《解 説》
一、本件は、事実関係だけでなく、訴訟の経過がやや複雑であるが、その概略を示すと、次のとおりである。すなわち、暴力団組長である被告人(甲)は、当初、「配下組員乙らと共謀の上、丙に暴行を加えて死亡させた」旨の傷害致死の訴因で起訴されたが、検察官は、冒頭陳述においては、甲に暴行を指示...
《解 説》
本件は、建物の賃貸人Xの賃借人Y1及び転借人Y2に対する建物明渡請求事件で、X主張の解約申入れの正当事由の存否が専ら争われた事案である。一審は、Xの申し出た立退料一〇〇万円では正当事由を具備しないと判断して、請求を棄却し、原審は、Xが原審の口頭弁論終結時に増額した立退料三〇〇万...
《解 説》
Xらの子A(当時一五歳)はY1府立職業訓練校左官科に在籍していた者であるが、同校自動車整備科に在籍していたB(当時一九歳)が同校内で指導員らに無断で運転した車に衝突され、死亡した。本訴は、XらがY1及び同訓練校の校長、副校長、指導員であるY2ほか四名に対し、不法行為、運行供用者...
《解 説》
本件は、京都府北桑田郡・船井郡にあるマンガン鉱の鉱業権者であるXが、その鉱区内にY(電力会社)が設置した鉄塔により鉱業権が侵害されている(鉱業法六四条により鉄塔から五〇メートルの範囲内の地下が利用できない)、鉱床がYの建設したダムの貯水により浸水したと主張して、鉱業権に基づく妨...
《解 説》
Xは、Aらから一一筆の農地について「買主の地位及び農地法所定の許可を条件とする停止条件付所有権移転請求権」を取得し仮登記を得た。その後、Xは、Yに対して、右地位と請求権を代金四億五〇〇〇万円で譲渡し、Yは仮登記の移転登記をした上Aらから直接農地を買い受ける形式で知事の許可を受け...
《解 説》
一、本件は、能登原発の設置工事に必要な環境影響調査について地元漁民の間に北陸電力がこれを行うのを拒否する動きがあったことから、県が三億二四六〇万円余の費用を負担して海洋調査を行い、その結果を北陸電力に提供して、環境影響調査書を通産省に提出させたことが、憲法一三条、二五条、九二条...
《解 説》
一、本件は行政訴訟の形をとっているが、一種の嫌煙権訴訟である。
Xらはいずれも名古屋市内の公立中学校の教員であるが、それぞれの中学校に喫煙室を設けるべき旨を、地方公務員法四六条に基づいてY(名古屋市人事委員会)に対して措置要求をしたところ、Yがこれを認めない判定をしたので、X...