《解 説》
一 Xは、訴外Aに対する約束手形に基づく債権合計三六四万〇三〇〇円の執行を保全するため、AがYに対して有する右同額の本件預託金返還請求権の仮差押えを申請して、昭和六〇年四月一九日これを容認する仮差押決定を得たうえ、Aの相続人であるB外五名を相手方として、本件預託金提供の原因とな...
《解 説》
本件は、私立大学の応援団の合宿中に上級生から気合い入れの名目による暴行を受けて死亡した新入生Aの両親(Xら)が、大学の設置者である学校法人Yに対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を請求した事件である。
いわゆる学校事故に関し判例集、裁判集に登載された最高裁の判例には、...
《解 説》
一 本件は、土地建物の担保権実行としての競売事件で、売却のための保全処分(民執五五条)として、所有者(兼債務者)に対し、暴力団関係者等に競売不動産の占有を移転するおそれがあることを理由に占有移転禁止及び執行官保管を命じたものである。
所有者会社は、平成三年一二月二日、本件抵当...
《解 説》
一 土地区画整理法(以下「法」という。)六六条、六条の規定により都道府県知事等の定める土地区画整理事業計画の決定については、周知のとおり、最大判昭41・2・23民集二〇巻二号二七一頁が、この土地区画整理事業計画の決定は、その公告がされた段階においても、抗告訴訟の対象とならないも...
《解 説》
一 Y(被告、控訴人)は、平成元年一〇月、浪費者であることを理由として準禁治産宣告を受けた者であるが、平成二年一〇月、貸金業者であるX(原告、被控訴人)から、自己が準禁治産者であることを秘して五万円を借り受けた。
しかるに、Yが平成三年二月以降元利金の支払いを怠ったため、Xは...
《解 説》
H市(Y市長)は、テニスコート、ゲートボール場として合計二万七〇七九平方メートル余の土地を所有者から借り受けて市民に提供し、各所有者には三・三平方メートル当たり五〇円を報償費として支払う一方、右土地について固定資産税を賦課しなかった。住民であるXら二名は、Yが所有者らに昭和六〇...
《解 説》
一 長久手町長は、X所有の本件土地について、平成三年度の固定資産税登録価格を決定したところ、Xは、右登録価格に不服であるとして、Yに審査の申出をした。しかし、Yがこれを棄却する旨の決定をしたため、Xは、本件土地の前記価格は過大に評価された違法があるとして、右決定の取消を求めたの...
《解 説》
一 Xは、昭和五七年五月、訴外A会社に対して有する請負工事残代金債権を保全するため、仮差押の執行を申し立て、A会社の事務所、倉庫、工場内に保管してあった家具、建具、機械類を仮差押えして、その保管を債務者に委ねた。そして、Xは、昭和六〇年二月、A会社に対する仮執行宣言付き勝訴判決...
《解 説》
本件は、産婦人科医院において昭和五〇年一一月一五日に未熟児として出生した直後から保育器内で酸素の投与を受けた結果、未熟児網膜症に罹患して失明した子と両親が、養育医療にたずさわった同医院の医師二名に対して損害賠償を求めた事案である。原告は、医師の責任原因として、①早産を招いた母体...
《解 説》
一 申立債権者(抵当権者)Xは、債務者A所有の不動産に抵当権の設定を受けたが、その設定登記の後、AからYに対して真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記がされた。Xは、Yは真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記を受けたものであるからてき除権者でないと主張して、Yに...
《解 説》
一 本件は、依願退職後に公文書偽造、同行使、詐欺の罪で起訴され執行猶予付きの懲役刑の判決を受けた元市長Xに対し、市が、同人の依願退職後起訴前に退職手当支給条例を改正し、在職期間中の行為に係る刑事事件に関し退職後に禁固以上の刑に処せられた場合には、その支給した退職手当等の返納を命...
《解 説》
楽団演奏の提供及びキャバレー等の営業等を目的とするA会社(代表取締役Y)は、B会社から本件建物を賃借してキャバレーを経営していたところ、X会社は、A会社からこの店の造作設備を含む営業に関する一切の権利及びYから全株式を買い受けた。ところが、AB間の建物賃貸借契約には賃借権の無断...
《解 説》
一 Yは、XがY組合のT支部における会計処理に不正・横領があると主張してその旨の文書を組合員に配布してY組合を批判し続けたり、Y組合の勧告を無視して警察署に告発行為をしたことが、Y組合の名誉を害し、統制を乱したとして、Xを、除名処分にした。本件は、Xが、組合員として当然の権利を...
《解 説》
一 本件は、差押処分が違法として取り消されたため、司法警察員が当該差押物を返還する行為に対する準抗告申立ての適否に関して、最高裁として初めての判断を示したものである。
事案の経緯の概略は、次のとおりである。暴力団組長である申立人の関連する会社の役員らが、右暴力団及び申立人の威...
《解 説》
一 本件は、単独犯と共同正犯を択一的に認定することの可否が争われた珍しい事案であり、本判決の判旨は、講学上も極めて興味を惹かれるものである。
二 被告人は、実兄(F)と共謀の上コンビニエンスストアで強盗を実行したとして起訴されたが、検察官の主張によると、右強盗の実行行為者は被...
《解 説》
一 本件は、転送電話を用いて行なわれた組織的な覚せい剤密売の事案において、犯罪捜査のため検証許可状に基づき通話者双方に知られずに電話の傍受・録音をしたことが違憲、違法ではないとされた事例である。
二 本件捜査の経緯、電話傍受等に関する検証許可状の発付と電話傍受等の実施、その結...