《解 説》
一 本件は、仙台市立支倉保育所(本件保育所)に通う一三〇名の児童のうちの三九名(Xら)が、本件保育所の南側に隣接して建築中のワンルームマンション(本件建物、塔屋を除く建物本体の高さ二〇・二〇メートル、地上七階・地下一階建て)につき、本件建物の建築主(Y1)と建築会社(Y2)に対...
《解 説》
本件は、発行会社が株券の発行を遅延している株式について、その差押えが求められた事件である。
株券が未発行である場合としては、次の場合がある。
ア 単に会社が発行を遅延している場合
イ 株主が株券不所持の申し出をして、会社が株券を発行しない措置をとった場合(商二二六条ノ二、...
《解 説》
一 本件は、土地収用法に基づき土地収用・明渡の裁決を受けた原告が、一三三条に基づいて提起した補償金の増額請求訴訟である。
原告は収用土地上及び隣接土地上に存した原告の製薬工場(以下「本件工場」という。)の移転補償等につき、大略次のとおりの補償金の増額を求めた。
1 収用委員...
《解 説》
本件は、衣料問屋であるA会社(代表取締役Y1)に対して商品を売ったがその代金の支払いを受けられなかったX1会社及びX2会社が、Y1及び取締役Y2に対して、商法二六六条の三に基づき未回収の売買代金相当額の損害賠償請求をした事案である。Xらは、①Y1は代金支払の見込みがないのに商品...
《解 説》
一 Xは、京都府下精華町内の農業生産性の向上、農業生産の増大等を目的として設立された土地改良区Yの組合員であるが、Yの平成二年一〇月二四日開催の臨時総代会における理事の選任手続には、役員選挙規程三条、四条、五条、一〇条、一五条の違反があって無効であると主張し、右理事選任選挙が無...
《解 説》
一 X(原告・被控訴人)は、昭和六三年二月九日、Y(被告・控訴人)との間において、「(一)Xは、Yに対し、その所有建物を昭和六二年五月一日から昭和六三年六月三〇日まで、賃料を一か月五〇万円として賃貸する、(二)解除その他の事由により契約を終了したときは、Yは直ちに右建物を明渡す...
《解 説》
一 Y会社は、電気工事の設計及び施工、電気機器の販売等を目的とする株式会社であるが、昭和六一年七月一〇日、臨時株主総会を開催し、任期満了により退任した役員の後任として、取締役三名、監査役一名を選任する旨の決議をした。
しかし、Y会社の株主であるX1(九七九二株保有)とX2(六...
《解 説》
本件は、漁船金比羅丸の船長であった被告人が、夜間、同船を操船して家島港内の漁船船溜りを漁場に向け出航し、防波堤燈台を右舷正横に見た地点を通過後、進路を右方に変更して航行しようとしたが、進路前方から無灯火のまま向かって航行してきた伝馬船に気づかず、自船船首を伝馬船の右舷中央部付近...
《解 説》
一 本件は、Yが別訴でXに対して請求する債権をもって、Xの本訴請求における相殺の抗弁として提出できるかどうかが主たる争点となった事案である。
すなわち、X(買主)とY(売主)は、土地売買契約を締結したが、後にこれを合意解除し、YはXに対して手付金の倍額六〇〇〇万円の違約金の支...
《解 説》
本件は全国各地で英会話学校を経営しているY1会社の幹部従業員Y2らがした、競業状態にあるX会社が公道上に設置していた看板等に対する毀損行為(黒スプレーラッカーの吹き付け、屋外広告物条例違反であるとの記載のある張紙)について、Yらに損害賠償責任を認めた事案である。
本判決は、Y...
《解 説》
Xは公正証書原本不実記載罪、不動産侵奪罪の容疑で警視庁立川警察署に逮捕され、住居も二回にわたり捜索等の強制処分を受けた。また、立川署警察官は警視庁記者クラブ加盟の報道機関に対してXの逮捕を発表した際、Xが歴史上の人物の孫の妻であることを広報し、その顔写真を提供した。そのため、X...
《解 説》
Aは平成元年五月一四日午後八時一〇分ころ交通事故に遭って瀕死の重傷を負い、八時二九分ころ救急車に乗って日赤病院に搬入されたが、同病院の医師はAを死亡する危険性の高い第三次救急患者と診断した。そこで消防局の管制室は八時三四分ころ、Y市が設置する本件病院にAの受入れが可能であるか否...
《解 説》
一 本件は、死刑判決を受けた未決拘禁者(上告中)に対する拘置所長の書籍閲読不許可処分につき、これを違法とすることはできない、としたものである。
本件の原審判決は、右不許可処分の対象となった書籍の一部に①死刑執行の具体的手順、②死刑執行状況の具体的な描写、③自殺の方法、発火方法...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年八月当時、大分県大野町立西部小学校のPTAの役員であったが、同校校長から依頼されて校庭の楠の大木の樹上で枝うち作業に従事中、切断した枝の別れ枝の接触により地上に転落して重傷を負った。
そこで、Xは、Xに対し高所での危険な作業を依頼した校長等に過失があったと...
《解 説》
一 本件は、いわゆる成田闘争に絡む行政事件として、初めて最高裁の憲法判断が求められた事件である。
昭和五三年五月一三日、新東京国際空港の安全を確保するため、過激派集団の出撃の拠点となっていたいわゆる団結小屋の使用禁止を命ずることができること等を内容とする成田新法が公布、施行さ...
《解 説》
一 本件は、暴力団員と競売物件の所有者が行った不動産競売手続に関する執行妨害行為について、公正証書原本不実記載罪、競売入札妨害罪等が成立するとされた事例である。すなわち、第一に、競売物件につき、内容虚偽の賃借権設定仮登記を経由したことが、公正証書原本不実記載罪等に該当するとされ...
《解 説》
一 本件は、競売物件の所有者がその占有を第三者に移転しようとしている場合に、売却のための保全処分として占有移転禁止等を命じ、かつ、それを公示するよう執行官に命じたものである。
本件申立の相手方は、競売土地建物の第三取得者で、かつ、土地について条件付地上権設定仮登記、建物につい...