《解 説》
一 Xの妻AはY(保険会社)との間で、被保険者をA、事故による死亡保険金を一〇〇〇万円、保険期間を五年とするなどの内容の積立女性保険契約(本件契約)を締結した後、事故により死亡した。本件契約の申込書の死亡保険金受取人欄に受取人の記載はされていなかったが、同欄には「相続人となる場...
《解 説》
一 本件は、平成四年七月二六日施行の第一六回参議院議員通常選挙愛知県選挙区に立候補・当選した被告人が、公職選挙法二三五条一項の経歴に関する虚偽事項の公表罪に問われたいわゆる百日裁判事件である。
原判決が肯認した一審判決の認定事実は、以下のとおりである。
被告人は、右選挙に際...
《解 説》
一 民法四九三条、四九四条の解釈上、一部弁済提供及び供託を有効としてよい場合があるかが問題になったものである。
事案を必要な範囲で要約すると、次のとおりである。
Xは、Y1運転の自動車に横断歩道上を横断中に衝突され、頭蓋骨骨折等の傷害を受け、自賠法施行令二条別表等級第一級に...
《解 説》
一 Xは化粧品小売店であり、Yは化粧品販売会社である。XはYとの間で特約店契約を締結し、Yから継続的に化粧品の供給を受けてきたが、平成四年六月三日Yより特約店契約を解約する旨の意思表示を受け、以後化粧品の供給を受けられなくなった。そこで、XはYに対し、(1)注文済の化粧品の引渡...
《解 説》
農業を営む父親Xは、約三五年間にわたりXと同居してXの農業を助けてきた長男のAに、農地を一括して生前贈与し、その贈与には、受贈者であるAが贈与者であるXと同居して農業を助け、X夫婦を扶養し困窮に至らせないとの負担が付されていた。ところが、その三年後長男Aが死亡し、Aの弟たちがA...
《解 説》
本件の争点は、所有者以外の者の占有する財物を窃取した場合に、刑法二四四条一項が適用されるためには、同項所定の親族関係が窃盗犯人と誰との間になければならないかという問題である。
学説は、三説に分かれている。第一説は、刑法二四四条一項所定の親族関係は、犯人と所有者との間にあれば足...
《解 説》
一 本件は、被相続人の妻及び三男が原告となり、被相続人の遺産である土地を同人の二女に遺贈する旨の公正証書遺言及び被相続人の遺産である骨董品を同じく二女に遺贈する旨の自筆証書遺言がいずれも被相続人の意思に基づかずに作成されたものであるとして、二女を被告として、右各遺言の無効確認を...
《解 説》
一 総説
本件は、大阪地判昭63・10・14本誌六九〇号一二〇頁の控訴審判決であるが、大阪地判昭57・3・24本誌四六三号七六頁(箕面忠魂碑訴訟)、大阪地判昭58・3・1本誌四八七号一七四頁(箕面慰霊祭訴訟。なお、忠魂碑訴訟、慰霊祭訴訟は控訴審において併合されている。控訴審判...
《解 説》
一 事案の概要
本判決は、岐阜県海津郡海津町、三重県桑名市、岐阜県武儀郡板取村及び岐阜市に居住する住民二〇名の原告らが、現在長良川河口から上流五・四粁地点に建設中の河口堰の建設差止めを求めて、その事業主体である水資源開発公団を被告として提訴した、いわゆる長良川河口堰建設差止訴...
《解 説》
一 本件は、東京証券取引所第一部上場の大手飼料メーカーである協同飼料株式会社が昭和四七年に行った株価操作事件である。本件当時の同会社の副社長及び経理部長は、時価発行公募により増資を実施するに当たり、当時の被告会社の株価が一株一七〇円から一八〇円程度であったのを二八〇円位まで高騰...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤使用事犯について、その意に反して被告人を警察署に同行し、約五時間半留め置いた後に採尿した手続の違法性と尿の鑑定書の証拠能力が問題となった事案である。原審は、未だ令状主義の精神を没却するほどの重大な違法はないと判断して、鑑定書の証拠能力を肯定して有罪判決を言い...
《解 説》
Xは本件土地上に存するA所有の甲建物の抵当権者であり、Yらは本件土地の所有者である。本件土地を目的として賃貸借契約がなされていたが、借地人がAであるかAが代表者をしていたB株式会社(破産した)であるかが争いとなり、YらはAに対して建物収去土地明渡請求訴訟を提起し、XはAに補助参...
《解 説》
一 原告らはいずれも町の住民であり、被告Y1は昭和五五年から現在まで町長である者、被告Y2は昭和六〇年から平成三年まで町の収入役であった者である。Y2は、昭和六〇年度から平成二年度までの間、町が発注した請負工事が各会計年度内に完成しなかった場合、請負業者に支払うべき請負代金相当...
《解 説》
一 X(国、市川税務署所管)が提出した交付要求書には滞納所得税本税額は七五万四七〇〇円と記載されており、売却手続が進められた。配当期日が指定され、Xは延滞税を三二〇万六五〇〇円とする滞納現在額計算書を提出したが、計算書記載の延滞税は、交付要求書に記載された本税を元本として発生し...
《解 説》
一 商法二六七条五項、六項、同法一〇六条二項は、株主代表訴訟において、原告の訴えの提起が「悪意ニ出タルモノ」であることを被告が疎明したときは、裁判所は担保の提供を命ずることができる旨を規定するが、①②決定は、この担保提供命令申立事件に関し、被告の主張を一部認めて担保提供を命じた...
《解 説》
一 本件は、特許権について真正商品の並行輸入が問題となった事案である。
ドイツの会社であるXは、自動車の車輪についてのドイツ特許権を有し、その実施品をドイツ国内で製造、販売しているほか、我国においても、右ドイツ特許権の発明と同一の発明について特許権を有している。
Y1、Y2...