《解 説》
一 事案の概要
原審の遺産分割の審判に対し、一当事者が即時抗告をした後、他の当事者が即時抗告をしたところ、原審は、最初の即時抗告の抗告理由の一部を容れて、右審判の主文の一部につき再度の考案による更正審判をした。その後、別の他の当事者が附帯抗告をした。右各抗告及び附帯抗告とも、...
《解 説》
本件一審判決は、被告人が平成四年七月二〇日ころ覚せい剤約二・五グラムを代金七万円で譲り渡したとの事実を認定し、別に認定した詐欺の事実と併せて被告人に有罪判決を言い渡したが、右覚せい剤代金について、特段没収・追徴の言渡しをしなかった。
本判決は、検察官の控訴をいれ、一審判決には...
《解 説》
一 本件は、リース会社であるXが、リース契約の借主兼割賦販売契約の買主であるY1と連帯保証人であるY2及びY3に対し、リース料金及び割賦代金の残金の支払いを求め、Y3の妻Y4に対し、詐害行為取消権に基づき自宅の売買契約の取消しを求めた事案である。
Y1は、A社のスーパーチェー...
《解 説》
一 判示事項一に関する事案の概要は次のとおりである。
建築工事の請負、不動産売買業を営むX2は、Yに対し、宅地及び同地上に建築予定の建物を代金一億一五〇〇万円で販売する旨の契約を締結し、手付金として五七五万円を受領した。X2は、その後建物を完成して、Yを所有者とする表示の登記...
《解 説》
本件は、同一人の所有する土地とその地上建物の双方に共同根抵当権が設定された後に、建物が取り壊され、当該所有者により建物が再築された上、新建物に共同根抵当権を設定しないまま、それが第三者に譲渡された場合に、当該土地の根抵当権の実行としての競売において、新建物のために法定地上権が成...
《解 説》
一 本件は、旧国鉄(昭62・4・1の国鉄法の廃止とともに国鉄清算事業団に移行した。国鉄清算事業団法附則二条参照。)の職員が業務命令を違法であるとして上司個人を相手に提起した損害賠償請求訴訟についての最高裁判決である。
Xは国鉄九州総局鹿児島自動車営業所(以下「鹿児島営業所」と...
《解 説》
一 甲事件は、Xらが、精神障害が存在せず、かつ、病院管理者による診断も保護義務者による適法な同意もないのに、精神衛生法三三条に定める同意入院の形式で宇都宮病院に違法に入院させられていたとして、Yら(Y1=宇都宮病院の医師兼管理者かつY2の理事、Y2=同病院の経営主体である医療法...
《解 説》
Aは昭和六三年七月、Bに対し、Yの保証のもとに、八階建てのビル一階ショールームと二階事務所合計一八七平方メートルを期間三年の約で賃貸した。Aは、平成二年一一月死亡し、Xら二名が賃貸人の地位を相続した。XらとBは、平成三年七月、あらためて期間を三年とする新賃貸借契約を交わし、特約...
《解 説》
原告は、固定資産課税台帳に登録されていない借地権付きの土地を購入したが、被告都税事務所長から、その土地の課税標準となるべき価格を更地価格として評価し、これによって計算した額の不動産取得税の賦課決定を受けた。
そこで、原告は、右賦課決定には、借地権を考慮しないで税額を決定した違...
《解 説》
一 本案は、大阪府豊中市(同地を管轄する簡易裁判所は豊中簡易裁判所、以下同様にカッコ内にその土地を管轄する簡易裁判所を記載する。)の交差点において信号待ちで停止していたX1会社所有車両にY1の運転するY2会社所有の車両が追突し、被害車両に乗っていたX2・X3・X4が負傷し、X1...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、茨城県つくば市及び牛久市に居住する原告らが、被告理化学研究所(以下・被告)のライフサイエンス筑波研究センター(つくば市高野台所在)実験施設のうち、P4実験室におけるP4レベルの組換えDNA実験により、その生命、身体に回復しがたい重大な損害を受けるおそれ...
《解 説》
本件は、雑草が生い茂って見通しの悪い一車線道路のカーブ付近において、単車を運転していた原告と、自動車を運転していた被告とが正面衝突した交通事故による損害賠償請求事件である。本件の争点は、損害額及び過失相殺であるが、事故当時大学生であった原告に後遺障害が残存したため、特にその逸失...
《解 説》
Xは昭和五五年二月、歩行中に交通事故に遭ったが、長期間胸部痛等が消失せず、国立大学医学部附属病院において、同五六年一〇月から五八年一月までの間、持続硬膜外ブロック等のブロック施術を約三〇〇回にわたって受け、同五八年五月にはくも膜下フェノールグリセリンブロック施術を受けた。Xは、...
《解 説》
本件事案の詳細は不明であるが、およそ次のようである。
Xらの子で腎臓移植を受けたAは慢性拒絶反応の進展により腎機能悪化、高血圧が短期間に進行し、Y市の経営する病院に入院したところ、腎不全から鬱血性心不全による肺水腫が生じ、死亡した。Xらは、医師が状況に応じて患者の状況を説明し...
《解 説》
本事案は宗教法人たる債務者の代表役員が責任役員らを一方的に解任したのに対して、責任役員らが債務者に対し地位保全を求めたものである。本決定の論点のうち、民法六五一条の適用の有無、規則に解任についての定めがない場合の解任権の帰属や手続きの二点に関してはすでに多くの裁判例がある。前者...
《解 説》
一 本件は、被告会社に対立姿勢をとる労働組合の指導者(原告)を嫌悪する被告会社代表取締役(被告甲)が、原告を解雇する口実を得るため、関係者と共謀の上、原告のオートバイの座席の下に覚せい剤を隠匿してこれを警察に通報し(本件誣告)、その結果原告が覚せい剤取締法違反の罪により逮捕され...