《解 説》
XはA社の代表取締役社長であったが、経営不振による会社立て直しのため、Xらの有するA社発行済株式の約八六パーセントをY社(当時の代表取締役B社長)に有償譲渡することとし、これに付随してY社に対し、XがA社の銀行借入につき負担した個人保証債務(物上保証を含む)を肩代わりして引き受...
《解 説》
本件は、暴力団組員である被告人が、兄貴分である共犯者Aと共謀の上、アパートの被告人方居室にけん銃合計二六丁と実包二七一四発を隠匿して所持していたとして起訴された事件である。Aは既に自己の責任を認めて有罪判決(懲役六年)に服しているが、被告人は、捜査・公判を通じてその関与を争い、...
《解 説》
一 生命保険の受取人が死亡し、その後に受取人の再指定(変更)がない場合には、誰が受取人となるか、受取人と指定された者(指定受取人)の相続人が契約者兼被保険者自身であるときは、保険金請求権はその者の遺産になるのか、その者の相続人が保険金の受取人となるのか。この論点については、商法...
《解 説》
一 Xは、Y2市の設置した高校の入学を志願したところ、調査書の学力評定及び学力検査の合計点において優に合格点に達していたが、Y1高校長は、Xがデュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患しているため、高校の全課程を無事に履修する見込みがないとの理由により不合格処分とした。本訴は、Xが、...
《解 説》
本件は、Xが建物を改装したことにより、従前のYの入居部分の賃料が不相当となったと主張して、建物賃料増額の確認及び支払を求めたケースである。Xは建物改装工事のためYに一時居室を渡す等の協力を求め、これに協力したことに対する対価として平成二年六月末日までの賃料は月額七万三〇一円とし...
《解 説》
一 本件は差戻し審の判決である。その経過からみるに、暴力団組長である被告人が、覚せい剤取締法違反(譲渡と譲受)で逮捕されたが、その容疑が固まり切らず、覚せい剤の自己使用の容疑に切り替えて再逮捕・起訴された。その後も警察署の留置場に留め置いて余罪捜査が続けられ、被告人が自己の組事...
《解 説》
一 在監者の図書等の閲読については、監獄法三一条二項にその自由を制限することができる旨の規定が置かれ、監獄法施行規則八六条にその閲読の許可基準等が定められている。この規定を受けて、法務大臣の訓令、矯正局長の通達、通牒にその具体的な取扱いの要領が定められており、右の定めによれば、...
《解 説》
一 X1は、福岡県京都郡に所在するX3白川工業有限会社の代表取締役であるが、昭和六三年七月、X2株式会社新松の事務所所在地にある資材置き場において、廃材等を含む建築資材の整理を行っていたところ、バランスを崩して前方に転倒した際、右廃材に刺さっていた針状の金属棒が両眼に突き刺さっ...
《解 説》
JR東日本の職員に対する転勤命令が不当労働行為にあたるとされた事案である。
Xら三名は旧国鉄の職員であり、動労に加入していたが、動労が分割民営化反対の方針を転換したことに反発して、動労水戸を結成し、Xらはその役員に就任した。なお、Xらは人活センター(水戸駅北口駐車場)に担務指...
《解 説》
一 Y(被控訴人)は、根抵当権に基づく不動産競売申立をしたが、競売申立書及び債権計算書の被担保債権につき、誤って実際と異なる発生日付を記載して提出した(貸付契約後に債務者が商号変更したため、新商号名義で契約書を書き改めたが、担当者がその契約書の日付を債権発生日と勘違いした。)。...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和一八年九月、津郵便局に入局して以来各地の郵便局に勤務し、昭和五二年七月からは名古屋市内の昭和郵便局の郵便課副課長として勤務していた者であるが、昭和五二年一一月一六日、夜勤に従事中、夕食を取るため外出した際、付近の路上で脳出血のため倒れ、翌朝死亡するに至った。
...
《解 説》
Xら一二名は、かつて地目を池沼又は原野として登記簿に記載され、満潮時に海面下に没し、干潮時に海面上に一部が現れる土地(干潟)の共有持分登記を有した者又はその相続人であるが、そのうち三名が海没を登記原因とする土地滅失登記処分を、その他の九名は滅失登記抹消登記申請却下処分をそれぞれ...
《解 説》
本件は、パチンコ店を経営していた被告が、店頭の立看板に漫画のキャラクター(ポパイ)を使用したため、原告が、漫画の著作権者として、右キャラクターの使用差止めと通常使用料相当額の損害賠償を求めた事案である。なお、使用差止請求は、右キャラクターが本訴提起直後に抹消されたためか、簡単な...
《解 説》
一 Xは、昭和五五年八月から、Y銀行栄町支店御器所特別出張所と預金取引を開始し、普通預金口座と定期預金口座を開設しているが、Yの名古屋駅前支店は、平成三年四月、Xの銀行届出印鑑を押捺した払戻請求書と総合口座通帳を提出した無権限者に対して、普通預金口座から二五〇万円を払戻してしま...
《解 説》
一 大阪国際空港夜間飛行禁止等請求事件に関する最大判昭56・12・16民集三五巻一〇号一三六九頁、本誌四五五号一七一頁は、民事上の請求として一定の時間帯につき航空機の離着陸のためにする国営空港の供用の差止めを求める訴えについて、航空機の離着陸のためにする国営空港の供用は、運輸大...
《解 説》
本件は、豪雨のためマンションのベランダに溜まって溢れた雨水が室内に浸水し、階下の居室に多量に浸水した結果、居室・家財に損傷を受けたと主張するXらが、マンションの居室所有者Y1及びその使用者Y2(Y2は株式会社で、現在は解散しておりY3が清算人)・占有者Y3に対して、損害賠償請求...
《解 説》
本件は東京地判平3・6・26本誌七七二号一七八頁の控訴審判決である。
Xは昭和六〇年一一月二九日に破産宣告を受け、弁護士甲が破産管財人に選任された。甲管財人は裁判所の許可の下に昭和六一年四月三〇日X所有不動産を他に譲渡して二三億六〇〇〇万円の譲渡収入を得たため、昭和六〇年一一...