《解 説》
一 申立債権者(抵当権者)Xは、債務者A所有の不動産に抵当権の設定を受けたが、その設定登記の後、AからYに対して真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記がされた。Xは、Yは真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記を受けたものであるからてき除権者でないと主張して、Yに...
《解 説》
一 本件は、依願退職後に公文書偽造、同行使、詐欺の罪で起訴され執行猶予付きの懲役刑の判決を受けた元市長Xに対し、市が、同人の依願退職後起訴前に退職手当支給条例を改正し、在職期間中の行為に係る刑事事件に関し退職後に禁固以上の刑に処せられた場合には、その支給した退職手当等の返納を命...
《解 説》
楽団演奏の提供及びキャバレー等の営業等を目的とするA会社(代表取締役Y)は、B会社から本件建物を賃借してキャバレーを経営していたところ、X会社は、A会社からこの店の造作設備を含む営業に関する一切の権利及びYから全株式を買い受けた。ところが、AB間の建物賃貸借契約には賃借権の無断...
《解 説》
一 Yは、XがY組合のT支部における会計処理に不正・横領があると主張してその旨の文書を組合員に配布してY組合を批判し続けたり、Y組合の勧告を無視して警察署に告発行為をしたことが、Y組合の名誉を害し、統制を乱したとして、Xを、除名処分にした。本件は、Xが、組合員として当然の権利を...
《解 説》
一 本件は、差押処分が違法として取り消されたため、司法警察員が当該差押物を返還する行為に対する準抗告申立ての適否に関して、最高裁として初めての判断を示したものである。
事案の経緯の概略は、次のとおりである。暴力団組長である申立人の関連する会社の役員らが、右暴力団及び申立人の威...
《解 説》
一 本件は、単独犯と共同正犯を択一的に認定することの可否が争われた珍しい事案であり、本判決の判旨は、講学上も極めて興味を惹かれるものである。
二 被告人は、実兄(F)と共謀の上コンビニエンスストアで強盗を実行したとして起訴されたが、検察官の主張によると、右強盗の実行行為者は被...
《解 説》
一 本件は、転送電話を用いて行なわれた組織的な覚せい剤密売の事案において、犯罪捜査のため検証許可状に基づき通話者双方に知られずに電話の傍受・録音をしたことが違憲、違法ではないとされた事例である。
二 本件捜査の経緯、電話傍受等に関する検証許可状の発付と電話傍受等の実施、その結...
《解 説》
判示事項一について
判示事項一は、捜索場所としてモーテルの「管理人室内」と記載されている捜索差押許可状の場所的範囲について判示したものであって、管理人室から植込を挟んで約一〇メートル離れた場所に存在し物理的には独立しているプレハブ平屋建建物が、モーテル敷地内では最も管理人室に...
《解 説》
本判決は、処断刑の範囲を超えた罰金を科したことを理由に、非常上告をいれて、確定した略式命令を破棄し、自判したものであるが、その前提として、酒気帯び運転の所為(道交法六五条一項、一一九条一項七号の二)とその際の免許証不携帯の所為(同法九五条一項、一二一条一〇号)の罪数について、こ...
《解 説》
本件は、昭和五九年制定の東京都条例「東京都公文書の開示等に関する条例」に基づき、法人格のない団体である原告が、被告東京都知事に対し、東京都知事の交際費に関する支出命令書、現金出納簿等の書面の開示を請求したのに対し、被告が、支出命令書のみを認め、その他の書面は開示しなかったため、...
《解 説》
事実関係は、次のとおりである。債権者が登録の方法により仮差押えをした自動車について、仮差押えの登録の後、第三者が所有権取得の登録をし、自動車の占有を取得した。仮差押債権者は、債務者に対して仮差押えの被保全債権について本案判決を得て、債務者を当事者として、本執行としての強制競売の...
《解 説》
一 本件は免職等の懲戒処分を受けた元自衛官たる原告が、右処分の取消を求めたものであるが、本判決は、右訴えが行政事件訴訟法一四条一項所定の出訴期間を徒過した不適法な訴えであるとして、これを却下したものである。
二 自衛隊法四八条の二は、自衛隊員に対する免職等の処分について審査請...
《解 説》
土地区画整理法九八条二項は、仮換地を指定する場合に、同法に定める換地計画の決定の基準を考慮しなければならないと定め、右基準の一つとして、同法八九条一項は、換地計画において換地を定める場合においては、換地及び従前地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなけ...
《解 説》
一 事案の概要
A(昭和一七年一二月一三日生、男性)は、左右脇腹、臀部等に赤い発疹ができ、かゆみを覚えるなどしたため、昭和五八年一月二六日午後五時四五分ころ、Y医院を訪れ、Yより診察を受けた。Yは、Aに対して肝臓疾患の有無等を問診し、さらに触診をした上で、Aの症状を外因性皮膚...
《解 説》
一 本件は、いわゆる京都ホテルの高層化に反対する市民運動の一環として、提起された住民訴訟の一つである。京都ホテルの改築に先立ち、京都市は、京都ホテル所有の本件土地(道路)につき、道路廃止処分をしたうえ、ホテルに隣接する京都市所有の公衆用道路を交換した。原告らは本件道路廃止処分が...
《解 説》
一 Xは、平成元年一月当時、Y(JR東日本)の秋田支店大曲保線区の施設係として勤務していた者であるが、昭和六三年三月から昭和六四年一月までの間に、四回にわたり自己の社員用割引券で購入した乗車券を部外者に譲渡するという割引券の不正使用を行ったとして、平成元年一月三一日、懲戒解雇処...
《解 説》
一 Xは、化粧品等の委託販売業を営む会社であり、昭和二六年ころから、Y1との間で化粧品等の販売を委託する旨の商品委託販売契約を締結したうえ、商品の販売を委託してきたものであるが、Y1は、昭和五七年ころから、自ら健康食品及び化粧品を販売する二つの会社を設立し、Xの販売網を利用して...