《解 説》
一 政治資金規正法は、政治資金の体質改善を図り個人献金への移行を奨励しようとする趣旨で、昭和五〇年の改正において個人献金にかかる課税上の優遇措置を創設した(同法三二条の二)。また、同法は、政党その他政治団体の政治活動が、その政治資金の面において、国民の不断の監視と批判の下に置か...
《解 説》
一 被上告人国税局長が、国税通則法五七条に基づき、同人に対する所得税の還付金を上告人の滞納相続税に充当したところ、上告人は、還付金発生の前提となっていた更正処分が無効であり、したがって右還付金についての充当も違法であるとして、右充当の取消しを求めた。
一審は、充当処分が抗告訴...
《解 説》
一 Xは、特許出願をしたところ拒絶査定を受けたため、これを不服として審判を請求したが、Y(特許庁)は、Xの審判請求は成り立たないとして、拒絶査定を是認する審決をした。そこでXは、東京高裁に右審決の取消訴訟を提起した。東京高裁は、Xの主張を認めず、請求棄却の判決をしたが、Xは、右...
《解 説》
一 Yは妻子がありながら、Xと内縁関係に入り、Xと飲食店の共同経営を開始したが、その収益金のほとんどをY名義で購入した本件不動産取得のための銀行借入金の返済及びYの妻子への仕送金に充てるとともに、相続により取得した土地の一部を売却して、妻子の居住家屋新築代金の一部に充てた。そこ...
《解 説》
一 Yの理事長(代表権を有する理事)であったAは昭和六〇年四月七日に辞任し、同月一七日その旨の登記がされたが、その後同人は、自己の在任中にのみ使用されていたYの記名ゴム印及び理事長印等を冒用して約束手形三通を振り出した(額面合計二三一万円。振出の日は少なくとも理事を辞任してから...
《解 説》
本件は、外務大臣がXには昭和五七年から朝鮮民主主義人民共和国の工作員と認められる人物と海外において接触し、その指示に従って情報収集活動をしていた等の事実があるとして、旅券法一三条一項五号(いわゆる国益公安条項)に基づき、発給ずみの一般旅券(数次往復用)の返納を命じたのに対し、X...
《解 説》
本件では、警察官が被告人方を捜索するに当たり宅急便の配達を装って住居内に立ち入るなどした行為の適否が争われた。すなわち、本件警察官七名は、覚せい剤取締法違反被疑事実につき発付された被告人方の捜索差押許可状を所持し、被告人方に赴いたが、玄関が施錠されていたため、宅急便の配達を装い...
《解 説》
一 本件は、都市再開発法一〇三条一項に基づく施設建築物の一部等の価額の確定が抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するかどうかが争われた事案である。原告は、被告市が施行する第一種市街地再開発事業において、権利変換処分により同事業の施設建築物の一部を取得するものとされ、その取得に係る...
《解 説》
一 事案の概要等
1 Xは、昭和六三年一〇月に大分市所在の建物を購入したところ、大分県税事務所長(Y)から、課税標準を五一八五万五〇〇〇円、税額を二〇〇万円余とする不動産取得税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)がされたので、本件処分は課税標準を誤った違法があるとして、そ...
《解 説》
一 本件は、Y1から本件貸室を賃借していたXが、右貸室の賃貸借契約を解除されたうえ、Y1の代理人弁護士であるY2が、解体業者であるAに依頼して、右貸室内に置いてあったX所有の全ての家財を搬出・廃棄させた(本件廃棄処分)として、Yらに対し、右家財の時価相当損害金等の賠償を請求した...
《解 説》
一 事案の概要等
1 兵庫県西脇市は、昭和六一年一二月、都市計画法(以下「法」という。)一二条の四、一三条一項七号により郷瀬地区計画(以下「本件地区計画」という。)を定めて告示したところ、本件地区計画において道路予定地とされている土地の所有者ら八名が原告となり、右計画の違法を...
《解 説》
一 近時、企業の依頼に応じてその求める人材を探索し、就職するよう勧奨して、右企業に就職させる人材スカウトないしヘッド・ハンティングと呼ばれる行為をすることを目的とする業者が増加しているようであるが、本判決は、(1) いわゆるスカウト行為が、職業安定法五条一項の定める職業紹介の要...
《解 説》
一 X1は、多年城郭の研究に携わってきた者であり、その研究成果を著した「日本の城の基礎知識」と題する書籍について、X2に出版権を設定し、同社から出版した。右書籍には、X1がイラストレーターに指示して作成した古代の城の想像図面が掲載されており、また、「城とは人によって住居、軍事、...