《解 説》
一 本件の事実関係及び本案前の争点は、本判決の理由一に簡潔にまとめられているとおりである。要するに、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)による保険給付に関する決定のように、行政処分に対する不服について審査請求、再審査請求という二段階の不服審査手続が定められ(同法三...
国道43号線訴訟上告審判決 (1)事件 1 一般国道等の道路の周辺住民が受けた自動車騒音の屋外騒音レベルの認定に違法はないとされた事例 2 一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により受けた被害が社会生活上受忍すべき限度を超えるとして右道路の設置又は管理に瑕疵があるとされた事例 3 自動車騒音によるいわゆる生活妨害を被害の中心として多数の被害者から一律の額の慰謝料が請求された場合についての受忍限度を超える被害を受けた者とそうでない者とを識別するための基準の設定に違法はないとされた事例 (2)事件 一般国道等の道路の周辺住民からその供用に伴う自動車騒音等により被害を受けているとして右道路の供用の差止めが請求された場合につき右請求を認容すべき違法性があるとはいえないとされた事例
《解 説》
一 はじめに
いわゆる国道四三号線訴訟事件の上告審判決である。国と阪神高速道路公団による上告事件が①事件、住民による上告事件が②事件である。最高裁判決としては二つに分かれているが、ここに併せて紹介する。本判決は、道路公害についての初めての最高裁判決であり、道路行政に多大の影響...
《解 説》
Xは、Aに妻Bの殺害を依頼してその目的を遂げたとの事実により公訴を提起され、第一審東京地判平6・3・31本誌八四九号一六五頁は、Aを殺人の点につき無罪としたが、Xについては有罪判決を言い渡した。Yは新聞社であるが、Xが右殺人事件で逮捕された二日後に、「ロス銃撃」、「Aへ約束は二...
《解 説》
被審人は、一定地域の貸切バス事業者を会員とする事業者団体である。
貸切バスの運賃等(運賃及び料金)の決定、変更は運輸大臣の認可に係らせられており(道路運送法九条一項)、認可によらない運賃等を収受した場合は処罰の対象となり(同法九九条一号)、会員の運賃等も一定の金額の幅の中で認...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年一一月当時、宮崎県立妻高等学校の三学年に在籍していたものであり、同月二五日、保健体育の自習授業として行われたソフトボールの試合において投手をしていたところ、打者の打った打球が左腹部に当たって意識不明の状態になり、同年一二月九日、虚血性全脳障害により死亡した...
《解 説》
一 Xは、横須賀市内でカフェバーを経営していた女性であるが、新聞社であるY(①事件)及びZ(②事件)の発行する各日刊紙上においてXが北朝鮮の工作員と接触し、その指示を受けて各種の情報収集活動をしていた等の記事が繰り返し掲載されたため、これを名誉毀損及びプライバシー侵害に当たると...
《解 説》
本件は、国営八郎潟干拓事業によって造成された八郎潟中央干拓地に関し、入植者に営農に関する契約違反があったとして国が入植地の買収を求めると共に、これに関し、国が入植者に代って支払った金員等の返還を求めた事件である。
判決は、国による売買予約完結権が二名の入植者に対し、昭和五七年...
《解 説》
一 Xは、平成四年二月当時、旭川市近文町所在の木造二階建居宅を賃借して、長男と二人で居住していたが、同月一五日夜、右建物から出火し、右建物内にあるXの家財等が焼損するなどの火災事故が発生した。
Xは、平成三年五月、Y1保険会社との間で、また、平成四年一月、Y2保険会社との間で...
《解 説》
一 本件は、Y(被告・被控訴人)の勝馬投票券発売所に勤務しているX(原告・控訴人)が、年次有給休暇の行使として勤務を休んだところ、Yから、Xの雇用形態が年次有給休暇行使の法律上の要件である労働基準法三九条一項の「一年間継続勤務」(但し平成五年改正前)には該当しないとして、欠勤と...
《解 説》
一 Xは、愛知県豊橋市でパチンコ店を経営する会社であるが、平成元年八月、名古屋国税局の査察調査を受け、関連企業と合わせて、約二〇億円を脱税していることが判明したため、善後策に苦慮していたところ、Yらから税額を五億円以下にし、法人税法違反で起訴されないようにしてやるといわれたため...
《解 説》
一 事案の概要 八二歳の老人Xが、暴力団組長の妻Yから(実質的には同組長Aから)二五〇〇万円の融資を受け、その際、Yのために、自己所有の山林等四筆につき売買を原因とする所有権移転登記(買戻特約の付記登記あり)を経由し、ミカン畑一筆につき売買を原因とする条件付所有権移転請求権仮登...
《解 説》
一 A会社(代表者B)は、平成三年一〇月二日、C会社から、六〇〇〇万円を、利息一か月二・五パーセント、弁済期平成四年一〇月一日の約定で借り受けたが、その際、Aは、Cに対し、平成四年七月二日から同年一〇月一日までの利息の支払のために、Aが振り出し、Bの妻YとBが保証の趣旨で順次裏...
《解 説》
スナックを経営するXは、Y保険会社との間で店舗総合保険契約を締結していた。右保険契約の普通保険約款第1章第1条第3項第3号には、担保危険の一種として、火災、落雷、破裂または爆発、風災、雪災、建物の外部からの物体の落下等、給排水設備に生じた事故等に伴う漏水等による水漏れ、盗難など...
《解 説》
一 本件は、「カッター装置付きテープホルダー」の考案につき実用新案権を有していたXが(昭和五六年六月一三日限り存続期間が満了している)、Yが製造販売したイ号ないしハ号製品が本件実用新案権を侵害するものであると主張して、主位的に不法行為による損害賠償として、予備的に不当利得返還請...
《解 説》
一 Y2は、昭和四七年、Y1の母であるA子と婚姻届出をしてA子の実家で同居を始めたが、昭和五七年ころから家庭内別居の状態となり、昭和五九年ころには、Y2がA子の実家を出て、完全な別居状態となった。A子は、昭和五八年ころから、Xと肉体関係を持つようになり、昭和六二年Y1を出産した...