《解 説》
一、丙(Y)は運送会社、乙は丙(Y)の運送業務の下請会社、甲は丙(Y)の子会社である石油販売会社であり、甲は乙に車両燃料を継続的に販売し、乙は丙(Y)から継続的に運送業務を下請してきたものであるが、①昭和六一年二月一二日甲と乙は「甲は甲の乙に対する債権で乙の丙(Y)に対する債権...
《解 説》
本判決の認定によれば、Xは本件不動産をAに四億五〇〇〇万円で売り渡し、AがYに五億六〇〇〇万円(契約書上の代金額は七億一〇〇〇万円)で転売して所有権移転登記を中間省略によりXからYに移転したとのことである。Xは、X・A間の売買は、短期譲渡所得として多額の納税をすることを避けるた...
《解 説》
本件は、個人で印刷業を経営しているXに対する青色申告承認の取消処分の適否が問題とされた事案である。
税務署長Yの主張によれば、調査官がX宅に数回臨場し、帳簿書類の備付け状況及び所得金額を確認しようとしたところ、帳簿書類はダンボール箱に収納されていたが、その場にいた任意団体員ら...
《解 説》
一、本件は、交通事故により脳挫傷等の傷害を負った高齢の被害者(事故当時八二歳の男性)が、事故のため痙性四肢麻痺の後遺障害が残存したことから、将来の介護費用として将来の差額ベッド代及び付添看護費を、主位的には定期金賠償で、予備的には一時金賠償で求めた事案であり、本件判決は、「不法...
《解 説》
一、本件は、国を相手方とする医療過誤事件の証拠保全決定正本等の受領権限が国立病院長にあるか否かが争われた事件である。
二、本件の事案の概要は、以下のとおりである。
AがI国立病院で腫瘤切除手術を受けた後死亡したため、その遺族である原告らがAの診療録等について証拠保全の申し立...
《解 説》
本件は、いわゆるクリスマス・ツリー爆弾事件を含む昭和四六年九月から同年一二月にかけて敢行された一連の爆弾闘争の事案である。爆発物取締罰則一条及び三条の「人ノ身体ヲ害セントスルノ目的」の意義が争われ、一、二審とも、結果の発生を未必的に認識し、かつこれを認容すれば足りるとしたが、上...
《解 説》
本件は、建設作業中の左官職人が急性心臓死したので、その妻が、右死亡は、業務に起因するものであるとして、労災補償保険法上の遺族給付等を求めたのに対し、被告が、右死亡と業務との起因性を否定し、不支給処分をしたので、それを争って、右不支給処分の取消を求めた事案である。
法律的な争点...
《解 説》
本件は、公立小学校教師Xが、生徒指導について生徒の母親らから批判され、校長から学級担任(六年生)を学年途中で外されたが、これらは名誉毀損などに当たるとして、母親・校長・区・東京都らを被告として、不法行為に基づき二〇〇〇万円の損害賠償を求めた事案である。Xが名誉毀損に当たるとして...
《解 説》
一、Xは、Yの従業員であるが、昭和五九年一月配置転換命令を受けたのでこれを争い、右配置転換命令に基づく義務を負わないことの確認を求める訴えを提起したところ、昭和六三年七月敗訴の第一審判決を受けた。そこでXが控訴したが、Yは、同年八月、就業規則六五条一項一号(勤務成績がよくないと...
《解 説》
本件は、アスピリン喘息患者の薬剤ショック死につき、医師の責任が争われた事例である。
いわゆる新様式であるため、経過等には不明の点が多いが、Aは当時二七才の独身会社員で、アスピリン喘息(アスピリン等酸性解熱鎮痛剤によって発作が誘発される喘息)患者であったが、昭和六三年一月に発熱...
《解 説》
本件事案の概要は次のとおりである。
一、原告永井実可は、聴覚障害者である原告永井哲と婚姻し、昭和五四年一一月四日永井唯が出生し、児童扶養手当法の昭和六〇年改正前の四条一項により児童扶養手当の受給資格を取得した。しかし、原告らはこの手当制度を知らなかったため、原告実可は、唯出生...
《解 説》
本判決は、強盗殺人罪による無期懲役刑の仮出獄中、再び若い女性に対して強盗殺人等を犯した被告人に対して死刑を選択した事案である。被告人は、昭和三三年に二一歳の女性に対する強盗殺人未遂罪で懲役五年以上八年以下に処せられ、昭和四四年には二四歳の女性に対する強盗殺人罪で無期懲役刑に処せ...
《解 説》
一、本判決は、外国人登録法違反のうち、外国人登録原票の記載事項の確認申請義務違反(外国人登録法一一条一項、一八条一項一号)につきなされた控訴審判決である。
原判決(神戸地姫路支判平1、7、4公刊物未登載)は、被告人が昭和六〇年一月一七日までに外国人登録原票の記載事項の確認申請...
《解 説》
一、本件は平成二年二月一八日に施行された衆議院議員選挙千葉四区の選挙無効訴訟であり、合計三件の訴訟が併合されているが、うち二件については選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の格差が、昭和六一年法律第六七号による改正当時には一対二・九九、本件選挙当時には一対三・一八であり、し...
《解 説》
X弁護士はY(東京都選挙管理委員会)を相手に、平成二年二月一八日に施行された衆議院議員総選挙が選挙権の平等に反するとして、東京都第三区における選挙の無効判決を求め、出訴した。
右総選挙当時の公職選挙法は、昭和六一年法律第六七号により改正されたものであり、従前の定数配分について...