《解 説》
一 Xら及びYは、父Aの遺産について「遺産分割協議書」と題する書面を作成したが、その中には、(1)Yは母Bを扶養することを前提にA所有の不動産等を承継する、(2)右不動産が市に収用された場合には、YはX1、X2に五〇万円、X3に一五〇万円を分配する、(3)Yが右条件の一つにでも...
《解 説》
本件は、顔や手足のしびれ等を訴えて国立病院に入院した患者Aが、入院から数時間後に意識不明となり、転送先の病院で約一日後に死亡した事故につき、Aの遺族Xが国Yに対して、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を請求した医療過誤事件である。Xは、国立病院の担当医Bの過失として、①専...
《解 説》
一 本件は、被告が、その発行するスポーツ新聞紙上に、原告がその妻(被害者)を殴打して殺害しようとしたがその目的を遂げなかったという容疑(殴打事件)に関して、「(原告)、(被害者)に偽装工作を指示」という大見出しを付した原告に関する記事(本件記事)を掲載したところ、原告が、本件記...
《解 説》
タクシー会社Aは、運輸局長Yに対し、京都地区においてタクシー運賃の一割値下げを計画し、道路運送法九条一項に基づき認可申請をしたところ、Yは平成五年一一月一八日に期間を同年一二月一日から同六年三月三一日までとして右申請を認可した。①事件の申立人Xら三名は、競業するタクシー会社であ...
《解 説》
Xは亡父Aが甲地・乙地を所有しており、丙地をY2から買い受けたところ(右三筆はいずれも農地)、右各土地にはBのため条件付所有権移転仮登記及び抵当権設定登記があり、その後Y1に移転付記登記が経由されたとして、Y1に対し右各登記の抹消登記手続を求め、Y2に対し丙地につき農地法三条に...
《解 説》
一 Xは、平成元年七月、Yに対し、所有土地約二〇〇平方メートルを駐車場用地として賃貸していたが、平成二年九月、右賃貸借契約が終了したのにかかわらず、Yがその明渡しを拒否したため、土地明渡断行の仮処分命令を得て執行したが、その際執行補助のための要員、機械確保の費用を支出したため、...
《解 説》
一 X(原告・控訴人)は、昭和六三年一一月一日、Y1(夫)・Y2(妻)夫婦(被告ら・被控訴人ら)を養子としてなされた縁組の届出(本件養子縁組)について、縁組意思の欠如を理由に、その無効確認を求めた。
二 縁組無効の訴えをもって確認の訴えと解する立場(判例及び民法学者の通説。我...
《解 説》
本件事案の概要は、以下のとおりである。
昭和五六年一二月二〇日二〇時過ぎころ、路上において、被告池田は、被告安部を助手席に同乗させ、普通乗用車(以下「池田車」)を運転していたが、過失により、普通乗用車(タクシー)に追突させる事故(以下「本件事故」)を発生させたところ、本件事故...
《解 説》
一 本件は、上顎無歯顎症例に骨膜下インプラント(人工歯根技術のひとつで、詳細は判示の傍線部分参照)による治療を受けた結果、咀嚼能力が健常者の一一パーセントとなる後遺障害を負った事案について、治療方法として骨膜下インプラントを安易に選択し、しかもその施術の時期方法を誤った点に歯科...
《解 説》
一 本件は、タイ王国から航空機で帰国した被告人(当時三一歳の女性)が、着用していたパンティーの中にヘロイン約〇・二七グラムを隠匿携帯して本邦に持込み、通関手続を経ることなくこれを輸入した事犯であるが、弁護人らは、税関職員によって実施された被告人に対する身辺開示検査(関税法一二〇...
《解 説》
一 判示事項一について 本件は、夫である原告X(禁治産者の後見人)が、心身喪失の常況にある妻(禁治産者)Aの後見監督人である妻の実母Yを被告として離婚訴訟を提起したという事案である。後見監督人を被告とすべき点は、既に最高裁判所の判例があるが(最判昭33・7・25民集一二巻一二号...
《解 説》
XはAに土地を賃貸し、Aは右土地上に建物を所有していた。XはAに賃料不払いがあったとして建物収去土地明渡しの訴えを提起したところ、Aは特段の防御手段を講じないまま、Xの勝訴判決が確定した。Aの建物に根抵当権設定登記を有していたYは、第三者異議の訴えを提起し、強制執行停止決定を得...
《解 説》
一 債権者Xは、債務者Yが保有している預託金会員組織のAゴルフクラブの会員権を差し押え、その後、原裁判所は、Xの申立てに基づいて、Aゴルフクラブの会員権を支払えとYからXに譲渡する命令を発した。
しかし、Yは、Xから差押えがされる前に、右会員権をBに譲渡し、名義書換手続も完了...
《解 説》
本件は、山口県下松市が実施した公共下水道管延長工事がY(被告、被控訴人)の負担していた下水道法一〇条に基づく排水設備設置義務の履行を肩代わりしたものであるとして、同市の住民であるX(原告、控訴人)らがYに対し地方自治法二四二条の二に基づき右工事代金相当額の代金請求に及んだ住民訴...
《解 説》
一 本件で問題となった土地は、和泉市王子財産区が所有するため池である。被告和泉市長Y1は、王子財産区の管理者として本件土地を被告Y2に随意契約の方法で売渡し、所有権移転登記を了して引渡した。原告らは、本件土地は「鏡池」として葛の葉物語等において古来より国文学上の題材となってきた...