《解 説》
一 Xは、Yの不動産につき仮差押命令の発令を受け、その執行として強制管理の申立てをした。執行裁判所は、右申立てに基づき強制管理開始決定をするとともに弁護士であるAを管理人に選任し、その後、Aに支給すべき報酬を初回の平成五年一一月は月額八万円、同年一二月以降は月額五万円とするとの...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の自己使用事犯について、尿の採取過程に令状主義を没却する重大な違法があって、検察官が申請した右尿の鑑定書には証拠能力がないとしてこれを却下し、被告人を無罪とした原判決(本誌八〇九号二三〇頁)に対する控訴審判決である。
二 本件判決によると、本件事案の概要は...
《解 説》
本件は、使用者が労働組合に対し、違法争議行為を理由とした損害賠償を求めた事案である。すなわち、遊技場等を経営する会社Xが、Xの従業員の一部によって組織されている組合支部Yとこの上部組織Yとを相手に、Xが右営業のために所有しているビルの正面玄関等にYらが争議行為の一態様として多数...
《解 説》
一 政治資金規正法は、政治資金の体質改善を図り個人献金への移行を奨励しようとする趣旨で、昭和五〇年の改正において個人献金にかかる課税上の優遇措置を創設した(同法三二条の二)。また、同法は、政党その他政治団体の政治活動が、その政治資金の面において、国民の不断の監視と批判の下に置か...
《解 説》
一 被上告人国税局長が、国税通則法五七条に基づき、同人に対する所得税の還付金を上告人の滞納相続税に充当したところ、上告人は、還付金発生の前提となっていた更正処分が無効であり、したがって右還付金についての充当も違法であるとして、右充当の取消しを求めた。
一審は、充当処分が抗告訴...
《解 説》
一 Xは、特許出願をしたところ拒絶査定を受けたため、これを不服として審判を請求したが、Y(特許庁)は、Xの審判請求は成り立たないとして、拒絶査定を是認する審決をした。そこでXは、東京高裁に右審決の取消訴訟を提起した。東京高裁は、Xの主張を認めず、請求棄却の判決をしたが、Xは、右...
《解 説》
一 Yは妻子がありながら、Xと内縁関係に入り、Xと飲食店の共同経営を開始したが、その収益金のほとんどをY名義で購入した本件不動産取得のための銀行借入金の返済及びYの妻子への仕送金に充てるとともに、相続により取得した土地の一部を売却して、妻子の居住家屋新築代金の一部に充てた。そこ...
《解 説》
一 Yの理事長(代表権を有する理事)であったAは昭和六〇年四月七日に辞任し、同月一七日その旨の登記がされたが、その後同人は、自己の在任中にのみ使用されていたYの記名ゴム印及び理事長印等を冒用して約束手形三通を振り出した(額面合計二三一万円。振出の日は少なくとも理事を辞任してから...
《解 説》
本件は、外務大臣がXには昭和五七年から朝鮮民主主義人民共和国の工作員と認められる人物と海外において接触し、その指示に従って情報収集活動をしていた等の事実があるとして、旅券法一三条一項五号(いわゆる国益公安条項)に基づき、発給ずみの一般旅券(数次往復用)の返納を命じたのに対し、X...
《解 説》
本件では、警察官が被告人方を捜索するに当たり宅急便の配達を装って住居内に立ち入るなどした行為の適否が争われた。すなわち、本件警察官七名は、覚せい剤取締法違反被疑事実につき発付された被告人方の捜索差押許可状を所持し、被告人方に赴いたが、玄関が施錠されていたため、宅急便の配達を装い...
《解 説》
一 本件は、都市再開発法一〇三条一項に基づく施設建築物の一部等の価額の確定が抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するかどうかが争われた事案である。原告は、被告市が施行する第一種市街地再開発事業において、権利変換処分により同事業の施設建築物の一部を取得するものとされ、その取得に係る...
《解 説》
一 事案の概要等
1 Xは、昭和六三年一〇月に大分市所在の建物を購入したところ、大分県税事務所長(Y)から、課税標準を五一八五万五〇〇〇円、税額を二〇〇万円余とする不動産取得税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)がされたので、本件処分は課税標準を誤った違法があるとして、そ...