《解 説》
一、本件被告人三名は、反山口組系暴力団忠成会幹部ないしその組員であるが、昭和五三年七月京都市内のキャバレー「ベラミ」店内で暴力団山口組組長田岡一雄を拳銃で狙撃した(殺人未遂)犯人として指名手配されていた反山口組系暴力団大日本正義団幹部鳴海清を匿っているうち、結局持て余して、ガム...
《解 説》
一、本件の事案は、中核派全学連の中央執行委員会委員長であった被告人が、沖縄返還協定の批准等の反対闘争のため、①昭和四六年一〇月二一日、多数の学生、労働者らをして、公務執行妨害罪を実行させる目的で、日比谷公園において、「機動隊せん滅」等を内容とするせん動演説をし、②同年一一月一四...
損害賠償任意保険の分割保険料の支払猶予期間内に発生した自損事故により被保険者が死亡し、支払猶予期間内に保険料の支払がなかった場合において、保険会社に保険金の支払義務があるとされた事例
一、給与支給機関が地方公務日月等共済組合法一一五条二項に基づき地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の給与から貸付金残額を控除して右組合に払い込む行為と破産法七二条二号による否認
二、給与支給機関が地方公務員等共済組合法一一五条二項に基づき地方公務員共済組合の組合員である地方公務員の退職手当から貸付金残額を控除して右組合に払い込んだ場合と破産法七二条二号による否認の範囲
不動産競売目的建物内で元所有者が七年前自殺したことに縁由する生活環境により当該建物の交換価値に減少をきたしたことが民執法七五条一項の不動産の損傷に類するとして売却不許可決定をした事例
《解 説》
一、本件は、賃貸建物の譲渡担保権実行による所有権移転に伴い、賃借人が差し入れていた保証金の返還義務者が争われた事例である。
原告Xは、昭和五九年、被告Y1からその所有にかかる建物の一部を賃借し、保証金四九七〇万円を預託していたが、その後昭和六一年一月にY1は右建物をY2に譲渡...
《解 説》
Xらは、恐喝未遂で逮捕・勾留(接見禁止決定付)されている被疑者Oの弁護人であるが、主任検察官がXらに対し、接見についての協議及び指定書の受取りのため来庁を求めたり、F県警K警察署の留置副主任官が検察官の指示があるまでOとの接見を許さなかったことが違法であると主張し、Y1(国)及...
《解 説》
本件は、いわゆるロッキード事件の被告人として刑事訴追されたAがY税務署長に対して昭和四六年ないし同五〇年分の所得税の更正処分及び重加算税の賦課処分の取消しを求めていたところ、同人が同五九年一月に死亡したため、その相続人Xら七名が原告として承継したものである。
その争点は多岐に...
高速自動車国道料金値上げ認可処分取消請求事件
道路整備特別措置法二条の四に基づき建設大臣及び運輸大臣が行った日本道路公団に対する高速自動車国道の料金及び料金の徴収期間の変更認可は、行政機関相互間の内部的な行為と同視すべきものであり、抗告訴訟の対象となる行政庁の行為には該当しない
《解 説》
一、本件は、電車内でのいわゆる痴漢行為が大阪府条例に違反するとして起訴された被告人が無実を主張して争っている事案である。
二、まず、判示事項一であるが、本件においては、原審及び控訴審の審理を通じ、被告人を現行犯逮捕した被害者(A)の証言の信用性が最大の争点になったところ、原審...
《解 説》
本件は、日本語をほとんど理解できない外国人の被告人に対し翻訳文を付さないで起訴状謄本を送達したことが、刑訴法二七一条一項及び憲法三一条に違反するかどうかが争いになった事案である。この点につき、弁護人は、被告人に対する起訴状送達の趣旨は、被告人に起訴の内容を了知させ防禦の準備を尽...
《解 説》
Xはアメリカ合衆国にあるA会社の香港法人であり、A会社は広く国際市場において電気器具、玩具等の販売活動を展開しており、Xはその極東地域における営業活動を担当する会社である。一方、Yは玩具の製造販売を主な営業目的とする日本の会社であり、A会社の指示を受けたXの注文により、新型のロ...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
甲女(当時四二歳)は、気管支喘息の検査等のために被告Yが運営する病院の呼吸器内科に入院していたが、昭和五八年六月に同病院の耳鼻科で鼻茸の切除手術を受けた。手術自体は一〇分余で終了したが、同日夕刻に鼻部疼痛に対して投与された鎮痛解熱剤ボルタレ...