《解 説》
一、道路交通法における速度違反罪の罪数についてほぼ同旨の判断を示した二つの控訴審判決をまとめて紹介する。
事案の内容は、いずれも、被告人が名神高速自動車国道上を高速度で運転を継続した際、二つの地点(①事件では約五九・四キロメートル、約三〇分の間隔、②事件では約一九・四キロメー...
《解 説》
Xは、いわゆるロス疑惑の渦中の人物であるが、昭63・8・7Aに対する殺人未遂等被告事件について東京地裁で懲役六年の有罪判決を受け(控訴中)、さらに、いわゆる銃撃事件(殺人被疑事件)について昭63・10・20逮捕され、11・10起訴されている。Yは、昭63・10・22付け「サンケ...
《解 説》
本件は、階段転落事故による口内出血のため二つの病院で治療を受けた患者が、その後嗄声(「させい」。しゃがれ声)になったことにつき、医師の治療行為と右結果との因果関係が争われた事例である。
Xは昭和五八年五月、自宅の階段から転落してコンクリート床に顔面、頭部を強打し、大量の口内出...
《解 説》
カラオケ装置を設置して、テープ・レコード・ディスクの再生操作をする、スナック・バー等の風俗営業について、(a) 従業員・客の歌唱を含めて、営業主が利用主体としてテープ再生の伴奏により演奏権を侵害する(後記最高裁判決の多数意見)、(b) カラオケ装置によるカラオケテープの無断再生...
《解 説》
XはA県B郡C町に住所を有し、同県D市(政令指定都市)E区に事務所を置いて不動産鑑定士及び税理士業を営んでいる者であるが、E区長YがXに昭和六二年度市民税均等割額二五〇〇円及び県民税均等割額七〇〇円の賦課決定をしたのを不服としてその取消しを求めた。Xの不服の理由は、地方税法二四...
《解 説》
一、本件事案の概要は、次のとおりである。X1(原告。国籍中華民国。)は、夫X2(国籍中華民国)の死後、Y(被告。国籍中華民国。)がその戸籍上X1X2の養子になっていることを知り、X1X2がX2の生前Yとの間で養子縁組をしたことはない旨主張して、X1の住所地を管轄する神戸地方裁判...
《解 説》
一、Xは、昭和五九年三月二四日、鳥取県岩美郡国府町内の道路を歩行中、対向進行してきた自動車に衝突され、右脛骨骨折の傷害を負い、入通院治療を余儀なくされた。
しかし、Xとしては、加害自動車も運転手も不明であるため、平成元年六月、運輸大臣に対して自賠法七二条一項の損害填補を求める...
《解 説》
一、本件は、建設作業員が作業中に事故に遭い、その後に発現した症状(「四肢脱力歩行障害」)と事故との因果関係が争われた事案である。
Xは昭和四八年九月、作業中に鉄管が頭部に落下して負傷し、約四年間の入通院後、昭和五二年九月に症状固定の診断を受けた。その後Xが飯田橋労働基準監督署...
《解 説》
一、丙(Y)は運送会社、乙は丙(Y)の運送業務の下請会社、甲は丙(Y)の子会社である石油販売会社であり、甲は乙に車両燃料を継続的に販売し、乙は丙(Y)から継続的に運送業務を下請してきたものであるが、①昭和六一年二月一二日甲と乙は「甲は甲の乙に対する債権で乙の丙(Y)に対する債権...
《解 説》
本判決の認定によれば、Xは本件不動産をAに四億五〇〇〇万円で売り渡し、AがYに五億六〇〇〇万円(契約書上の代金額は七億一〇〇〇万円)で転売して所有権移転登記を中間省略によりXからYに移転したとのことである。Xは、X・A間の売買は、短期譲渡所得として多額の納税をすることを避けるた...
《解 説》
本件は、個人で印刷業を経営しているXに対する青色申告承認の取消処分の適否が問題とされた事案である。
税務署長Yの主張によれば、調査官がX宅に数回臨場し、帳簿書類の備付け状況及び所得金額を確認しようとしたところ、帳簿書類はダンボール箱に収納されていたが、その場にいた任意団体員ら...
《解 説》
一、本件は、交通事故により脳挫傷等の傷害を負った高齢の被害者(事故当時八二歳の男性)が、事故のため痙性四肢麻痺の後遺障害が残存したことから、将来の介護費用として将来の差額ベッド代及び付添看護費を、主位的には定期金賠償で、予備的には一時金賠償で求めた事案であり、本件判決は、「不法...
《解 説》
一、本件は、国を相手方とする医療過誤事件の証拠保全決定正本等の受領権限が国立病院長にあるか否かが争われた事件である。
二、本件の事案の概要は、以下のとおりである。
AがI国立病院で腫瘤切除手術を受けた後死亡したため、その遺族である原告らがAの診療録等について証拠保全の申し立...
《解 説》
本件は、いわゆるクリスマス・ツリー爆弾事件を含む昭和四六年九月から同年一二月にかけて敢行された一連の爆弾闘争の事案である。爆発物取締罰則一条及び三条の「人ノ身体ヲ害セントスルノ目的」の意義が争われ、一、二審とも、結果の発生を未必的に認識し、かつこれを認容すれば足りるとしたが、上...