《解 説》
1 最一小判昭61・2・20民集四〇巻一号四三頁は、代位弁済者が代位取得した原債権と求償権とは、元本額、弁済期、利息・遅延損害金の有無・割合を異にすることにより総債権額が各別に変動し、債権としての性質に差異があることにより別個に消滅時効にかかるなど、別異の債権ではあるが、代位弁...
《解 説》
一 Y経営の本件ゴルフクラブの会員には、正会員、平日会員、家族会員等の種別がある。旧会員Aらは、昭和四四年又は四五年にYと入会契約を締結し、入会保証金を支払って本件クラブの平日会員となっていたが、Xらは、Aらから、それぞれ平成三年に平日会員権を買い受け、Yに対し、その旨を通知し...
《解 説》
Yは個人で電気工事の請負業を経営する者であり、Xの夫Aを雇用し、Aを被保険者として死亡保険金を一〇〇〇万円とする定期付養老保険契約を付していた。Aが胃癌で死亡したため、Yは保険会社から右死亡保険金のほか、入院給付金等を受領した。XはYに対し、AとY間に死亡保険金を退職金又は弔慰...
《解 説》
一 本件は、平成元年三月末日に締結した転貸目的の建物の賃貸借契約において、期間を一二年とし、三年毎に、経済情勢の変動を考慮して協議の上賃料の見直しを行うが、その際には、いかなる場合でも、改訂後の賃料を改訂前の賃料の一定割合増とする旨合意した(以下、「本件特約」という)として、原...
《解 説》
一 特定の不動産を特定の相続人Xに「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、原則として、右遺言は遺贈ではなく遺産分割方法の指定であり、右不動産は、被相続人の死亡の時に直ちに(遺産分割の協議・審判を経ることなしに)相続によりXに承継されるとするのが判例(最一小判平3・4・19民集...
《解 説》
本件は、一〇歳二月と九歳一一月の共に小学校四年生の男の子が、近所の子供らから「お化け屋敷」といわれ、荒れ放題になっていた無人の倉庫に入って火遊びをした結果、右倉庫が全焼したため、右倉庫につき掛けられていた火災保険が支払われ、保険代位したXが、二名の子の親権者であるYらに対して、...
《解 説》
一 被告人は、種類の異なる二丁のけん銃をそれぞれの拳銃に適合する実包とともに同一室内に保管して所持していた。これが平成五年法律第六六号によって新設された銃砲刀剣類所持等取締法(以下、「銃刀法」という)三一条の二第二項のけん銃の加重所持罪に該当することは明らかである。そして、第一...
《解 説》
一 本件は、生命保険契約締結に当たって、診査医の注意義務の程度が争われた事例である。
Xは、平成三年二月、生命保険会社であるYとの間で、当時の代表取締役A(当時五四歳)を被保険者、Xを受取人とする二億円の生命保険契約を締結したが、Aはそれから約一年後の平成四年三月、肝臓癌によ...
《解 説》
一 訴外Aは、訴外Bに対して売掛金債権を有していたが、倒産直前の時期に、この債権をYに譲渡した。
Aの債権者であるXは、右の債権譲渡契約が詐害行為に当たるとして、Yに対し、民法四二四条の債権者取消権に基づき、その取消しを求めた。
Yは口頭弁論期日に出頭しなかったが、Yの支配...
《解 説》
本件は、大手百貨店の社員の詐欺行為について百貨店の使用者責任が問われた事案である。本判決の認定したところによると、事実関係の概要はおよそ次のとおりである。
Xは、フランチャイズを含む約六〇の飲食店を経営する会社であるが、大手百貨店Yの販売推進部に所属していたAがXの代表者に対...
《解 説》
Xら二〇名は、Sゴルフ倶楽部の会員保証金六〇万円ないし八〇万円をY1社に預託していたものであるが(預託金の総額は、Xらの分を含め、約二二億円であった)、Y1社は同倶楽部を経営していたA社の全株式を代金四億五〇〇〇万円でY2社(代表者Y3)に売却した。次いでY2社はゴルフ場の土地...
《解 説》
一 Xは、愛知県豊田市大畑町の地域に居住する一定の資格を有する者によって構成されている入会団体であるが、入会地である本件土地について共有権を有すると主張しているYらに対し、本件土地がXの構成員全員の総有に属することの確認等を求めた。
一審名古屋地判平1・3・24(昭和五三年(...
《解 説》
一 宗教法人を含む公益法人等は、収益事業を営む場合に限り収益事業から生じた所得について法人税が課税されるが、収益事業以外の事業(非収益事業)から生じた所得については法人税を課さないこととされている(法人税法七条)。不動産貸付業は原則として収益事業とされるが、公益法人等が行う不動...
《解 説》
一 本件は、鴨島町の住民である原告が鴨島町営住宅の設置及び管理に関する条例(以下「本件条例」という。)八条の二に基づき住宅地区改良法二七条二項の規定により国の補助を受けて建設された町営住宅に入居許可申請したところ、被告(町長)がこれを拒否したため、被告に対し入居不許可処分の取消...
《解 説》
Yの発行する週刊誌上に保険会社のXが有力政治家Aに対し、西洋の絵画の買戻しの形式で不法献金をしたかのごとき印象を与える記事が掲載された。そこで、XはYに対し、取材記者、執筆者、編集者の不法行為についての使用者責任に基づき、損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めて出訴した。これに対しY...