《解 説》
本件は、漁船金比羅丸の船長であった被告人が、夜間、同船を操船して家島港内の漁船船溜りを漁場に向け出航し、防波堤燈台を右舷正横に見た地点を通過後、進路を右方に変更して航行しようとしたが、進路前方から無灯火のまま向かって航行してきた伝馬船に気づかず、自船船首を伝馬船の右舷中央部付近...
《解 説》
一 本件は、Yが別訴でXに対して請求する債権をもって、Xの本訴請求における相殺の抗弁として提出できるかどうかが主たる争点となった事案である。
すなわち、X(買主)とY(売主)は、土地売買契約を締結したが、後にこれを合意解除し、YはXに対して手付金の倍額六〇〇〇万円の違約金の支...
《解 説》
本件は全国各地で英会話学校を経営しているY1会社の幹部従業員Y2らがした、競業状態にあるX会社が公道上に設置していた看板等に対する毀損行為(黒スプレーラッカーの吹き付け、屋外広告物条例違反であるとの記載のある張紙)について、Yらに損害賠償責任を認めた事案である。
本判決は、Y...
《解 説》
Xは公正証書原本不実記載罪、不動産侵奪罪の容疑で警視庁立川警察署に逮捕され、住居も二回にわたり捜索等の強制処分を受けた。また、立川署警察官は警視庁記者クラブ加盟の報道機関に対してXの逮捕を発表した際、Xが歴史上の人物の孫の妻であることを広報し、その顔写真を提供した。そのため、X...
《解 説》
Aは平成元年五月一四日午後八時一〇分ころ交通事故に遭って瀕死の重傷を負い、八時二九分ころ救急車に乗って日赤病院に搬入されたが、同病院の医師はAを死亡する危険性の高い第三次救急患者と診断した。そこで消防局の管制室は八時三四分ころ、Y市が設置する本件病院にAの受入れが可能であるか否...
《解 説》
一 本件は、死刑判決を受けた未決拘禁者(上告中)に対する拘置所長の書籍閲読不許可処分につき、これを違法とすることはできない、としたものである。
本件の原審判決は、右不許可処分の対象となった書籍の一部に①死刑執行の具体的手順、②死刑執行状況の具体的な描写、③自殺の方法、発火方法...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年八月当時、大分県大野町立西部小学校のPTAの役員であったが、同校校長から依頼されて校庭の楠の大木の樹上で枝うち作業に従事中、切断した枝の別れ枝の接触により地上に転落して重傷を負った。
そこで、Xは、Xに対し高所での危険な作業を依頼した校長等に過失があったと...
《解 説》
一 本件は、いわゆる成田闘争に絡む行政事件として、初めて最高裁の憲法判断が求められた事件である。
昭和五三年五月一三日、新東京国際空港の安全を確保するため、過激派集団の出撃の拠点となっていたいわゆる団結小屋の使用禁止を命ずることができること等を内容とする成田新法が公布、施行さ...
《解 説》
一 本件は、暴力団員と競売物件の所有者が行った不動産競売手続に関する執行妨害行為について、公正証書原本不実記載罪、競売入札妨害罪等が成立するとされた事例である。すなわち、第一に、競売物件につき、内容虚偽の賃借権設定仮登記を経由したことが、公正証書原本不実記載罪等に該当するとされ...
《解 説》
一 本件は、競売物件の所有者がその占有を第三者に移転しようとしている場合に、売却のための保全処分として占有移転禁止等を命じ、かつ、それを公示するよう執行官に命じたものである。
本件申立の相手方は、競売土地建物の第三取得者で、かつ、土地について条件付地上権設定仮登記、建物につい...
《解 説》
一 Xは本件土地を所有し、本件土地の一部をAらに建物所有の目的で賃貸していたところ、Aらから借地権譲渡の承諾を求める調停が起こされ、XがAらから本件建物及び借地権を代金六三〇〇万円で買い受ける調停が成立した。Xの右代金の捻出は、XがYらに本件建物を売却し、Yらのために本件土地の...
《解 説》
一 本件は、「第三者」に対する「執行官保管」の売却のための保全処分が認められた事例である。
事案の概要は、次のとおりである。平成四年三月、本件土地につき、競売開始決定がなされた。当時本件土地は更地で、道路沿いには、所有者が設置したと思われる鉄板の塀があった。所有者会社は、投資...
《解 説》
一 本件債権者らはいずれもフィリピンにおいて電子工学ないし化学工学系の大学を卒業後、現地面接のうえ製糖業者である債務者に採用され、在留資格を「技術」とする査証の発給を受けて来日した外国人労働者である。債権者らは来日後約三か月間債務者において製糖作業に従事したが、右現地面接の際「...
《解 説》
本件は、世田谷区の住民が、同区の資金前渡官吏である被告に対して提起した、地方自治法二四二条の二第一項四号の住民訴訟に関するものである。原告の主張するところは、次のとおりである。同区議会議長は、議会運営懇談会を歓楽街である新宿歌舞伎町のスナックで開催したが、これは社会通念上是認し...
《解 説》
土地・建物の競売事件で、申し立て抵当権の被担保債務者が、抵当権の設定登記前から、競売建物を倉庫、事務所、作業所などとして、使用していることが判明した。
このような被担保債務者に対して、買受人が引渡命令の申立てをした場合に、認められるかどうかが問題となるが、本執行処分(物件明細...
《解 説》
一 A弁護士会は、その所属弁護士である原告に対し、退会を命ずる旨の懲戒処分を行った(懲戒事由とされた非違行為の内容については、原判決本誌七一〇号一二九頁参照)。原告は、これを不服として、被告(日本弁護士連合会)に対して審査請求をしたところ、被告は、A弁護士会のした右懲戒処分を変...
《解 説》
一 被告人は、夜間、片側二車線の道路の第二通行帯を時速約四〇キロメートルで進行中、折から被告人車の進路上を無灯火のまま対向進行して来た普通乗用自動車を前方約七・九メートルに迫って初めて発見し、急制動の措置を講じたが及ばず、同車と正面衝突し、その結果対向車の運転者が死亡したという...