《解 説》
本件は、被告人が殺意をもって甲、乙両警察官に対しけん銃で銃弾一発を発射し、甲を心臓銃創による失血により死亡させて殺害し、更に同銃弾を乙の左下腿部に命中させたが乙殺害の目的を遂げなかったとの起訴状記載の訴因につき、検察官が、釈明等により、甲を狙って発射された銃弾がその身体を貫通し...
《解 説》
一 本件は、航空測量業界でトップのシェアを有していた國際航業の取締役経理部長であった被告人甲と経理部次長であった被告人乙が、自社の株式を買い占めた株の仕手筋のXに対抗するために、合計一〇億円を超える資金をいわゆるブラック・ジャーナリストに支出した行為が、業務上横領罪に当たるとし...
《解 説》
Xらは、Zが賃借していた東京都港区麻布十番所在の土地上にある建物をZから賃借していた者であるが、Zの借地権の存在を前提として右土地を更地価格の二割程度の安価で買い受け、借地期間満了にあたって、Zに対し借地契約の更新拒絶の意思表示をした。右意思表示と相前後してZが死亡したため、Y...
《解 説》
1 本件は、心筋梗塞患者に対する治療の不首尾が争われた事例である。
患者Aはかねて心筋梗塞の罹病歴があり、ある医大に通院していた者であるが、昭和六〇年九月、ろれつが回らない等の症状を呈してその医大の脳神経外科で検査を受けた。担当医のY1は、Aには脳内出血、脳室拡大があり、ドレ...
《解 説》
一 Xは、平成二年一二月、ゴルフ会員権の販売業者Y1から、静岡県駿東郡小山町所在の「ギャツビイゴルフクラブ」の会員権を購入し、申込金一〇万円を支払うとともに、翌平成三年七月代金四一〇万円支払って会員の登録を受けた。
しかし、Xは、登録後プレーの予約をしても、会員権の大量販売の...
《解 説》
一 Xらは、Yに雇用されるタクシー運転手である。Xらの勤務体制は、隔日勤務であり、所定労働時間が午前八時から翌日午前二時まで(このうち二時間が休憩時間)であった。Xらの賃金は、月間水揚高に一定率の歩合を乗じて得た金額を翌月五日に支払うというものであり、歩合の率は、勤務歴によって...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年九月二〇日、Y銀行に対して、一億五〇〇〇万円を預け入れて定期預金契約を締結し、X2は、昭和六三年一一月一日、Yに対して、二億円を預け入れて定期預金契約を締結し、X3は、昭和六三年九月二二日と同年一一月一日、Yに対して、合計二億円を預け入れて定期預金契約を締...
《解 説》
本件は、公職選挙法違反(現金の供与)の事件である。原審は、懲役二年六月の求刑に対して、懲役一〇月の実刑に処したところ、これに対して、検察官及び被告人の双方が控訴した。控訴趣意は、いずれも量刑不当を主張するものであるが、検察官は、一連の金員の流れの中で、被告人より下位に位置する者...
《解 説》
一 本件は、被告が男子従業員に対してはそれぞれその実年齢に対応した給与表に基づく本人給を支払っているのに、原告らに対しては実年齢より低い二五歳又は二六歳相当の本人給で据え置いてきたのは、原告らが女子であることを理由に男女差別をしたものであるとして、賃金請求権又は不法行為による損...
《解 説》
一 事案の概要及び争点等
控訴人(原告)は、被控訴人(被告)に長年定期バス運転手として勤務していたが、平成元年六月三〇日に非違行為(後記二2参照)があったとして、平成元年七月二〇日即時解雇された。そこで控訴人は、右解雇が無効であるとして、雇用契約上の権利の確認と未払賃金の支払...
《解 説》
一 本件の事案は、被告人が、新幹線の電話コーナーに設置されたテレホンカード自動販売機の前蓋をドライバーでこじ開けた後、同機現金収納箇所内の現金を全て窃取し、一旦前蓋を閉めた上、同機から窃取した千円札を同機の「一〇〇〇円札入り口」から順次挿入してテレホンカードを取り出し、その後再...
《解 説》
一 Xは、Y町の町議会議員であり、町消防団副団長(非常勤消防団員)等の公職にも就いていた。ところで、X所有の土地とY所有の町有地とが隣接しており、Xがその境界付近にブロック塀を築造したが、Yは、昭和五九年四月以降、XがX土地とY土地の境界付近のY土地の一部を不法に占有していると...