《解 説》
一 Xは、A協会(個人経営)の会員として、被告らがそれぞれ制作したテレビ番組等にエキストラとして出演していた。本件は、Xが、「A協会は有料職業紹介業の許可を得ているだけで、Xのエキストラ出演は、XとYらの間で暗黙に成立した各雇用契約によるものである」と主張し、Yらに対してそれぞ...
《解 説》
一 一審の訴訟手続について被告人が心神喪失の状態にある間は公判手続を停止すべき旨を定める刑訴法三一四条一項の規定は、控訴審の手続にも準用される(同法四〇四条)とするのが、判例であり(最三小判昭53・2・28刑集三二巻一号八三頁、本誌三六一号二二八頁)、多くの学説も同様である(渡...
《解 説》
一 原告らは被告経営の平安高校の高校生であった。平安高校のもと教論が成績評価に水増しした評定値を学習評定一覧表、生徒指導要録に記載し、内申書にもその旨改ざんして特別推薦制度を受けているR大学に提出した。これが発覚して同大学から特別推薦制度が打ち切られ、原告らはこれを利用すること...
《解 説》
本判決が認定した事実によると、本件係争土地は、Yらの共有に属するが、その南側に沿って存在する公道と一体となって、昭和二五年一一月二三日(建築基準法の施行日)以前から三・八メートルの幅員を有して一般の通行の用に供され、道路の形態が整い、道路敷地が明確であって、昭和三〇年七月三〇日...
《解 説》
Xは昭和五〇年一月、Yに対し、東京都渋谷区にある本件建物の三、四階のうち、合計一五六平方メートル余を賃料月額二一万円で賃貸した。右賃料月額は、当事者の合意により、同五六年九月から二五万円、同五九年九月から二七万円、同六二年九月から三三万円に増額された。Xは平成二年九月以降の賃料...
《解 説》
本件は、千葉大学医学部助教授で、同学部付属病院の中央放射線部部長であった被告人Aが、大型高額医療用機器である全身用X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)一式の導入に関し、その販売業者の営業担当者らから、米国旅行費用などとして合計四三〇万円余の賄賂を収受したとして、贈賄側ととも...
《解 説》
一 本件は、刃物の製作、販売業者が、日本料理の包丁儀式(いわゆる「包丁式」)に使用するための儀式包丁を製作、所持した行為が、銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という。)の禁止する「刀」の所持にあたるとされためずらしい事案である。
二 日本料理の世界においては、古来の伝統的...
《解 説》
本件は、東京都の住民である原告(判文からすれば、当該定時制高等学校の職員であった者のようである。)が、東京都に代位して、同都立のある定時制高等学校に勤務していた教職員に対し不当利得の返還等を求める地自法二四二条の二第一項四号の住民訴訟である。
その主張によれば、当該定時制高等...
《解 説》
一 事案の概要
原審の遺産分割の審判に対し、一当事者が即時抗告をした後、他の当事者が即時抗告をしたところ、原審は、最初の即時抗告の抗告理由の一部を容れて、右審判の主文の一部につき再度の考案による更正審判をした。その後、別の他の当事者が附帯抗告をした。右各抗告及び附帯抗告とも、...
《解 説》
本件一審判決は、被告人が平成四年七月二〇日ころ覚せい剤約二・五グラムを代金七万円で譲り渡したとの事実を認定し、別に認定した詐欺の事実と併せて被告人に有罪判決を言い渡したが、右覚せい剤代金について、特段没収・追徴の言渡しをしなかった。
本判決は、検察官の控訴をいれ、一審判決には...
《解 説》
一 本件は、リース会社であるXが、リース契約の借主兼割賦販売契約の買主であるY1と連帯保証人であるY2及びY3に対し、リース料金及び割賦代金の残金の支払いを求め、Y3の妻Y4に対し、詐害行為取消権に基づき自宅の売買契約の取消しを求めた事案である。
Y1は、A社のスーパーチェー...
《解 説》
一 判示事項一に関する事案の概要は次のとおりである。
建築工事の請負、不動産売買業を営むX2は、Yに対し、宅地及び同地上に建築予定の建物を代金一億一五〇〇万円で販売する旨の契約を締結し、手付金として五七五万円を受領した。X2は、その後建物を完成して、Yを所有者とする表示の登記...
《解 説》
本件は、同一人の所有する土地とその地上建物の双方に共同根抵当権が設定された後に、建物が取り壊され、当該所有者により建物が再築された上、新建物に共同根抵当権を設定しないまま、それが第三者に譲渡された場合に、当該土地の根抵当権の実行としての競売において、新建物のために法定地上権が成...
《解 説》
一 本件は、旧国鉄(昭62・4・1の国鉄法の廃止とともに国鉄清算事業団に移行した。国鉄清算事業団法附則二条参照。)の職員が業務命令を違法であるとして上司個人を相手に提起した損害賠償請求訴訟についての最高裁判決である。
Xは国鉄九州総局鹿児島自動車営業所(以下「鹿児島営業所」と...
《解 説》
一 甲事件は、Xらが、精神障害が存在せず、かつ、病院管理者による診断も保護義務者による適法な同意もないのに、精神衛生法三三条に定める同意入院の形式で宇都宮病院に違法に入院させられていたとして、Yら(Y1=宇都宮病院の医師兼管理者かつY2の理事、Y2=同病院の経営主体である医療法...
《解 説》
Aは昭和六三年七月、Bに対し、Yの保証のもとに、八階建てのビル一階ショールームと二階事務所合計一八七平方メートルを期間三年の約で賃貸した。Aは、平成二年一一月死亡し、Xら二名が賃貸人の地位を相続した。XらとBは、平成三年七月、あらためて期間を三年とする新賃貸借契約を交わし、特約...
《解 説》
原告は、固定資産課税台帳に登録されていない借地権付きの土地を購入したが、被告都税事務所長から、その土地の課税標準となるべき価格を更地価格として評価し、これによって計算した額の不動産取得税の賦課決定を受けた。
そこで、原告は、右賦課決定には、借地権を考慮しないで税額を決定した違...