《解 説》
平成四年六月二八日施行のK町議会議員選挙において、Xの得票数は一六八票、訴外小野精二は一六七票を得た。これを受けてK町選挙管理委員会はXを最下位当選者、小野を落選者とした。小野はK町選挙管理委員会に異議の申出をしたが棄却され、更にY選挙管理委員会に審査の申立をしたところ、Y選挙...
《解 説》
一 本件は道路運送車両法九四条の八の保安基準適合証等の交付停止命令の違法を理由とする国家賠償法に基づく損害賠償請求訴訟であるが、一審東京地裁で敗訴した原告からの控訴による控訴審判決で、控訴棄却である。事実説明及び参考文献等については、一審判決の解説(本誌八一五号一七二頁)でされ...
《解 説》
XはY1教会(代表役員Y2)の信徒であったが、役員会において離籍処分を受けた。Xは、役員会には離籍処分をする権限がなく、またXには離籍の対象となる非行はなかったと主張して、Y1との間で信徒たる地位を有することの確認を求め、その他、離籍処分とそれに至る間のY2の演説により名誉を棄...
《解 説》
一 X1(原告・被控訴人)とX2(原告・被控訴人)の子A、Bは、平成元年五月二八日午後、友人らとともに近くの馬場川排水機場に赴き、門扉を乗り越えるなどして導入路に入り、アメンボ狩り等をして遊んでいたが、斜面を滑り落ちて沈砂池にはまり、いずれも溺死した。
そこで、X1、X2は、...
《解 説》
一 本件は、信用金庫の支店長であった被告人が多額の負債の返済に行き詰まり、振込み入金等の事実がないのに、支店の為替係り等に命じてその入金があった旨の電子計算機処理(オンラインシステムの端末機操作)をさせ、借り入れ先の普通預金口座の残高に四六〇〇万円を、自己の当座預金口座の残高に...
《解 説》
一 ここに紹介する二つの判決は、非営利目的の覚せい剤所持と営利目的の大麻所持が観念的競合の関係となる場合において、懲役と罰金の併科刑が言い渡されたものである。
二 観念的競合又は牽連犯の関係にあり、科刑上一罪の関係にある数個の罪は、「其最モ重キ刑ヲ以テ処断」する(刑五四条一項...
《解 説》
本件は、七八歳であった老人Aが遠縁の者Yに不動産多数を含む全財産を包括遺贈する旨の公正証書遺言をした際、意思能力を有していたか否かが争われた事案である。甲・乙両事件から成っており、甲事件は、法定相続人X(Aの亡兄の娘)からYに対し、遺贈を原因とする所有権移転登記がされた二八物件...
《解 説》
一 本件は、昭和五八年一〇月から同六〇年四月までの間にY社からダイヤを購入し、同社との間にダイヤ販売媒介委託契約を締結して、同社のダイヤ販売媒介組織の会員となったXら(原告、被控訴人)一三名が、Y社の右ダイヤ販売商法は違法であるとして、Y社(及びその代表取締役。被告、控訴人)に...
《解 説》
一 原告らは、韓国の国籍を有するが、日本で生れ、日本の社会に本拠を置いて生活してきた「定住外国人」である。原告らは、原告らが選挙人名簿に登録されていないのは不服であるとして、選挙管理委員会に対し、選挙人名簿に登録することを求める異議の申出をしたところ、この申出が却下されたので、...
《解 説》
Xら三名及びYら二名は、本件三筆の土地及び一棟の建物の共有者である(Y1の持分のみ三分の一、その余の者の持分は各六分の一)。Xらは、本件共有不動産について、現物分割では著しく価格を損ずるおそれがあると主張し、競売による売却代金の分割を申し立てた。これに対し、Yらは現物を分割し、...
《解 説》
一 Xは、生命保険会社であるY2の募集する変額保険につき、Y2の使用人であり、かつ、生命保険募集人であったY1の違法な勧誘行為により、払込保険料と解約払戻金及び配当金の差額金、及び変額保険加入時から解約時までの利回保証金相当の損害を被ったとして、Yらに対して損害賠償を求めた。
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《解 説》
Xは、平成二年三月二〇日ころ、南アフリカ共和国から船便で輸入したソテツ五一〇本の通関手続をYに委任した。Yは、輸入検査申請、検疫等に時間を要し、輸入許可を得て通関手続が完了したのは、同年五月一八日のことであった。Xは、Yの通関手続の遅滞によってソテツ三一六本が枯死し、損害を被っ...
《解 説》
一 訴外A(昭和四五年六月生)は、生後七か月頃に喘息様の発作が起こり、その後も喘息発作が続いたため、近隣の病院などに入通院して治療を受けていたが、昭和五三年一月、小学校に入学する機会に、Y1の開設する西奈良病院に入院した。
そして、Aは、その後同病院において、ステロイドホルモ...
《解 説》
本件は、第一に不動産売買契約の成否、第二に売買契約が成立したといえない場合、売主となるべき者の不法行為責任の有無が争われた事案である。事実経過は多少複雑であるが、要約すると、およそ次のとおりである。
Xは、Yら三名からその共有に係る本件不動産を代金三六億円余で買い受ける手筈と...
《解 説》
一 Xは、宅地建物取引業者として不動産売買の業務に従事するほか、宗教法人東雲寺の総代として財務担当をしているものであるが、昭和六三年一一月頃から、檀信徒から集めた浄財の運用のため、Y証券会社の名古屋支店との間で投資信託等の取引を開始し、平成二年二月頃から、従業員の勧めにより「ワ...
《解 説》
一 XはYに対し求償金等を請求していたが、訴訟係属中にYが死亡し、Yに訴訟代理人が付いていなかったため、訴訟中断が生じた。その後、Yの相続人としての地位を有する者全員が相続放棄の手続をとり、また、Yには、本訴の訴訟物以外に積極・消極いずれの相続財産の存在も認められなかった。その...
《解 説》
一 Xは、平成三年三月、Yから五〇万円を借り受けたが、その際、自己所有の自動車に売渡担保を設定し、右自動車を、車検証及び保険証明書とともに引き渡した。
しかし、Xは、Yに対し、右自動車の時価は一八七万円程度であるから、これを僅か五〇万円の債権の担保として売渡さすことは、公序良...