《解 説》
一、ここで紹介する三件は、いずれも公務員の勤務中の死亡につき、死因の公務起因性が争われた事件であって、地方公務員災害補償基金の地方機関がいずれもこれを公務外災害と認定する処分をしたため、各遺族が右処分の取消を求める行政訴訟を提起していたものである。地方公務員災害補償法三一条は遺...
土地と地上建物の売買契約書に土地所有者は署名押印したが、建物所有者は署名押印しなかった場合に、土地についても売買契約が成立していないとされた事例
《解 説》
Xは昭和六三年一〇月一九日、Yから設計及び工事監理業務の委託を受け、その際、Xの報酬は着手金三〇〇万円、実施設計完了時三〇〇万円、完了検査時三〇〇万円と決められた。右契約は同年一〇月末に解除されたが、Xは本訴で右着手金の支払いを主位的に求めた。これに対しYは、右契約は、請負契約...
《解 説》
Xはタクシー運転手であるが、指定最高速度毎時四〇キロメートルの道路において毎時六一キロメートルの速度で通行したとして警察官から現場において運転免許証の提示や記録紙の確認を求められたが、免許証を警察官によく見せず、被疑事実を否認したので、午後七時一五分、現行犯として逮捕され、その...
《解 説》
一、Xは、割賦購入あっせん取引業者であるが、昭和六三年一月、Yが訴外A会社から自動車を購入するとともに二五〇万円を立替払する契約を締結したうえ、A会社に対して有する二八〇万円の不当利得返還債権ないし損害賠償債権と相殺して立替金を支払った。
ところが、Yが、昭和六四年一月以降の...
道路法施行法五条一項に基づく使用貸借による権利と地方自治法二三八条一項四号にいう「地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利」
《解 説》
X(事故当時四歳)は、Y市の営造物である市民会館大ホールにおいて母姉と共にバレーの発表会を観覧していたが、そのうち、観客席との間にあるせり上がり可能なオーケストラピットの間隙から約四・五メートル下の地下室床面まで転落し、顔面裂創、左大腿骨下端粉砕骨折等の傷害を負った。Xは右ホー...
《解 説》
一、本件は、マンションの管理に関する紛争が管理人の解任に至った事例である。
都内のマンションAはY社が建築、分譲したもので、Yがそのまま管理者として管理業務を行っているが、区分所有者有志の団体X1と区分所有者X2以下の者(合計三六名。全区分所有者中の七八パーセント、所有床面積...
《解 説》
一、事案の概要は以下のとおりである。
XはYから本件土地・建物を代金一一億三五〇〇万円で買い受ける旨の契約を締結した。右契約には、目的物件引渡までに本件土地に一部侵入している隣地所有者Aの建物の解体を承諾する旨の隣地所有者の承諾書をXに交付すること、本件売買契約に債務不履行が...
《解 説》
一、本件は、交通事故による傷害治療のため入院中事故後九日で急性心不全で死亡した被害者の相続人から、加害者に対し、被害者の死亡は、交通事故によって受傷した胸骨骨折が原因で、心膜腔内に血液貯溜が生じ、それによって急性心不全となったと主張し、逸失利益等の損害賠償を請求した事例である。...
《解 説》
一、本件は、関西電力が供給する電気及び大阪ガスが供給するガスの消費者である原告らが、通産大臣が昭和五五年三月二一日に行った関西電力に対する電気料金の値上げ(平均四三・三六パーセント)を主な内容とする電気供給規定変更認可処分及び大阪ガスに対するガス料金の値上げ(平均四五・一二パー...
《解 説》
一、事案の概要 X男とA女は、昭和五八年二月一二日、結婚式を挙げ、同日婚姻届出を了した後、ヨーロッパ方面へ新婚旅行にでかけた。なお、その旅行中、Aは、パリにおいて、フランス留学中の恩師に会うという理由で単独行動をとったことがあった。帰国後すぐにAは、妊娠していることが判明し、そ...