《解 説》
一 X1及びX2は、それぞれ一棟ずつの事業所用家屋(以下「旧家屋」という。)を他人と共有していたが、旧家屋を取り壊し、X両名の共有の形で新事業所用家屋一棟(以下「新家屋」という。)を建築した。Xらは、新家屋の新増設に係る事業所税(その課税標準は新家屋の床面積である。)につき、そ...
《解 説》
製薬会社Yに勤務するX1は、昭和六〇年三月一五日、東京営業所から名古屋営業所への転勤を命じられ、異議を止めて、同年四月一日、名古屋へ赴任し、平成三年三月一六日付で横浜営業所への転勤を命じられるまでの間、単身赴任生活を余儀なくされた。本訴は、右の名古屋営業所への赴任命令について、...
《解 説》
一 本件は、甲、乙を起訴後も取り調べることによって検察官調書が多数作成され、甲の検察官調書のなかには第一回公判後のものもふくまれていたところ、それらを共犯者である本件被告人の事件において取調べたことの適法性が控訴審で問題となった事例である。
弁護人は、起訴後の取調べは違法であ...
《解 説》
一 不法在留外国人Xは、交通事故で重傷を負ったために治療費についての生活保護を申請したが、福祉事務所長Yは右申請を却下し、これに対する審査請求も却下された。Xは、①生活保護法(以下「法」という。)の適用対象に外国人も含まれているものと解すべきであるから、外国人であることを理由に...
《解 説》
亡Aは、K市内の賃借建物で小料理店等を経営していたが、昭和五一、二年ころ娘の夫Y1の勧めで賃借建物の敷地を買い取り、個人営業を法人成りさせ、同地上にビルを建築することとした。その結果、昭和五二年八月、有限会社Y8が設立され、同五三年六月、新築ビルにつき所有者をAとする建物表示登...
《解 説》
Xらの先代A(平成七年五月死亡)は、昭和五〇年四月、マンション(シャルマンコーポ博多)の分譲を受け、同時に対価を払って駐車場の専用使用権の設定を受け、月額七〇〇円を管理組合Yに支払っていた。同マンションの区分所有者らは、平成二年五月、通常総会を開催し、共有持分割合にして五分の四...
《解 説》
一 本件は、不動産の共有者の一部が他の共有者に対して登記の全部の抹消登記手続請求をすることができるかどうかが問題になった事案である。
XとYは、兄弟であるが(他にも兄弟姉妹がいる)、父AがXと同居して農業を営んでいたところ、XがAの財産を無断で処分する等したため、その処分等が...
《解 説》
Aは、昭和六三年七月、自転車に乗っていたところ、Y1の運転する自動車と出会頭に衝突し、そのためAは、①頭蓋骨骨折、右脳挫傷、脳内出血、外傷性水頭症、②側頭骨骨折、右鼓膜外傷、感音難聴、③右動眼神経麻痺、両視神経萎縮の傷害を負った。①、③については平成三年四月、②については同年五...
《解 説》
一 本件は、原告が、被告の従業員の違法な勧誘によりワラントを購入させられ、その結果、ワラントの購入代金と弁護士費用の合計四〇七万〇六八二円相当の損害を被ったとして使用者責任に基づく損害賠償請求をした事案である。
原告は、まず、ワラント取引の危険性を述べた上で、具体的には、被告...
《解 説》
一 Xは、運動靴に関する意匠権(本意匠の意匠権)を有し、その意匠権についての四件の類似意匠登録出願をしたところ、いずれも登録査定がされたので、登録料納付書を提出した。ところが、Xが登録料納付書を提出した後、類似意匠の登録前に本意匠の意匠権が存続期間満了により消滅した。そこで、Y...
《解 説》
一 平成二年九月の台風一九号に伴う集中豪雨の際、和歌山県の二級河川日置川に設置された利水ダム(殿山ダム)の下流域で日置川が氾濫し、田畑や家屋が浸水するという被害が発生した。これらの浸水被害を受けたXらは、日置川が氾濫したのはダム操作に誤りがあったこと等に原因があるとして、殿山ダ...
《解 説》
Xは大正一二年生まれであり、尋常小学校を五年で中退した者であるが、Y証券会社社員Aから電話による勧誘を受け、三回にわたりワラントを購入した。Xは、その内の二口について売却し、八八万円余と三万円余の利益を得たが、一口について権利行使期間の経過により五八四万円余の損害を被り、最終的...
《解 説》
一 本件は、不在者投票の管理執行の違法等が選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるかどうかが争われた珠洲市長選挙の無効訴訟であり、最高裁が厳正な選挙の管理執行を求めたものとして社会的耳目を集めた事案である。
本件選挙においては、投票者一万七五一二人の約一割に当たる一七一三人もの選...
《解 説》
一 本件は、建設省の認可法人である日本下水道事業団が平成五年に発注した下水道の電気設備工事について、大手・中堅の電機メーカー九社が入札の談合を行ったことが独占禁止法三条にいう不当な取引制限に当たるとして起訴され、また各社の営業・調査部門の担当者合計一七名も行為者として起訴され、...
《解 説》
本件は、原告(警察官)が、被告により懲戒免職処分を受けたところ、その原因となった非違行為により起訴された別件の刑事事件において、非違行為当時心神喪失の状態であったとして無罪判決がなされたため(この判決は控訴されることなく確定している)、前記処分の無効確認を求めたものである。
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《解 説》
一 被告会社は、貸切バスによる観光業務や送迎業務等を行う会社であり、原告は、被告会社の従業員で組織された労働組合及びその組合員である。
被告会社においては、原告組合結成以来被告会社と原告組合との対立が続いていたが、その後第二組合が結成された。被告会社は、第二組合の組合員と比べ...
《解 説》
一 Xは脳梗塞の後遺症のため、リハビリ目的での入退院を繰り返していた男性であり、新興宗教団体Aの信者らの誘いによりリハビリのためA付属医院に入院し治療を受けていたが、入院中にその所有する土地建物(賃貸アパート)を「お布施」としてAに贈与して所有権移転登記を経由し、その旨の公正証...