《解 説》
一 Xは本件土地を所有し、本件土地の一部をAらに建物所有の目的で賃貸していたところ、Aらから借地権譲渡の承諾を求める調停が起こされ、XがAらから本件建物及び借地権を代金六三〇〇万円で買い受ける調停が成立した。Xの右代金の捻出は、XがYらに本件建物を売却し、Yらのために本件土地の...
《解 説》
一 本件は、「第三者」に対する「執行官保管」の売却のための保全処分が認められた事例である。
事案の概要は、次のとおりである。平成四年三月、本件土地につき、競売開始決定がなされた。当時本件土地は更地で、道路沿いには、所有者が設置したと思われる鉄板の塀があった。所有者会社は、投資...
《解 説》
一 本件債権者らはいずれもフィリピンにおいて電子工学ないし化学工学系の大学を卒業後、現地面接のうえ製糖業者である債務者に採用され、在留資格を「技術」とする査証の発給を受けて来日した外国人労働者である。債権者らは来日後約三か月間債務者において製糖作業に従事したが、右現地面接の際「...
《解 説》
本件は、世田谷区の住民が、同区の資金前渡官吏である被告に対して提起した、地方自治法二四二条の二第一項四号の住民訴訟に関するものである。原告の主張するところは、次のとおりである。同区議会議長は、議会運営懇談会を歓楽街である新宿歌舞伎町のスナックで開催したが、これは社会通念上是認し...
《解 説》
土地・建物の競売事件で、申し立て抵当権の被担保債務者が、抵当権の設定登記前から、競売建物を倉庫、事務所、作業所などとして、使用していることが判明した。
このような被担保債務者に対して、買受人が引渡命令の申立てをした場合に、認められるかどうかが問題となるが、本執行処分(物件明細...
《解 説》
一 A弁護士会は、その所属弁護士である原告に対し、退会を命ずる旨の懲戒処分を行った(懲戒事由とされた非違行為の内容については、原判決本誌七一〇号一二九頁参照)。原告は、これを不服として、被告(日本弁護士連合会)に対して審査請求をしたところ、被告は、A弁護士会のした右懲戒処分を変...
《解 説》
一 被告人は、夜間、片側二車線の道路の第二通行帯を時速約四〇キロメートルで進行中、折から被告人車の進路上を無灯火のまま対向進行して来た普通乗用自動車を前方約七・九メートルに迫って初めて発見し、急制動の措置を講じたが及ばず、同車と正面衝突し、その結果対向車の運転者が死亡したという...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
上告人(Y)は、ハイヤー会社であり、その乗務員の給与は、主として、基準内賃金及び歩合給から成っており、歩合給は、当該乗務員の運賃総収入から一定の金額(以下「足切額」という。)を控除した後の金額に一定の支給率(以下単に「支給率」という。)を...
《解 説》
一 被告人は、単独又は他の者と共謀のうえ、わいせつなヴィデオテープや雑誌等を本邦内に持ち込み又は持ち込もうとしたとして、関税法一〇九条の輸入又はその未遂罪で起訴されたが、被告人は、これらわいせつ物をもっぱら個人的鑑賞の目的で入手したものであり、頒布、販売等の目的は全く有していな...
《解 説》
一1 本件は、自己所有地(七三三・八七平方米)上に園舎等を設置する幼稚園が、隣接する土地(二筆小計一六九二・九平方米、以下本件土地という)をその運動用地として賃貸借契約を結んだ場合に建物所有を目的とする賃貸借が成立するかどうかが争われたもので、調停による約定の賃借期間経過後に当...
《解 説》
一 いわゆる帝銀事件の死刑確定囚であった上告人が(なお、上告人は上告後の昭和六二年五月一〇日死亡)国に対し、上告人については死刑判決確定後三〇年を経過し時効が完成しているから、右時効完成後である昭和六〇年五月七日以降の拘束は違法であると主張して、国家賠償法一条一項に基づき、一日...
《解 説》
日蓮正宗総本山の宗教法人であるX(債権者)は、Y(債務者)らが代表者である政治団体が街頭宣伝活動等を展開したのに対して、これを禁止する旨の仮処分決定を得た。これに対して、Yらが仮処分異議を申立てたのが本件である。
本決定は、要旨次のとおり判示して、仮処分決定を認可した。すなわ...
《解 説》
本件は、マンション住人であるXからそのマンション管理組合(法人格なき団体、A組合という)の理事長であるYに対する訴訟である。XはA組合の構成員であるが、①A組合総会は、衛星放送アンテナ設置決議をしたが、その決議は具体的な工事内容の説明がなく、反対者につき採決をとる方法によったの...
《解 説》
本件公訴事実は、被告人が常習として、被害者方において、腕時計一個を窃取したというものであるが、被告人はこれを否認し、犯人と被告人の同一性が争われた。
一審判決は、①被告人が、本件被害物件を所持しており、その入手経緯についての弁解が信用できないこと、②被害物件の入手の経緯につい...
《解 説》
XはY市の職員であり、嫌煙運動に携わっている者であるが、勤務先である市庁舎内で禁煙が完全に行なわれていないため、健康被害を被っていると主張し、人格権に基づき、市庁舎の事務室全部の禁煙と、これまで市庁舎内を禁煙としなかったことが安全配慮義務違反ないし不法行為に当たると主張し、精神...