《解 説》
本件は、府議会議員候補者の後援会事務局に所属する被告人が、未成年者二名を選挙運動に使用し、その報酬として七万三〇〇〇円余を供与したとして、公職選挙法一三七条の二第二項所定の未成年者使用選挙運動罪に問われた事件の控訴審判決である。
弁護人は、未成年者二名の行為は同項ただし書によ...
《解 説》
X(妻)Y(夫)は、二人の未成年の子をもうけた夫婦であるが、本件は、XがYとの離婚及び自己に親権者の指定を求めたケースである。本件事実関係の特徴としては、①Yがくも膜下出血の後遺症で体が不自由で、両親の下でリハビリを続けている状態であり、Xは看護婦であること、②Xは、Yがくも膜...
《解 説》
Y1農協においては、平成四年五月一二日、正組合員総数の五分の一以上に当たる七五四名の同意があったとして農協法(平成四年法律第五六号による改正前のもの。以下、同様)三五条、四〇条に基づき役員の改選請求と二〇日以内の臨時総会の開催が請求され、さらに同月二六日、正組合員総数の五分の一...
《解 説》
一 本件は、仙台市立支倉保育所(本件保育所)に通う一三〇名の児童のうちの三九名(Xら)が、本件保育所の南側に隣接して建築中のワンルームマンション(本件建物、塔屋を除く建物本体の高さ二〇・二〇メートル、地上七階・地下一階建て)につき、本件建物の建築主(Y1)と建築会社(Y2)に対...
《解 説》
本件は、発行会社が株券の発行を遅延している株式について、その差押えが求められた事件である。
株券が未発行である場合としては、次の場合がある。
ア 単に会社が発行を遅延している場合
イ 株主が株券不所持の申し出をして、会社が株券を発行しない措置をとった場合(商二二六条ノ二、...
《解 説》
一 本件は、土地収用法に基づき土地収用・明渡の裁決を受けた原告が、一三三条に基づいて提起した補償金の増額請求訴訟である。
原告は収用土地上及び隣接土地上に存した原告の製薬工場(以下「本件工場」という。)の移転補償等につき、大略次のとおりの補償金の増額を求めた。
1 収用委員...
《解 説》
本件は、衣料問屋であるA会社(代表取締役Y1)に対して商品を売ったがその代金の支払いを受けられなかったX1会社及びX2会社が、Y1及び取締役Y2に対して、商法二六六条の三に基づき未回収の売買代金相当額の損害賠償請求をした事案である。Xらは、①Y1は代金支払の見込みがないのに商品...
《解 説》
一 Xは、京都府下精華町内の農業生産性の向上、農業生産の増大等を目的として設立された土地改良区Yの組合員であるが、Yの平成二年一〇月二四日開催の臨時総代会における理事の選任手続には、役員選挙規程三条、四条、五条、一〇条、一五条の違反があって無効であると主張し、右理事選任選挙が無...
《解 説》
一 X(原告・被控訴人)は、昭和六三年二月九日、Y(被告・控訴人)との間において、「(一)Xは、Yに対し、その所有建物を昭和六二年五月一日から昭和六三年六月三〇日まで、賃料を一か月五〇万円として賃貸する、(二)解除その他の事由により契約を終了したときは、Yは直ちに右建物を明渡す...
《解 説》
一 Y会社は、電気工事の設計及び施工、電気機器の販売等を目的とする株式会社であるが、昭和六一年七月一〇日、臨時株主総会を開催し、任期満了により退任した役員の後任として、取締役三名、監査役一名を選任する旨の決議をした。
しかし、Y会社の株主であるX1(九七九二株保有)とX2(六...
《解 説》
本件は、漁船金比羅丸の船長であった被告人が、夜間、同船を操船して家島港内の漁船船溜りを漁場に向け出航し、防波堤燈台を右舷正横に見た地点を通過後、進路を右方に変更して航行しようとしたが、進路前方から無灯火のまま向かって航行してきた伝馬船に気づかず、自船船首を伝馬船の右舷中央部付近...
《解 説》
一 本件は、Yが別訴でXに対して請求する債権をもって、Xの本訴請求における相殺の抗弁として提出できるかどうかが主たる争点となった事案である。
すなわち、X(買主)とY(売主)は、土地売買契約を締結したが、後にこれを合意解除し、YはXに対して手付金の倍額六〇〇〇万円の違約金の支...
《解 説》
本件は全国各地で英会話学校を経営しているY1会社の幹部従業員Y2らがした、競業状態にあるX会社が公道上に設置していた看板等に対する毀損行為(黒スプレーラッカーの吹き付け、屋外広告物条例違反であるとの記載のある張紙)について、Yらに損害賠償責任を認めた事案である。
本判決は、Y...
《解 説》
Xは公正証書原本不実記載罪、不動産侵奪罪の容疑で警視庁立川警察署に逮捕され、住居も二回にわたり捜索等の強制処分を受けた。また、立川署警察官は警視庁記者クラブ加盟の報道機関に対してXの逮捕を発表した際、Xが歴史上の人物の孫の妻であることを広報し、その顔写真を提供した。そのため、X...
《解 説》
Aは平成元年五月一四日午後八時一〇分ころ交通事故に遭って瀕死の重傷を負い、八時二九分ころ救急車に乗って日赤病院に搬入されたが、同病院の医師はAを死亡する危険性の高い第三次救急患者と診断した。そこで消防局の管制室は八時三四分ころ、Y市が設置する本件病院にAの受入れが可能であるか否...
《解 説》
一 本件は、死刑判決を受けた未決拘禁者(上告中)に対する拘置所長の書籍閲読不許可処分につき、これを違法とすることはできない、としたものである。
本件の原審判決は、右不許可処分の対象となった書籍の一部に①死刑執行の具体的手順、②死刑執行状況の具体的な描写、③自殺の方法、発火方法...