷金として四一三九万円余を差し入れた。AはXとのフランチャイズ契約により右店舗で居酒屋のチェーン店を開き、Xとの間で敷金返還請求権について質権を設定する旨の書面を交わした。本件ビルは同三年一〇月、Yに保...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Y3銀行からの借入金により保険代理店Y2を通じて保険会社Y1に保険料を支払い、変額保険契約を締結した六八歳から七八歳までの老人四名(X1、X4、X6、X7)及び信用保証会社Y4の求償債権等を担保するために所有不動産に根抵当権を設定した親族等四名(X2、...
《解 説》
事案の詳細は判文にあたっていただきたいが、簡単に紹介すると、不動産売買等を目的とする有限会社である原告は、建築工事、地域開発事業等を目的とする被告から、福岡県宗像市に存する一〇万坪の土地についての買収業務と右土地を市に働きかける等して市街化区域に編入するとの業務を委託され、被告...