《解 説》
一 Xは、「小切手の割引依頼を受けたので、自己の取引銀行であるS銀行に依頼して小切手の支払人であるY信用組合に対し振出人Aの信用照会をしたところ、Yの担当者は、Aの決裁は順調である旨の回答をした。そこで、右小切手を割り引いたところ、Aは、その日に二回目の不渡りを出して倒産し、そ...
《解 説》
本件は、高速道路の走行車線に停止していた被害車両に加害車両が追突したという交通事故を原因とする損害賠償請求事件であるが、事故の態様ばかりか、事故の前後の事実経過も特殊で、被害者は、事故の約一月前に仮眠中の車内で一酸化炭素中毒に罹患し、事故の数日後に精神障害を呈し、以後、三年近く...
《解 説》
一 大阪府では、公文書公開等条例(以下「本件条例」という。)が制定されており、大阪府の公文書を、府内に住所を有する者等の請求によって公開することとしている。本件条例八条四号は、「府の機関又は国等の機関が行う調査研究・企画・調整等に関する情報であって、公にすることにより、当該又は...
《解 説》
一 本件は、Y(被告、控訴人)から金銭を借用したうえ、自己所有の不動産について根抵当権を設定したX(原告、被控訴人)が、準禁治産者であることを理由に根抵当権設定契約を取消したうえ、根抵当権設定登記の抹消を求めた事案である。
これに対し、Yは、Xは民法の準禁治産者の制度を熟知し...
《解 説》
一 X1ないしX10は、もと日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の職員であって、国鉄千葉動力車労働組合(以下「動労千葉」という。)に所属しているところ、日本国有鉄道改革法(以下「改革法」という。)及び旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律により設立された六社の旅客...
《解 説》
本件は、府議会議員候補者の後援会事務局に所属する被告人が、未成年者二名を選挙運動に使用し、その報酬として七万三〇〇〇円余を供与したとして、公職選挙法一三七条の二第二項所定の未成年者使用選挙運動罪に問われた事件の控訴審判決である。
弁護人は、未成年者二名の行為は同項ただし書によ...
《解 説》
X(妻)Y(夫)は、二人の未成年の子をもうけた夫婦であるが、本件は、XがYとの離婚及び自己に親権者の指定を求めたケースである。本件事実関係の特徴としては、①Yがくも膜下出血の後遺症で体が不自由で、両親の下でリハビリを続けている状態であり、Xは看護婦であること、②Xは、Yがくも膜...
《解 説》
Y1農協においては、平成四年五月一二日、正組合員総数の五分の一以上に当たる七五四名の同意があったとして農協法(平成四年法律第五六号による改正前のもの。以下、同様)三五条、四〇条に基づき役員の改選請求と二〇日以内の臨時総会の開催が請求され、さらに同月二六日、正組合員総数の五分の一...
《解 説》
一 本件は、仙台市立支倉保育所(本件保育所)に通う一三〇名の児童のうちの三九名(Xら)が、本件保育所の南側に隣接して建築中のワンルームマンション(本件建物、塔屋を除く建物本体の高さ二〇・二〇メートル、地上七階・地下一階建て)につき、本件建物の建築主(Y1)と建築会社(Y2)に対...
《解 説》
本件は、発行会社が株券の発行を遅延している株式について、その差押えが求められた事件である。
株券が未発行である場合としては、次の場合がある。
ア 単に会社が発行を遅延している場合
イ 株主が株券不所持の申し出をして、会社が株券を発行しない措置をとった場合(商二二六条ノ二、...
《解 説》
一 本件は、土地収用法に基づき土地収用・明渡の裁決を受けた原告が、一三三条に基づいて提起した補償金の増額請求訴訟である。
原告は収用土地上及び隣接土地上に存した原告の製薬工場(以下「本件工場」という。)の移転補償等につき、大略次のとおりの補償金の増額を求めた。
1 収用委員...
《解 説》
本件は、衣料問屋であるA会社(代表取締役Y1)に対して商品を売ったがその代金の支払いを受けられなかったX1会社及びX2会社が、Y1及び取締役Y2に対して、商法二六六条の三に基づき未回収の売買代金相当額の損害賠償請求をした事案である。Xらは、①Y1は代金支払の見込みがないのに商品...
《解 説》
一 Xは、京都府下精華町内の農業生産性の向上、農業生産の増大等を目的として設立された土地改良区Yの組合員であるが、Yの平成二年一〇月二四日開催の臨時総代会における理事の選任手続には、役員選挙規程三条、四条、五条、一〇条、一五条の違反があって無効であると主張し、右理事選任選挙が無...
《解 説》
一 X(原告・被控訴人)は、昭和六三年二月九日、Y(被告・控訴人)との間において、「(一)Xは、Yに対し、その所有建物を昭和六二年五月一日から昭和六三年六月三〇日まで、賃料を一か月五〇万円として賃貸する、(二)解除その他の事由により契約を終了したときは、Yは直ちに右建物を明渡す...
《解 説》
一 Y会社は、電気工事の設計及び施工、電気機器の販売等を目的とする株式会社であるが、昭和六一年七月一〇日、臨時株主総会を開催し、任期満了により退任した役員の後任として、取締役三名、監査役一名を選任する旨の決議をした。
しかし、Y会社の株主であるX1(九七九二株保有)とX2(六...