《解 説》
一 本件は、連帯保証人に対する貸金請求訴訟であり、事実関係は、① XはYの連帯保証の下に訴外会社に金員を貸し付けた、② Xは、弁済期後の昭和五七年一〇月二一日に、右連帯保証債権を保全をするため、Y所有の不動産に対する仮差押決定を得て、その執行をした、③ 昭和五八年一二月一日Yが...
《解 説》
XがAに対し本件建物を期間二年の約定で賃貸した際、Yは賃借人Aの一切の債務について連帯保証をした。右賃貸借は期間満了とともに合意更新されたが、その後、Aが賃料等の支払を怠った。それにもかかわらず、Xは保証人Yに通知することなく、更にAと二回にわたり合意更新し、賃料不払期間が四年...
《解 説》
一 本誌八四九号一六五頁には、いわゆるロス疑惑銃撃事件の第一審判決(①東京地判平6・3・31)が特報として紹介されているが、ここに紹介するのは、右銃撃事件の犯人の一人(共謀共同正犯者)として起訴された男性Aが、右事件の約三月前に、同じ被害者(妻C)を自分の愛人(元女優B)に撲殺...
《解 説》
一 本件は、胃潰瘍患者に対する胃切除手術につき、その手術の首尾が争われた事例である。
当時六一歳であった甲は、昭和六一年五月一四日、胃潰瘍による吐血で被告Yが運営する病院に入院し、一六日に胃切除手術を受けたが、大量出血による心不全、呼吸不全が進行し、また細菌感染を併発したため...
《解 説》
一 本件は、愛媛県今治市富田地区に所在する織田が浜と呼ばれる海岸の埋立てに関して同市住民XらがY市長に対し、地方自治法二四二条の二第一項一号により公金支出の差止めを求めた住民訴訟に関する最高裁による差戻後の控訴審判決である。本件訴訟の経過の概要は、次のとおりである。
第一審の...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年七月、ルノアール作の絵画を約二億二五〇〇万円で購入し、その所有権を取得したので、Y保険会社との間で、右絵画を目的として、保険金額を二億七〇〇〇万円とする動産総合保険契約を締結した。
ところで、Xは、右絵画の輸入及び通関手続を依頼した業者Aに右絵画を預けてい...
《解 説》
XらはY市の住民であるが、二度にわたりAらに対し、Y市の公金による接待や私的飲食を違法であると主張して住民訴訟を提起したところ、被告の一人であるAはいずれも自己に対する請求を認諾した。Xらは、右認諾は地方自治法二四二条の二第七項にいう「勝訴」に当たると主張し、同条項に基づき、Y...
《解 説》
一 本件は、原告がその農業に関する事業所得についてされた所得税の更正処分の取消しを求めたものである。原告は、推計の必要性及び合理性を争うとともに、いわゆる実額反証を試みたが、いずれも容れられなかった。このような事案に対する結論のみを見る限りでは、それほど珍しいものではないが、本...
《解 説》
本件は、大阪府が茨木市に建設計画中の安威川ダムの地質調査資料の公開を求めた大阪府の住民が、部分公開(一部非公開)決定を不服として、非公開部分の取消しを求めた訴訟である。一審判決は請求棄却としたのに対し、本判決は非公開決定を取り消したものであり、当時、住民側逆転勝訴などとして、大...
2 登記薄謄本交付手数料訴訟第一審判決
登記手数料令2条1項は、憲法31条・41条・84条、不動産登記法21条3項に違反しない
(富山地裁平6・6・29判決)
《解 説》
一 本件は、土地区画整理事業における換地予定地的な仮換地の違法性が争われた事案であり、Xらは、仮換地の違法事由として、①照応原則違反、②換地計画を定めずに換地予定地的な仮換地を行った、③換地設計基準に合致していないことを主張した。
二 本判決は、まず前記一の②の主張に対して、...
《解 説》
X社は日本企業であり、中国資本との合弁によりM社を設立した。X社は、中国との貿易に熟達したY1社(代表者Y2)との間でM社についての企業管理代行委託契約を締結し、X社からY1社にその手数料として毎月三〇万円を支払う約束をした。本件の紛争は、X社からY1社に対し、Y1社がM社の中...
《解 説》
一 原告は、判決別紙目録一記載の本件商標を有している者であり、被告は、カミソリ刃及びその包装に「KⅡ」からなる被告商章(判決別紙目録二記載)を付して、製造販売している。
本件は、原告が、本件商標は外観上「K」と「Ⅱ」の接合体と看取できるから被告標章が本件商標に類似するとして、...
《解 説》
本件は、XがY証券会社に対し、その従業員Aの違法な勧誘によって、XがY会社に保護預けしていた自己所有の株式を、Aの信用取引の保証金として利用することを承諾するかわりに、利益金六〇〇万円を支払う旨の契約をしたが、その支払をせず、その期間内に利用させた株式が値下りし六〇〇万円の損害...
《解 説》
平成二年に天皇の即位の礼及び大嘗祭がとり行われたが、その一環として同年一〇月一〇日大分県玖珠郡玖珠町において主基斎田抜穂の儀が行われ、これに県知事Y1、副知事Y2及び農政部長Y3が参列した。Xらは同県の住民であるが、右抜穂の儀に県知事らが列席することは政教分離の原則(憲法二〇条...
《解 説》
本件は、じん肺患者の自殺について業務起因性を肯定した表記大分地裁判決の控訴審判決である。本判決は、被控訴人(原告)の請求を認容した原判決を取り消して被控訴人の請求を棄却しているが、本判決と原判決とで認定された事実は全く同一であり、両判決で結論を異にしたのは、事実に対する評価と法...