《解 説》
本件は、覚せい剤取締法違反(輸入)等の罪で被控訴人(被告)とともに共犯者として逮捕、起訴され、二年余の身柄拘束を受けた控訴人(原告)が、刑事事件の二審の無罪判決が確定した後に、同逮捕、起訴、身柄拘束は、捜査段階及び刑事公判廷における被控訴人(同人に対する刑事事件は一審で分離して...
《解 説》
一 原告は被告の被包括宗教法人たる寺院の代表役員・住職であり、被告法人の宗務役員であったが、被告内部における管長派と内局派との内紛において、昭和五一年四月に宗務役員として不当な事務処理をしたことを理由として、同月二四日、宗務役員を免役され(乙処分)、その後の同年五月に生じた管長...
《解 説》
本件は、解散した合名会社の残余財産の分配をめぐる事件につき、商法一四四条所定の権利行使者の指定の要否が問題となった事案である。事実関係は錯綜しているが、本判決の要旨に関係する部分を抽出すると、問題となっているY社は、大正15年に設立された合名会社で、昭和14年当時、甲・長女の乙...
《解 説》
Xは大阪府高石市を本店所在地とする会社であり、Yは韓国釜山市を本店所在地とする会社である。Xは、水道管の清掃に用いる機械類をYに賃貸したが、賃貸期間が終了したと主張し、賃貸借契約書上、日本国内の地裁又は簡裁を管轄裁判所とする旨の記載があるとして大阪地裁に機械の引渡しを求める訴え...
《解 説》
一 本件の争点
本件は、土地改良法(以下「法」という。)九六条の二第一項所定の土地改良事業施行の認可(以下「本件認可処分」という。)の取消しを求める訴訟であり、右認可に係る土地改良事業の工事が完了して原状回復が、物理的には不可能であるとはいえないが、社会的、経済的損失の観点か...
《解 説》
最大判昭62・4・22民集四一巻三号四〇八頁、本誌六三三号九三頁は、森林法一八六条本文を違憲とする理由の中で、多数の共有者中の一人が原告となって分割請求をした場合は、原告に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は被告らの共有として残すことも許されることを明らかにした。本件は...
《解 説》
一 Xは、昭和一六年から昭和五七年までの間、ほぼ一貫して坑夫として稼働してきたものであるが、昭和六一年六月、感音性難聴の診断を受けた。
そこで、Xは、難聴による障害補償給付の申請をしたが、Yは、平成元年四月、労災保険法四二条により補償給付請求権の消滅時効が完成したことを理由に...
《解 説》
一 本件は、在監者に対する書籍の閲読不許可処分を違法としたものである。在監者に対する書籍の閲読制限を違法とした裁判例には、東京地判昭59・8・8本誌五四〇号二〇七頁、東京地判昭59・12・3判時一一四六号四二頁、長崎地判昭60・5・22本誌五六二号一四四頁、東京地判昭62・6・...
《解 説》
事案の概要は判決中にも説明されている通りであるが、公園で犬に噛まれて腕に負傷した原告Xが、主位的には被告Yの犬が噛みついたとして民法七一八条一項による責任を追及し、なお予備的に噛んだのが当時Xが連れていた犬であったのであれば、それはYの犬がXの犬に挑みかかったので、自分の犬を庇...
《解 説》
一 本件は、原告と被告(銀行)との間で融資契約(金銭消費貸借契約)の成否が争われ、この成立を主張する原告が被告の融資拒絶を理由に損害賠償を請求した事例である。
事実の経過は複雑であるが、要するに、千葉県企業庁が主体となって開発している工業団地にX1会社が新工場の進出計画を決め...
《解 説》
本件は、Xの夫A(自殺により死亡)の友人であったYとXの姉Bとが電話で口論した際、Yが「おまえたち姉妹が(Aを)殺したようなものだ」と発言したことがXに強度のショックを与えたとして、Xが、Yに対して、不法行為(名誉毀損)に基づく慰謝料(三〇〇万円)と謝罪文の交付を請求した事案で...
《解 説》
一 本件は、原告が、米国企業のM社に対して貸し付けた金員(以下「本件貸付」という。)につき、弁護士である被告らがそれぞれ一部保証をしたとして、被告らに対して右各保証金額の支払いを請求した事案である(原告は、予備的に右貸付が無効であるとしても、被告らはM社の不当利得返還義務を保証...
《解 説》
本件は、建物の強制競売事件において、執行官が、現況調査をした際、債務者の借地権が存在するとの陳述や敷地所有者と債務者が姉弟の関係にあること等を根拠に、敷地所有者に確認しないまま、既に借地権が終了していることに気づかずに、現況調査報告書を作成し、これにより評価書、物件明細書が作成...
《解 説》
Xは、隣家Yのいくつかの窓から覗かれているのではないかという精神的な不安を感じ、また窓からの不快な騒音・臭気や排水パイプからの騒音により不快感を受けており、かつ、隣家の屋根の部分はXの土地の境界から五〇センチメートル未満しか離れていない状態であった。そこで、Xは、Yらに対して、...